Envinate

エンビナーテ

スペイン / カナリア諸島

“エンビナーテ”はラウラ、ホセ、ロベルト、アルフォンソの4人組からなるワインメーカーグループである。大学の同窓で、2005年にワイン造りのコンサルタント業を始めたことが、エンビナーテの始まりである。“4つの頭、8つの目でいつも考えているのさ”と言う彼らは、お互いへの強い信頼で結ばれており、各地方の担当はあれど、可能な限り4人で畑に立ち、栽培、醸造方針を決めている。

DOリベイラ・サクラ

その聖なる(Sacra)河(Ribeira)と、河を見下ろす急斜面の景色には圧倒される。1996年にDO認定され、メンシアとそれと混植されるその他の地品種が多く栽培される。アルフォンソは、森林消防隊員であった頃に見た、ヘリコプターの上から見た景色に、心を奪われた。“このテラスはエジプトのピラミッドのようなものだ。今造ろうと思ってもとても、できるものではない。信仰と気の遠くなる時間をかけて人がつくったもの”だとアルフォンソはその景色を評する。近年この地域のワインは、伸びやかな味わいのワイン造りで国際的評価も得ているが、その中でもエンビナーテはひときわ異彩を放っている。

DOアルマンサ

カスティーヤ・ラ・マンチャの南東の端のDOアルマンサは、緩やかな丘や平野が続くが、中央台地(メセタ)に位置するため、標高は800mと高く、大陸性気候の厳しい環境である。ホセはこの地方のアルバセテという街の出身であり、ゴブレ仕立ての広大なワイン畑がどこまでも続く景色を見て育った。モナストレルや、ガルナッチャ・ティントレッラなどの品種が、栽培面積のほとんどを占める地域ではあるけれども、エンビナーテの活動する他の地域同様、地品種を栽培して混醸される。

カナリア諸島

常春のカナリア諸島は7つの島からなる。ロベルトの生まれたテネリフェ島は、スペイン領内最高峰の、標高3718mのテイデ山を有する火山島で、地域ごとにブドウ畑の風景も大きく変わる。温暖湿潤な北側のタガナン村のブドウ畑は鬱蒼としており、急斜面の不規則なテラスにブドウ樹が這うように茂る。オロターヴァ地域では、三つ編み仕立てとでもいうべき、10m以上にもなる、枝の絡み合ったコルドン・トレンサーダ(三つ編みの意)で仕立てる。さらに、標高1000mのテイデ山の麓では、極度の乾燥にも適応しやすいとされる、ゴブレ状に仕立てられる。それぞれのエリアの迫力のある畑の様子に加え、エンビナーテ4人の無理のない醸造により、風景そのものを封じ込めたようなワインへと変化する。

スペインについて

世界一位のブドウ栽培面積をほこる、スペインのワイン産業は、大規模に海外へと輸出することで、成り立ってきた。19世紀初頭までは、南アメリカの植民地へ、19世紀後半からは、鉄道の発達とともに、地続きのフランスへ大量のワインが輸出された。1960年代から近代醸造技術の導入が活発になり、シェリーブームがおとずれ、リオハワイン人気も再燃した。21世紀になりスター生産者の登場により、高品質なワインの存在も認知されているはずだが、日本ではスペインワインというと、まだまだ安ワインのイメージが拭えない。イベリア半島は、中央台地(メセタ)が国土の大半を占めており、沿岸部から数十kmも内陸部へ入ると、標高が600〜1000mの高さまでになる。中部から南部にかけては乾燥した気候も幸いして、病害も出にくく、ブドウ栽培のまさに好適地である。 近年では、カタルーニャ地方の動きが目立つが、北部の降雨量の多い地域や島々を含めたスペイン各地で、新世代の造り手たちの手により、地品種と伝統的な製法でのファインワインが、同時多発的に生まれている。

Benje Blanco 2022
ベンヘ・ブランコ

品種:リスタン・ブランコ
植樹:1910~1930年
位置:標高1000m以上、複数の畑
土壌:様々な火山性土壌
醸造:セメントタンクで発酵。セメントタンクとバリックで8ヵ月間熟成。
テネリフェ島南西部、イコデン・ダウテ・イソラ地域内の、サンティアゴ・デル・テイデ村付近の畑。標高1000mを超え、夏の間もほとんど雨の降らない地域で、リスタン・ブランコの古樹がゴブレ仕立てで残っている。山の中の畑とは言え、海からの距離は5㎞程度で、味わいにもヨード香など海の要素を強く感じる。

個性的なヨード香、ナッティーなニュアンス、海の塩気を想起させる。味わいは引き締まり、アルコール度数も12%と低めでまとまり良く、この価格帯の白ワインの中でも特に優れている印象。
¥4070

Benje Tinto
ベンヘ・ティント

品種:リスタン・プリエト主体、ティンティーリャ
植樹:1910~1930年
位置:標高1000m以上、複数の畑
土壌:様々な火山性土壌
醸造:2~4週間セメントタンクでスキンコンタクト。バリックで8ヵ月間熟成。
テネリフェ島南西部、イコデン・ダウテ・イソラ地域内の、サンティアゴ・デル・テイデ村付近の畑。標高1000mを超え、夏の間もほとんど雨の降らない地域で、リスタン・プリエトの古樹がゴブレ仕立てで残っている。火山島のテネリフェ島であることからどのエリアのワインからもスモーキーな香りや、火薬を思わせる香りがするが、ベンヘ・ティントの場合は特に顕著に感じる。少し還元的なニュアンスと合わせて、少し閉じた印象を与える。待つ価値あり。

Lousas Vinas de Aldea
ロウサス・ビニャス・デ・アルデア

品種:メンシア90%、土着品種10%(メレンサオ、ブランセリャオ、カイーニョ、アリカンテ)
位置:標高400-600m
土壌:片岩、粉砕粘板岩、花崗岩
醸造:セメントタンクで20~40日間マセレーション。セメントタンクとバリックで12ヵ月間熟成。

キュヴェ名のビニャス・デ・アルデアは村の畑を意味し、複数の畑のブドウから造られる。位置づけ的にはいわゆるブルゴーニュの村名ワイン。ブドウは区画ごとに醸造され、通常木製樽とセメントタンクで半分ずつ熟成される。充実した果実味があるが、抽出は非常にデリケートで重たさを感じない。

味わい全体はよく引き締まり清涼感も充分あるのに角がなく、涼しさを感じる赤ワインとして是非おすすめ。
¥4290 (2022)
¥4620 (2023)

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