「世界を変えるために私ができること」マイク・リー

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アメリカ人画家マイク・リーは光と陰のセンスを完璧なまでに進展させ、私たちの目には見えない色合いや色調を醸し出すグラデーションや陰影について超越的なまでの視点を持つに至っています。2017年の日本初個展開催に際し、マイクに話を聞きました。

文 サシャ・ボゴイェブ

サシャ・ボゴイェブ:デジタル作品をキャンバスやパネル、紙に置き換えようと思ったのはいつですか?

マイク・リー:2010年ごろだったと思います。そのアイディアを思いつき、スケッチブックに描き連ねました。そして2012年にはアパートの近くのワインショップがある店の1日についての本を初めて自分で作りました。それは24ページで、1時間ごとの絵を描くために、一日中その店を観察しました。

サシャ:初期の作品はもっと遠近感があって、構成的であったことを覚えています。どのように現在の作風に至ったのでしょうか。

マイク:私は常に第三者としての視点から自分を見ていました。だから、もっと空間から自分を外し、より客観的に物事を見てみたいと思っていました。それがほぼフラットで等角な視点だったのです。しかし、それを見た人の反応があまりよくありませんでした。単に面白い細部を持つクールなイメージだったのです。それは素晴らしいことなのですが、もっと深いところで作品を観る人とつながりたいと思いました。だから一人の人物に焦点を当てて、それをどこまで拡げられるかということに絞ることにしました。まだカラー作品はやっていないのは、自分がまだ造形的な探求を完全に成し遂げていないと思うからです。

サシャ異なる作品で同じキャラクターを描いたり、何らかの方法で結びづけたりしますか? 例えば、キャラクターに名前をつけたりしますか?

マイク同じようなキャラクターを描いているとは自分でも時々思います。髪型のせいで、男性の人物はいつも同じように見えると思います。それがちょうど自分の肖像画になるかもしれないとも思います(笑)

サシャ水着や水泳帽はなぜ描いているのですか?

マイク快適でリラックスして楽しいときを描きたいと思っています。ビーチの絵は、水中にいて楽しかったこどもの頃の記憶です。ちゃんとした服を着ていない人物が多いのはそういうわけで、Tシャツやタンクトップ、ショートパンだとすぐに泳げるのです。

サシャ一般的なイメージを作るのとは別に、服や髪型などにいくつかの描きこみがみられますね。それは重要ですか?

マイク適切なイメージを作り上げるのに多くの時間を費やしています。最も魅力的な姿を描こうとしており、うまくいけばある種の人物を表現しています。時々、あまり明確ではありませんが、少し政治的なことや社会的な要素を含めています。