Domaine Dalamara
ドメーヌ・ダラマラ
ギリシャ / マケドニア / ナウサ

ダラマラス家が現ワイナリーのある場所に住み始めたのは1840年からとされ、現在は6代目のコスティス・ダラマラスが運営を行う(2011年から)。コスティスはボーヌの醸造学校を卒業後、ブルゴーニュや南仏のワイナリーで経験を積み、ワインにもそのバックグラウンドがよく表れている。国際的な評価も高く、地域の若手生産者からの信頼も厚い。古くからの農家であるダラマラス家は小さな畑をいくつも持っており、樹齢40年を超える古い樹や、1930年代植樹の自根のクシノマヴロも残っており、ワイナリーを囲むブドウ畑は庭園のように管理が行き届いている。栽培品種のほとんどはクシノマヴロで白品種も少量、ギリシャ最北端の地域といえど、温暖化の影響により気候は暑くなってはいるが、ヴェルミオ山(2601m)とその裾野に多く残る森のおかげで冷涼さは保たれている。クシノマヴロは酸と強いタンニンが特徴の品種だが、コスティスはモダンな感性と丁寧な醸造により、地域の冷涼さを活かしたエレガントなワインを生み出す。
ナウサについて
1971年にギリシャ初の原産地呼称(PDO)を獲得したワイン生産地。ギリシャという言葉からイメージする島々の風景とは違い、ヴェルミオ山(2061m)の東側の麓のこの地域は、森の木々も豊富な地下水や川のおかげで大きく成長し、現地に行くと緑の濃さに驚かされる。ブドウの栽培面積は500haでワイナリーの数は20~25軒とワイン産業に支配される土地ではなく、桃、サクランボ、オリーブなども地域の重要な特産品だった。ギリシャの最重要赤品種の一つであるクシノマヴロ酒のネッビオーロ酒との近似性により、地域自体もピエモンテ州と比較されることもしばしばあるが、ナウサはまさしく山の足元の生産地域で、ピエモンテ州はその名の由来であるアルプス山脈からは遠い。また両者のブドウ栽培環境を見るとナウサの方は圧倒的に森が多く残っている。ナウサではフィロキセラ禍後のブドウ畑の回復は1970年代に入りようやく計画され、山間部の湖周辺の砂地土壌のおかげでフィロキセラ禍を免れたクシノマヴロからクローンが選抜されアメリカ台木に接木の上、植え付けがされていった。ブドウ畑は標高150-450m、そのほとんどは標高150-250mに分布していている。クシノマヴロは”黒い酸”というその名が示す通り、酸と強いタンニンが特徴の品種だが、モダンなスタイルでは妖艶な果実味も魅力の一つで、生産者により大きくスタイルは異なる。
ギリシャについて
15世紀から数百年続いた、ギリシャのオスマン帝国による支配は、ギリシャのブドウ栽培とワイン造りを衰退させた。20世紀に入ってもその状況はすぐには変わらず、キリスト教徒はワイン造りを禁じられてはいなかったが、トルコの支配者にとっては、増税手段の一つでしかなかった。 1937年にワインの品質向上を目的とした《アテネ・ブドウ研究所》が創設されたが、ほとんどのワインがバルクワインとして販売されてきた。1970年代になって近代醸造設備と、教育を受けたギリシャ人の醸造技術者によるワイナリーから高品質のワインが生まれるようになっていく。 前述のとおり長期間の技術的空白はあるが、ギリシャにはそれを補って余りある可能性が眠っている。数々の島々を初めとする、固有のミクロクリマと、テロワール。またギリシャ本土北部やバルカン半島南部では、その風景は一変する。そしてそれらの地域に順応した300種を超えるとされるブドウ品種からは、ユニークな個性を持ったワインが生まれる。
Imathia – Thoos 2022
イマスィア ソース
品種:アシルティコ、プレクナディ
位置:標高280~300m
土壌:石灰質
醸造 ステンレスタンクで醸造。ステンレスタンクで半年間熟成。
桃や梨、乾燥ハーブ。温暖化により以前より果実味のしっかりとしたワインができるようになったので、近年はプレクナディ種(グリーンアップルのさわやかな酸味、アルコール度数の低い品種)をブレンドし、バランスをとっている。
¥2860
Naoussa – Dalamara
ナウサ ダラマラ
品種:クシノマヴロ100%
植樹:1999年、2005年、2009年
位置:標高220~250m、南東
土壌:石灰岩土壌、石灰岩、粘土質土壌(複数の畑)
醸造:ステンレスタンクで20日間マセレーション。木樽にて7ヵ月間熟成。
パリオカリアス畑に植わる若樹産ブドウと、ガストラとポッラ・ネラの両畑産とから造られる。エントリーレベルのワインではあるが、熟成の大部分は樽熟成で、ドメーヌ・ダラマラの目指す集中力と複雑味を備えた堂々たるクシノマヴロ酒。収穫年より3年は果実味の落ち着き、柔らかくなるタンニン、開けるたびの変化に驚くだろう。
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