Complémen’terre

コンプレモンテール

フランス / ロワール

マニュエル・ランドロンは、ミュスカデの名手であり、ロワール自然派の先駆として信頼されるドメーヌ・ランドロンの当主・ジョゼフの子息。ドメーヌはマニュエルとマリオンのランドロン夫妻が2013年、ル・パレ村にスタートした。マニュエルはトゥーレーヌのドメーヌのほか、ニュージーランドのフェルトン・ロードや、チリのルイ・アントワーヌ=リュイットなどの自然派生産者の下でも経験を積んだ。約7.7haの自社畑は全てビオロジックで、粘土に変成岩と水晶が豊富。ミュスカデやガメイ以外に、樹齢50年を越える土着品種、フォル・ブランシュ100%のワインも生産する。ミュスカデも、1974年植樹の古木である。ワインは野生酵母のみで発酵させ、醸造中の亜硫酸は添加しない。ミュスカデは、深みあるミネラル感をワインに映すよう、可能な限り長く澱とコンタクトさせる。そのワイン造りは、総じて父のジョゼフよりさらに挑戦的だが、醸造の各段階で分析値を入念に確認しながら進め、安定感も併せ持っている。

ペイ・ナンテ地区

ロワール河の河口から約50km上流で、ローマ時代から交通の要衝だったナント市周辺に広がる地域。片麻岩と花崗岩豊富なミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ(約8,200ha)など、ミュスカデ関連の4つのAOCで知られるエリア。ミュスカデとはワインの名前であり、場所やブドウ品種の名前ではない。品種はシャルドネの従兄弟、ムロン・ド・ブルゴーニュ100%が義務づけられるが、通称としてこの品種をミュスカデ種と呼ぶことも、地元ではある。ムロン・ド・ブルゴーニュの名の由来は、樹の葉がメロンに似ているからだと言われる。ミュスカデは伝統的に大半がシュール・リー製法をとり、発酵槽の中で一定の期間澱と共に熟成を経て、風味と肌理を深める。その方法は、シャンパーニュが瓶内二次発酵時の澱とのコンタクトで風味を深めるのと同じ原理である。ワインは緑を帯びた淡い色調、白い花の香りや火打ち石の香りがあふれる極辛口で、わずかな塩味、そして堅固とも思える酸とミネラルは、小エビ、牡蠣、ムール貝などのシーフードとは、卓越した相性となる。

ロワール

大西洋岸に注ぐフランス最長の河(1,000km)の両岸に続く産地。「フランスの庭園」と呼ばれ、河沿いにかつての王侯貴族の壮麗な古城が多数点在する景観は、世界遺産にも登録されている。この地方はブドウ栽培の北限に近く、ワインは比較的酸が高い。ワインの名称と、それに含まれるワインの関係はかなり込み入っており、例えばソーミュール、アンジュなどの呼称は赤、白、ロゼのどれにも適応され、同じ呼称の中でブドウの品種も甘さの度合いも様々であることが、消費者を戸惑わせることが多い。ともあれ「このエリアはフランスで最も多様で、かつ軽んじられてきた産地。軽く、爽快で、はっきりとした酸味を持ち、昔から魅力的と言われているエリアなのに、現代のワイン消費者は、重さと強さに取り憑かれているため、ロワールは、正当な評価を受けていない」とジャンシス・ロビンソンは喝破する。ロワール河河口から上流に向かって、ペイ・ナンテ地区、アンジュー・ソーミュール地区、トゥーレーヌ地区、ロワール上流地区の、大きく4つのエリアに区分される。

VdF – Pétillant Naturel – Potion Mama Blanc
ペティヤン・ナチュレル ポション・ママ・ブラン

品種:ムロン・ド・ブルゴーニュ主体、フォル・ブランシュ
植樹:2004~2009年
位置:南東向き
土壌:変成岩、水晶、粘土
醸造:ステンレスタンクとボトルで8~13ヵ月間熟成

MaMaはマニュエル(Manuel)とマリヨン(Marion)二人の頭文字と、インカ文明で豊穣の女神を意味する PACHAMAMAに由来する。ラベルは妻マリヨンのアイディアを元に友人の画家がデザイン。無限に広がる渦はこのワインの活き活きとした生命力を、色調は植物やミネラル、炎や水を表現している。繊細な泡は自然酵母による醗酵によるものであり、抜栓数分後にはワインのキャラクターを見せ始め、ヨードを感じさせるミネラル感が特徴的。
¥5280

VdF – La Croix Moriceau 2022
ラ・クロワ・モリソー

品種:ムロン・ド・ブルゴーニュ100%
植樹:1975年
位置:南向き
土壌:変成岩
醸造:マロラクティック醗酵あり。セメントタンクで3ヵ月間熟成

キュヴェ名は、畑の離接する街の名前に由来。2haの広い畑からなる彼らのスタンダードキュヴェ。シュール・リー熟成ならではの厚みのあるうま味、特有のヨード香、伸びやかな酸と、ミュスカデの必要構成要素がすべてそろっている。南向きの畑だからか、同価格帯のケール・マよりも重心が低く、果実味の豊かさがある。2021VTから、VdFでリリース。
¥3520

VdF – Ker Ma 2022
ケール・マ

品種:ムロン・ド・ブルゴーニュ100%
植樹:1955~2014年
位置:標高45m、北東向き
土壌:角閃石、雲母片岩、正片麻岩 (花崗岩類を源岩とする変成岩の一種)
醸造:スキンコンタクト無し。グラスファイバータンクで醗酵。グラスファイバータンクで5ヵ月間熟成

Ker Maとは彼らの生まれた、ブルターニュの方言で、Chez Ma(Maの家)を意味する。Maとはもちろん、彼ら2人(MarionとManuel)のこと。北東向きの畑のためか、同価格帯の、ラ・クロワ・モリソーよりも、重心がたかく、塩味があり、酸の軽快さがある。2022VTから、VdFでリリース。
¥3740

VdF – Le Mortier Gobin
ル・モルティエ・ゴバン

品種:ムロン・ド・ブルゴーニュ100%
植樹:1960年
位置:標高50m、南西向き
土壌:粘土、片麻岩、砂岩
醸造:180日間アルコール発酵。15ヵ月間澱上熟成

土地所有者の名前 Gobinとブドウの収穫される畑の土壌にモルタル (Mortier)のようなべたつきのある粘土層が由来。樹齢も高く、シュールリーで樽熟成を長く行うことで、彼らのワインの中でも、味わいの厚みと骨格のあるキュヴェとなっている。
¥5280

VdF – NoLem 2022
ノルム

品種:ムロン・ド・ブルゴーニュ100%
植樹:1990年(0.25ha) 2000年(0.58ha)
位置:標高50m、西向き
土壌:砂岩、粘土混じりの砂質
醸造:木樽で醗酵。木樽で8ヵ月間熟成

比較的若い樹齢のブドウ樹を、木樽で醗酵している。VdFだが、ミュスカデを名乗る要綱はそろっている。しかしミュスカデの醸造でしばしば採用されるシュールリーは行わず、フレッシュな果実味を活かした味わいを、狙っている。通常のミュスカデとは違う、という意味を持たせるために、ミュスカデ用品種である、Melon(de Bourgogne)を逆さから読んだ、NoLemと名付けた。
¥4180

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