Principiano Ferdinando
プリンチピアーノ・フェルディナンド
イタリア / ピエモンテ

プリンチピアーノ家は、長らく神格化されたバローロ・モンフォルティーノを生む畑、フランチャに接した南西向き、標高350mの偉大なクリュ、ボスカレートを所有する。ランゲでの栽培農家としての歴史は1900年代初頭に遡り、1980年代前後はアルタ-レやスカヴィーノにブドウを供給していた。フェルディナンドは90年代には回転式タンクによるモダン・バローロを手がけたが、2002年以降、最長3ヶ月にも達する長期浸漬と大樽熟成を軸とする伝統的バローロ造りに回帰。同時にビオロジック栽培を開始。現在、主要な畑ではボルドー液や硫黄も使わない。トップ・クリュであり平均樹齢40年を越えるバローロ・ボスカレートは、収量をDOCG法上限の約1/3に抑える。伝統派らしく、いずれのキュヴェもやや薄めの色調ながら、深遠な陰翳と優雅で伸びやかな風味が魅力的。特にバローロの上級キュヴェ2種は、ビロードのような舌触りと妖艶な香気、長大な余韻を持ち、かつての伝統派の巨匠が示したバローロの優品にも劣らぬ魔性に溢れる。思慮深いフェルディナンドは長期的なマーケット醸成という視点から、ベーシックなドゥセットの導入と合理的な価格を実現・維持している。
バローロについて
瓶内で熟成を経ると“世界で最も誘惑的な香りのワインとなる”ネッビオーロ品種が、隣り合ったバルバレスコと共に、その最も深い響きを現すDOCG。長らく「ワインの王であり、王のワイン」と言われ、また「イタリアワインの中で、バローロほど重要な存在はない。バローロはフランスにおけるボルドー1級ワイン、ブルゴーニュのグラン・クリュのように、イタリアの赤ワインの偉大さを掲げる旗印である」とさえ語られる。1980/90年代に、いわゆる現代派と呼ばれる造り手が勃興し、極短期間の果皮浸漬とバリック新樽による濃厚かつ早飲み型バローロが興隆した。2010年ごろまでには伝統派回帰が進む一方で、伝統は生産者も現代派の長所を探り入れて果実味を生かす方向に動いた結果、バローロ全体の現代化と品質向上につながった。現在いわゆる典型的現代派は数社を残すのみとなっている。ワインのスタイルは通常、エリア西端のラ・モッラ、バローロ地区は比較的エレガント、東端のセッラルンガ地区が長熟後に最も深遠な偉大さを現すと言われる。2010 年からクリュ(追加地理言及)の表記が正式に開始された。
ピエモンテについて
イタリア北西部、アルプス山脈の南麓で、フランスと国境を接する州。面積はシチリアに続いてイタリア第2位。ワイン生産量は7位だが、その品質、多様性、独創性についてイタリアの首座にあると自負する州。DOCGは16、DOCは42にも達する。その心臓部は、州南部のバローロとバルバレスコ以外にも多くの地域で多彩なワインを生む。その筆頭は北部で繊細なネッビオーロを生むガッティナーラとゲンメの両DOCG。南東部アスティ地方では広く知られるバルベーラ、モスカート・ビアンコのスパークリング以外にも、ドルチェットやグリニョリーノも重要品種。南部のガーヴィ/コルテーゼ・ディ・ガーヴィDOCGの優美な白も、近年は本来の輝きを取り戻している。白では、バローロの北隣、ロエーロ地区のロエーロ・アルネイスも安定した人気を確立した。さらに近年では、アスティ県周辺の高標高地区、アルタ・ランガDOCGでの瓶内二次発酵ワインの生産も活況を呈し始めている。
Langhe Bianco 2021 ランゲ・ビアンコ
品種:ティモラッソ100%
植樹:2010年
位置:標高750m、南西~南東向き
土壌:粘土石灰土壌
醸造:ステンレスタンクで醗酵
ステンレスタンクで10ヵ月間熟成
畑はセラーから18km。アルタ・ランガのDOC地域にある高地の畑。初VTは2013年。1週間のマセレーションを試したが、自分のスタイルではないと思い翌年からはマセレーションなし。”白品種のマセレーションも好きだけれど、自分で作るのなら、すっきりとしたクリアな白がイタリアでもできることを証明したい。アルタ・ランガではその冷涼な気候から、現在はピノ・ノワール、シャルドネを栽培しスプマンテが多く作られている”。フェルディナンドはさわやかなピエモンテの白を造りたいと考えた末、コッリ・トルトネージ原産のティモラッソを植樹。
¥4180
Dosset ドゥセット
品種:ドルチェット100%
植樹:1970年ごろ
位置:標高400m、南西向き
土壌:粘土石灰質
醸造:1週間マセレーション。その後ステンレスタンクにて醗酵、熟成。ドゥセットとはピエモンテ方言でドルチェットを意味する。ランゲではドルチェットは毎日飲む用のワインとして軽めに作られてきたという歴史もある。通常より収穫を1~2週間早め、抽出も淡い。そして収穫年の12月には瓶詰めをしてしまう。”ランガという土地がネッビオーロのためではなくて、日常ワインの生産地でもあるから”と、フェルディナンドは話す。
明るく淡めのチェリー・レッドの色合い、小粒の赤系果実の明るくチャーミングな香り。味わいとしても軽やかで明るいながら、口中横に広がる滋味もある。味わいとしても安定しており、シンプルに気軽に楽しめる。
¥2860 (2024)
Barbera d’Alba バルベーラ・ダルバ
品種:バルベーラ100%
植樹:1970年代
位置:標高300m、南向き
土壌:粘土石灰質
醸造:ステンレスタンクで20日間マセレーション。ステンレスタンクで10ヵ月間熟成。
典型的な日常消費のバルベーラ。飲み心地が良く、アルコールも高すぎない。美しい果実味と特徴的なバルベーラの酸。2017VTまではキュヴェ名にラウラと名付けていたが、2018VTからはより高樹齢のセレクションをラウラと名乗ることにした。
抽出感は中程度、果実味が良く生かされていて、味わいに充実感がありながらタンニンは比較的なめらかで、ついつい杯が進んでしまうワイン。味わいのトーンは比較的高め、やや土や素朴な香りもあるが、よく持続するきれいな酸がある。ドゥセット同様、良く安定してまとまっている。
¥3740 (2023)
Langhe Freisa 2022 ランゲ・フレイザ
品種:フレイザ100%
植樹年:2009年
位置:標高400m、南西向き
土壌:粘土石灰質
醸造:ステンレスタンクで20日間マセレーション。大樽で6ヵ月間熟成。フレイザ単一は2015VTまで醸造して いたが、その後は他の4品種とともにランゲ・ロッソにブレンドされていた。しかし世界的な単一品種の需要が高まり2021VTから、フレイザ単一での瓶詰めを行うことが出来たと、造り手としては喜んでいる。フレイザはランゲで一番、野性的な品種かもしれない。タンニンは多いが、エレガントな酸とチャーミングな果実味はプリンチピアーノらしい。
¥3850
Langhe Rosso 2022 ランゲ・ロッソ
品種:スラリーナ
植樹:2016年
位置:標高750m、東向き
土壌:砂質、粘土石灰土壌
醸造:ステンレスタンクで約2週間マセレーション。ステンレスタンクで6ヵ月間熟成。
フェルディナンドは、アルタ・ランガの畑でビアンコ(ティモラッソ種)に並ぶランゲ・ロッソを作りたいと考えていた。在来品種のブドウをいくつか試してみたところ、彼は特にスラリーナに惹かれ、セッラヴァッレ・ランゲ(アルタ・ランガ)にスラリーナを植えることに。ティモラッソ(彼のランゲ・ビアンコ)の近くの0.5ヘクタールほどの畑で、年間生産量は1500-2000本ほど。スラリーナはかつてピエモンテ南東部に広く植わっていたが、いまではほとんどその姿を見ることはなくなった。
¥3960
Langhe Nebbiolo ランゲ・ネッビオーロ
品種:ネッビオーロ100%
植樹:1970年代植樹
位置:標高350m、南西~南東向き
土壌:粘土石灰質
醸造:ステンレスタンクで20日間マセレーション。ステンレスタンクで10ヵ月間熟成。バルベーラ・ダルバと同様、典型的な日常消費のネッビオーロをつくりたかった。飲み心地がよく、アルコール度数は高すぎない。スミレやバラの香 りをもち、若いネッビオーロに典型的なエレガンスを備えている。
¥4070 (2023)
Barolo del comune di Serralunga d’Alba バローロ・デル・コムーネ・ディ・セッラルンガ・ダルバ
品種:ネッビオーロ100%
植樹:1999年代
位置:標高350m、南西~南東向き
土壌:粘土石灰質
醸造:ステンレスタンクで30日間マセレーション。大樽で24ヵ月間熟成。
バローロらしい風格を持たせながら も、気軽で親しみやすいものを、というフェルディナンドの想いが良く表れたバローロ。”グラスで使ってくれたらいいなぁ”。
¥7700 (2021)
Barolo – Boscareto バローロ ボスカレート
品種:ネッビオーロ100%
樹齢:1970年代
位置:標高350m、南西向き
土壌:粘土石灰質
醸造 開放樽で40日以上のマセレーション
大樽で36ヵ月間熟成。
クラシック、モダン、ナチュラル。それぞれの世界を探求しつづけるフェルディナンドの感性をもっとも反映しているワイン。重厚だが、タンニンはしなやか。後味のブルーの花を思わせる透明感は、年々増すばかり。ボスカレートの畑は、銅も硫黄の散布もせずに、海藻やプロポリスによる畑の管理を実験的に始めた、最初の畑。
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