Cellers Joan D’Anguera

セラーズ ジョアン・ダンゲラ

スペイン / カタルーニャ

DOQプリオラートを取り囲む形のDOモンサン。ジョアン・ダンゲラは、この地で7世代前からワイン造りを行っている。ジョセプとジョアン兄弟は、父と死別した2000年にワイナリーを継ぐが、彼ら2人の頭にはいつもある問いが引っかかっていた。「我々は誠実に、土地と歴史を十分に反映したワイン造りをしているのだろうか。」2008年にまずは栽培から、バイオダイナミック農法に切り替え、祖父が飲ませてくれていたようなワインを思い出しながら醸造も一新する。ナチュラルワインの動きの影響も受けたと、二人は振り返るが、地中海沿岸地域のクラシックなワイン造りも同時に研究してきた。栽培を変えてから、年々収穫量は減っていったが、ブドウの質の向上は、ワインからも十分に感じられた。そして2016年、90年代クラシックでも、モダン・ナチュラルなテイストでもない、彼ら自身のスタイルが定まった、と二人は語る。カタルーニャの暑さと“光”は味わいの力強さから感じるが、ガルナッチャ、カリニェナの冷涼な酸味が味わいを引き締める。

カタルーニャについて

フランスのルシヨン地方と隣接する、スペイン最北端の州。バルセロナを州都とし、芸術、食文化、リゾートとしても多くの人を魅了する。地中海性気候で沿岸部は温暖で適度に雨が降り、すごしやすく、ブドウ栽培にも適している。一方、内陸部は大陸性気候で乾燥している。昔から、工業地帯としてさかえ、経済的にも豊かであったことから、20世紀に入り、ワインの工業化が一気に進んだ。1870年に始まった、カヴァの生産は、地域の一大産業となった。現在でも10あるDOのうち、ペネデスの生産量は群を抜いている。南部では1980年代にプリオラートで、優秀な若手醸造家たちによる、著しい品質の向上が見られた。地域全体としては、ペネデスを抜かすとガルナッチャ種、カリネーニャ種に加え、その他国際品種による、赤ワインの生産が多いが、近年では白ワインの需要も増えてきている。そして、フランスに近いという事もあるのか、スペインの中ではナチュラルワインのメッカであり、ひときわ激しい動きがある。

スペインについて

世界一位のブドウ栽培面積をほこる、スペインのワイン産業は、大規模に海外へと輸出することで、成り立ってきた。19世紀初頭までは、南アメリカの植民地へ、19世紀後半からは、鉄道の発達とともに、地続きのフランスへ大量のワインが輸出された。1960年代から近代醸造技術の導入が活発になり、シェリーブームがおとずれ、リオハワイン人気も再燃した。21世紀になりスター生産者の登場により、高品質なワインの存在も認知されているはずだが、日本ではスペインワインというと、まだまだ安ワインのイメージが拭えない。イベリア半島は、中央台地(メセタ)が国土の大半を占めており、沿岸部から数十kmも内陸部へ入ると、標高が600〜1000mの高さまでになる。中部から南部にかけては乾燥した気候も幸いして、病害も出にくく、ブドウ栽培のまさに好適地である。 近年では、カタルーニャ地方の動きが目立つが、北部の降雨量の多い地域や島々を含めたスペイン各地で、新世代の造り手たちの手により、地品種と伝統的な製法でのファインワインが、同時多発的に生まれている。

Altaroses 2021
アルタロセス

品種:ガルナッチャ100%
樹齢:1990年~2000年代に植樹
位置:標高50~110m、北向き
土壌:白粘土、石灰岩、いくらかの砂質土壌
醸造:セメントタンクで3週間マセレーション。数年経過したバリックで12ヵ月間熟。

複数の畑のブレンドで、キュヴェ名はそのうちの一つの畑名に由来する。2017年より、エントリーレベルのキュヴェの生産をやめ、アルタロセスをエントリーレベルとすることで、より全体を通して品質を重視したワイン造りに注力している。デイリーワインとしては、他にない深みと艶を備えたワインに仕上がっている。

¥3740

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