Fattoria San Giusto a Rentennano

ファットリア・サン・ジュースト・ア・レンテンナーノ

イタリア / トスカーナ

イタリアワインの熱狂的なファンにとって、間違いなく最高峰の一つ、サン・ジュースト・ア・レンテンナーノ。中世の要塞は、1914年からマルティーニ・ディ・チガーラ家の所有となり、1992年から、現在に至るまでアナ、ルチア、エリザベッタ、フランチェスコ、アレッサンドロとルーカの兄弟が農園の運営にあたっている。所有する160haの敷地の内、31haはブドウ畑だが、残りはオリーブ畑、森、農地や牧草地として、残している。ブドウ畑は全てビオロジック栽培で管理されていて、生産ワインのほとんどを占めるサンジョヴェーゼ、キュヴェ・リコルマ用のメルロー、そして、甘口のヴィン・サン・ジュースト用のマルヴァジーアと少量のトレッビアーノと、ブレンド用にカナイオーロを栽培している。醸造と熟成には一部フレンチオークもつかわれ、ミネラル成分を豊富に含んだ土壌由来の骨格がしっかりとしているが、味わいは極めて端正に仕上がっている。

キアンティ

15世紀以来「キアンティ」という地名は北はフィレンツェから南はシエナまでの広大な地域を指す。標高800mまでの丘陵があるが、ワイン造りは250~500m前後の高度が中心。最初にキアンティの境界を定めたのは、1716年トスカーナ大公・コジモ3世。1932年に、広がり続けるキアンティの呼称に対抗し、9村・計7万haが“伝統的”区域としてクラッシコの呼称を得、その際の境界は現在も不動。キアンティ・クラッシコは長らく白ブドウのブレンドが必須だったが、サンジョヴェーゼ100%の認可は1996年以降。2000年には国際品種のブレンド率を20%まで引き上げた(DOCG初年の1984年は10%)。現在、生産者は約350社。この「キアンティ・クラッシコ」の周辺に広がる形でDOCGキアンティとして、ルフィナ、コッリ・セネージなど7つの地域が認定されている。この地域でも生産者の力量しだいで、高名なクラッシコに勝るとも劣らないワインも生まれている。

トスカーナ

サンジョヴェーゼ品種の最重要生産地であり、その王国。20世紀末の短期間、主に伝統産地外の沿岸部などで、ボルドー品種とバリック新樽を用いた濃厚なワインが“スーパー・タスカン”と称され、世界を席巻したが、近年はよりピュアにサンジョヴェーゼの美点を追求する生産者に再び注目が集まっている。ただし区分したいのは“スーパー・タスカン”の中でもかつては主にキアンティ・クラッシコDOCG法外だった100%サンジョヴェーゼを敢行したゆえのワインたち。それらの生産者の中には、サンジョヴェーゼ100%がDOCG法認可された後も、IGTにとどまり偉大な深みを持つワインを生み続ける生産者が少なくなく、同じ“スーパー・タスカン”の中でもボルドー品種主体のものとは区別して把握・評価するべきだろう。また、この州の人々は歴史的に進取の気性に富み、常に探求と挑戦と共にワイン造りも変化する。その様子を、ヒュー・ジョンソンは「旧世界の中の新世界」とさえ評している。

IGT Rosato Toscana – Fuori Misura ロザート・トスカーナ フオーリ・ミズーラ 2023

品種:サンジョヴェーゼ主体、カナイオーロ、メルロ
位置:標高270m
土壌:粘度石灰質
醸造:各赤ワインのマセレーション開始から2日後に、各発酵槽から10%ほど果汁を抜き取り(サラッソ)、除梗したブドウを果汁に対して約10%加えて10日間マセレーション。ステンレスタンクで半年間熟成。
備考:イタリア中部で広く使われる、サラッソ(セニエと同義)と呼ばれる醸造テクニックによる、ロザート。しっかりと色が出ており、Rosato(ピンク色の)というよりはRossato(赤みがかった)というほうが近い、とルーカは言う。香りと果実味をしっかりと感じるロゼ。
¥3,630

Chianti Classico 2019
キアンティ・クラッシコ

品種:サンジョヴェーゼ主体、カナイオーロ
位置:標高270m
土壌:粘度石灰質
醸造:セメントタンクかステンレスタンクで14日間マセレーション。大樽、トノー、バリックで12ヵ月間熟成。

瓶詰後、半年間経ってからリリース。スタンダードなキアンティ・クラッシコだが、トスカーナらしい果実味と、優雅な酸味を併せ持つ逸品。
¥4950

Related Articles

Filippo Costa

フィリッポ・コスタ イタリア / ヴェネト ヴェネト州、トレヴィーゾの街から北西、アーゾロの地域でワインを造るフィリッポ・コスタは同地域の出身。高校を卒業するころからワイン造りへの興味が強くなり、農業…

La Torre alle Tolfe

ラ・トッレ・アッレ・トルフェ イタリア / トスカーナ ラ・トッレ・アッレ・トルフェは8世紀に建てられた塔(Torre)を中心に、できた貴族の郊外の別宅で、現オーナーのマニア・カステッリの曽祖父が二次大戦後に購入し、それ…

Podere 414

ポデーレ414 イタリア / トスカーナ トスカーナ屈指の有名エノロゴ、マウリッツィオ・カステッリ(マストロヤンニやグラッタマッコをコンサルタント)の子息、シモーネ・カステッリが、モレッリーノ・ディ・スカンサーノに199…

Il Palazzino

イル・パラッツィーノ イタリア / トスカーナ 「キアンティ・クラッシコ、ガイオーレ地区にあり、どこよりも古典的で長命なワインを造るモンティ村は、トスカーナ(いや、事実上イタリア)の中でも最高のワイナリーがいくつか存在す…

Le Clos du Tue-Boeuf

ル・クロ・デュ・チュ=ブッフ フランス / ロワール 今を遡ること20年以上前、1996年にビオロジック栽培と、醸造時亜硫酸塩無添加を開始し、今や堂々ヴァン・ナチュールの重鎮と畏敬される生産者。ドメー…

Responses

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です