Domaine Sylvain Pataille

ドメーヌ・シルヴァン・パタイユ

フランス / ブルゴーニュ

コート・ド・ニュイの北部「マルサネ」と、長らく脇役に甘んじてきた印象のある品種アリゴテの既成概念と評価を打ち破り、一新する力量を持つ生産者。当主シルヴァン・パタイユは、ボーヌとボルドーの二つの醸造学校を卒業後、故郷ブルゴーニュで醸造コンサルタントとしてワイン醸造にかかわってきた。1999年に祖父の畑を譲り受け、自社での生産を開始。現在は契約畑を含め16haを耕作。醸造は野生酵母のみで、原則的に全房で発酵させ、北部の涼しいエリアでも熟成に耐えるワインを造るため、果皮を煎じるようにゆっくりと長めのマセレーション(30日前後)を行う。その手腕は現地でも大いに評価され、長らく醸造コンサルティングの契約を10~15社行ってきたが、近年はコンサルティングをやめ、ドメーヌの仕事に注力している。

コート・ド・ニュイについて

ブルゴーニュの心臓部、コート・ドールの北半分。コート・ドールは、まさに黄金を生む丘として“金の丘”との訳語が多いが、本来は東向きの丘(コート・ド・オリエント)の略語である。ナポレオンが愛飲したシャンベルタンを生むジュヴレ・シャンベルタン村、ロマネ・コンティ、ラ・ターシュなどを生むヴォーヌ・ロマネ村ほかが含まれる。フランスの栄光を担う、ブルゴーニュの全30のグランクリュの大多数を擁する傑出した銘醸地域である。ワインは極少ない例外を除き、ピノ・ノワール主体。ただし、欠点は“不確実性”という声は多く、近年さらに激化した価格高騰の中、「グランクリュは(時にお粗末なワイン造りのせいで)期待外れに終わることが多い」、「有名アペラシオンには、格別優れたワインもある一方、品質より儲けに躍起になるボトラーが、ブルゴーニュの中でも最悪な粗悪品を流すことがあり、くれぐれも注意すること」とジャンシス・ロビンソンは警鐘を鳴らす。北端から南端までの距離は約21km。

ブルゴーニュについて

北端のシャブリとその周縁、偉大なグランクリュの数々を含むコート・ドール、その南に続くコート・シャロネーズ、マコネ、ボジョレまでを含む地域の総称。大規模農園が多いボルドーと異なり、ここでは農園は相続を繰り返すごとに細分化され、農家の畑の平均は約6ha。通常一つのアペラシオン名を有する区画が多くの生産者に分割所有され、その最たる例のクロ・ヴージョは約50haが90の農家に分割所有される。ラ・ターシュなどのように一つのクリュの一生産者単独所有(モノポール)は稀有な例外である。それゆえ同じアペラシオンのワインでさえ、生産者によって「悲惨な代物から、素晴らしい逸品まで」と言われるほど品質のバラツキ、不確実性が顕著。ワインの生産形態も三つに大分され、1.ネゴシアン(買いブドウ/ワイン)を集めてブレンド。2.ネゴシアン自社畑栽培・自社醸造。3.ドメーヌ(農家の自社栽培・醸造がある)。なかには、まさに魂をゆさぶる、人知を越えた名品があるとさえ思わされるが、それにたどり着くのは至難である。

Bourgogne Aligoté
ブルゴーニュ・アリゴテ

品種:アリゴテ・ドレ100%
植樹:1930年代~1961年
位置:標高250m、東向き
土壌:粘土、泥炭岩、石灰岩、砂利
醸造:木樽とステンレスタンクで醗酵。古樽で18か月熟成。

シャン・フォレとレ・ゾヴォンヌの畑の買いブドウ。マルサネ村にはシルヴァン所有の畑だけでなくとも、アリゴテの古樹が残る。アリゴテの農家を買い支えるためにも、シルヴァンは本キュヴェを造り続ける。エントリーレベルのアリゴテながら、単純さはなく、複雑味を備えている。
¥6380 (2022)

Bourgogne Rouge
ブルゴーニュ・ルージュ

品種:ピノ・ノワール100%
植樹:1950~1970年代
土壌:粘土石灰質
醸造:樽(新樽15%)で醗酵。古樽で12ヵ月間の熟成。

マルサネ村周辺の買いブドウによるエントリーレベルのピノ・ノワール。すべてがバイオロジック栽培認証のブドウではないが、マルサネではコート・ドールでは珍しく、90%の畑でバイオロジック栽培が行われていて、認証がなくともシルヴァンが良いブドウを栽培していると判断した農家からのみブドウを購入。
¥7370 (2022)

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