VinB
ヴィンビ
イタリア / シチリア

シチリア島南東部、キアラモンテ・グルフィ出身の二人が手がけるヴィンビは、隣接するヴィットーリアを含む地域を拠点に2022年に設立された。ロンドンの星付きレストランでヘッドソムリエを務めたビアージョと、トリノでITや飲食業界を経てワインに魅せられたヴィットーリオ、都市でのキャリアに区切りをつけ、シチリアへと戻る。偶然にも2018年にそれぞれがヴィットーリアのアイコニックなワイナリーの元で修業を始めたのだった。
ヴィットーリオの祖父の古いパルメントを修復し、0.5haの畑から始まったワイナリーは、2025年には5haのブドウ畑と3haのオリーブ園へと拡大。自然酵母による発酵、瓶詰め時のみの亜硫酸添加、デリケートな抽出によって、繊細で柔らかな飲み心地を追求する。リジェネラティブ農業と有機栽培を通じて、土地の個性を静かに引き出すワイン造りを行っている。
ヴィットーリアについて
フラッパートとネーロ・ダーヴォラの赤2品種がヴィットーリアのあるラグーザ地方では最重要品種となっている。紀元前3世紀からのブドウ栽培を物語る品が発掘される地域ではあるものの、1970年代までは生産者の元で瓶詰めされることは少なく、多くのシチリアのブドウ栽培地域同様、北部のワイン産地への糖度の高い果汁の提供がブドウ果汁の主な用途だった。1980年代以降、若手を中心に元詰めを行う栽培・醸造家が増え始める。大学の同級生3人が集ってワイン造りを始めたC.O.Sなどはその良い例だろう。2005年にはチェラスオーロ・ディ・ヴィットーリアはシチリア唯一のDOCGに認定された。 チェラスオーロ・ディ・ヴィットーリアには、イタリアのDOCG赤ワインからイメージされるような色や抽出物の濃さはなく、チェラスオーロ(=サクランボのような)と名付けられているように、赤い軽やかな果実が香り、色合いはロゼではなく薄い赤色。
シチリアについて
東西約300km(トリノ~フィレンツェ間とほぼ同距離)、南北約180kmに渡って広がる地中海最大の島。最南端はチュニジアの首都チュニスより緯度が南となり多くの地域は非常に乾燥する。東部に標高3,329mの活火山エトナ山、中南部に真っ白な石灰岩が海岸に露出するカルタニセッタ、赤い酸化鉄を含んだ土壌が散在するラグーザなど極めて多彩なテロワールを持つ。かつてはヨーロッパ最大のバルクワイン供給地の一つだったが、1990年代後半以降は品質志向のワイナリーが出現、2000年以降はいわゆる国際的スタイルからの脱却も少しづづ進んでいる。またこの島は固有品種の宝庫とも言われ、黒ブドウでは重厚なネロ・ダーヴォラ、繊細でフローラル、かつ高い酸のネレッロ・マスカレーゼ、フラッパートほか。白ブドウではグリッロ、カッリカンテ、カタラットなどに世界から特に注目が集まっている。現在はイタリア内外の有名生産者が、シチリアはエトナの山麗に畑を求めるブームが活火山のように燃えさかっている最中である。
IGT Terre Siciliane Rosso – Viaggio ad Est 2023
テッレ・シチリアーネ・ロッソ ヴィアッジョ・アデスト
品種:ネーロ・ダーヴォラ
樹齢:2000年代
位置:標高20m、海から2km、北向き
土壌:粘土質、石灰質
醸造:半量は除梗、もう半量は全房のまま、グラスファイバータンクで約7日間のマセレーション、その間ピジャージュおよびルモンタージュは行わない。グラスファイバータンクで7ヵ月間熟成。無濾過・無清澄で瓶詰め。
ヴィンビより東に位置するパキーノ産の買いブドウで醸造したため、Viaggio ad Est(=東への旅)と名付けた。短い期間の軽やかな抽出。果実味は控えめでネーロ・ダーヴォラの還元的な品種特性があり、のびやかな、直線的な後味。
¥4620
Responses