João Costa

ジョアォン・コシュタ

ポルトガル / ダォン

ダォン生まれのジョアォン・コシュタは、家族と共に農業に従事しながら成長し、2011年にコインブラ農業学校(ESA)で有機農業を学ぶ。イタリアのアルバでのインターンシップを経てワインへの情熱を深め、リスボンの農業高等研究所でブドウ栽培と醸造学の修士課程に進んだ。スイスのヨハニターケラー、ポルトガルのフムス・ワインズ、キンタ・ダ・セッラディーニャなどでの経験を経て、人為的介入を最小限に抑え、テロワールを純粋に表現したワインに対する感性を磨いた。現在はドミニオ・ド・アソールでもワイン造りに情熱を注いでいる。プロジェクトの名前『ベイオルテ(BEIORTE)』は、かつてこの村で話され、今も特に老人によって使われている方言(アルギナ=arguina)で「ワイン」を意味する言葉。高齢化が進みブドウ栽培と醸造を続けることが困難になるケースが増えている中で、放棄されつつあった古いブドウ畑を引き受けて、古代から受け継がれてきたブドウ樹の遺伝的遺産を保存し、次世代に渡すことを目指している。

ポルトガルについて

ポルトガルは大西洋、山脈や河川により地理的に隣国スペインから隔てられ、1986年にEUに加盟するまでは政治的にも孤立していた。そのため長い間イギリス向きに出荷されてきた、ポートワインやマデイラ酒を除くと、ポルトガルワインへの関心は市場でも高いとは言えなかった。しかしそれゆえ隠れたブドウ栽培地域や地品種の古樹が数多く残り、それらの要素への関心が世界的に高まる中で、2010年代頃からダイナミックな変化が起こっている。  

ポルトガルが広くない国土にもかかわらず、多様な地形と土壌、ワイン文化を持つことは、ポートワインとヴィーニョ・ヴェルデという性質が相反するまったく別種のワインが、しかも隣接する地域から生産されることからも、良くわかる。それらの下地と、海外などで経験を積んだ若い造り手たちの熱意が、現在のポルトガルワインの原動力となっていると言えるだろう。  とかく情報過多に陥りがちな現在、ポルトガルには魚介類を使った素朴な料理が多く、その料理と合わせて飲まれてきたポルトガルワインは、一般に気取った味わいを感じさせないので、難しく考えずに飲んでいただきたい。

Beiorte – Alfrocheiro 2020
ベイオルテ アルフロシェイロ

品種:アルフロシェイロ100%
植樹:1990年
位置:標高530m、東向き
土壌:砂と石英混じりの花崗岩
醸造:除梗し10日間マセレーションをした後プレス。ラガール(開放発酵槽)で野生酵母とともに醗酵、温度コントロールはしないステンレスタンクで20ヵ月間熟成。
隣村の栽培家からの買いブドウで醸造。エチケットはダォンの村で見られる花崗岩が積みあがった壁の写真。前に立つ年配の女性が、困難に直面しながらも勇気と決意を強くもって歩き続ける様子は、この村の遺産を引き継いでいくジョアォンの意志と野心の表れでもある。
サンタ・オヴァイア以外で栽培されたブドウで造るワインにはこのエチケットが使われる。

抽出感がしっかりとあり、栄養感を感じる自然な果汁の味わいが広がる。果実だけでなく大地の滋味ある香りと、若干後味にスパイシーな感じがある。

¥4400

Beiorte – Cidade Tinto 2020
ベイオルテ シダーデ・ティント

品種:ティンタ・ピニェイラ、トリンカデイラ、バガ、アルフロシェイロ、トゥリガ・ナシオナル、ジャエン他

若干後味に豆っぽい印象がうっすらと感じられないこともないが、あくまでも自然で滋味に溢れた味わいと優しいテクスチュア、個性を感じる味わいのなかの一部であり、(抜栓当日は)よく全体の味わいとしてまとまっている印象。

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