Le Calcinaie

レ・カルチナイエ

イタリア / トスカーナ

サン・ジミニャーノに、高品質ワインを復活させた立役者の一人。常に快活でエネルギッシュなオーナー、シモーネ・サンティーニは、1995年から畑に化学肥料、除草剤、殺虫剤などを排したビオロジック栽培を続ける、慧眼の持ち主。加えて栽培で重視するのは、低収穫と、葉を多めに残しブドウの房をしっかり陰にするキャノピー・マネージメント。それにより、ヴェルナッチャの魅力の核心である美しく多層的な酸が得られると語る。酸を重視するため、主要な畑の大半は北向きである。亜硫酸添加は通常、トータルで45mg/L以下に抑制。理想とするヴェルナッチャは「瓶詰め直後は14歳の少女のように純粋でプリティ。その後熟成により、多彩な要素に美しいハーモニーが生まれるが、けしてビッグではなくフェミニンでエレガントなワイン」とのヴィジョンは、困難な年にさえ、見事にワインに現れる。

サン・ジミニャーノについて

13世紀には既に世に知られたワインで、ダンテやボッカチョの書物にもこの地のワインが登場する。1966年、イタリアの白ワインとして最も早くDOCを獲得した極少数の産地の一つで、今もヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノはトスカーナ唯一の白のDOCGである。ヴェルナッチャ以外の品種ブレンドは10%まで可能。キアンティ・クラッシコ地区の中西端、ポッジボンシから西へわずか15kmほどにある町は、中世の巨大な石塔が13塔残る、トスカーナ屈指の観光地でもある。それゆえ、ワインは多数の観光客に簡単に売ることができるため、「極一部の例外を除けば、依然として味覚の驚きというよりも、観光の小道具のまま。ゆえ、厳しく(生産者を)選別しなければならない」(M・クレイマー)。優れたヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノは肉厚で濃度のある口当たりと、ほのかなアーモンドの香り、わずかな苦みのある爽快な後味を持っている。

トスカーナについて

サンジョヴェーゼ品種の最重要生産地であり、その王国。20世紀末の短期間、主に伝統産地外の沿岸部などで、ボルドー品種とバリック新樽を用いた濃厚なワインが“スーパー・タスカン”と称され、世界を席巻したが、近年はよりピュアにサンジョヴェーゼの美点を追求する生産者に再び注目が集まっている。ただし区分したいのは“スーパー・タスカン”の中でもかつては主にキアンティ・クラッシコDOCG法外だった100%サンジョヴェーゼを敢行したゆえのワインたち。それらの生産者の中には、サンジョヴェーゼ100%がDOCG法認可された後も、IGTにとどまり偉大な深みを持つワインを生み続ける生産者が少なくなく、同じ“スーパー・タスカン”の中でもボルドー品種主体のものとは区別して把握・評価するべきだろう。また、この州の人々は歴史的に進取の気性に富み、常に探求と挑戦と共にワイン造りも変化する。その様子を、ヒュー・ジョンソンは「旧世界の中の新世界」とさえ評している。

Vernaccia di S.Gimignano 2024
ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ 2024

品種:ヴェルナッチャ100%
植樹:1987年、1999年、2009年
位置:標高220~250m、東南向き
土壌:石灰・粘土質土壌
醸造:ステンレスタンクで醗酵。ステンレスタンクで6ヵ月間熟成。

シンプルな造りながら、複雑味を備えており、暑い年でもヴェルナッチャの魅力の核となる多層的な酸が生き生きとしている。
¥4180

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