Face B

ファス・ベー

フランス / ラングドック=ルシヨン

「B面(=Face B)曲はヒット曲ではなく、発見の喜びをもたらす隠れた名曲であると同時に成熟と忍耐の末に訪れる第二の人生の具現化でもある。」

リヨン出身のセヴランがカルス村でワイン造りを始めたのは、2016年のこと。それ以前はCAVB(ブルゴーニュ原産地・生産者組合)に8年間勤めていたが、彼の最初のワイン造りを体験したのもカルス村で2004年のことで、ブルゴーニュにいる間も定期的にカルス村での収穫に参加してきた。最終的に自身のワイン生産地としてカルス村を選んだ決め手となったのは、地域一帯の人間関係、友情に強く惹かれてこの地に落ち着いたのだという。
8haの畑はバイオロジック栽培で管理されておりセラーは熱い石壁の地上セラー。全ての醸造は自然酵母で、マセレーションは全体的に短く淡く。そして翌年の春には瓶詰をすることが多い。年によってはやや青い酸を感じることもあるが、清涼感を伴った南仏ワインとして、他には見当たらないバランスに仕上がっている。ラシーヌ初輸入の2021VTは雨の多かった年で、際立った酸の傾向が特に強かった。

ルシヨンについて

フランスとスペインの国境、ピレネー山脈の東麓、地中海近辺に広がる産地。中心都市ペルピニャンは、フランスで最も雨が少なく暑い町(年平均降水量570mm、7月平均気温23.7℃)。9月の平均降水量もわずか50mmと、収穫期にほとんど雨が降らないのもこの地域の利点である(数値はペルピニャン観測所発表)。辛口ワインは、コート・デュ・ルシヨンが基本AOCでカリニャン、グルナッシュ、サンソーが主体。近年はシラーとムールヴェドルの生産が伸びている。村名が許されたコート・デュ・ルシヨン・ヴィラージュは、より際立った陽性のワイン(赤のみ)で、レスケルド、カラマニなどの上級AOCは、しっかりと強固で熟成に適した価値あるワインであり、そのアロマは土壌に由来する。エリアは東西70km、南北50kmほどで、ラングドックよりも狭い。歴史的にこの地をスペイン・カタルーニャ地方の一部と考える住民が多く、方言はフランス語よりスペイン語に似る。

ラングドック=ルシヨンについて

ローヌ河の河口近くから、スペイン国境・ピレネー山麓にまで。地中海沿いに広がる、フランス最大の面積を持つワイン産地。モンペリエ周辺からナルボンヌ、リムーにまで、東西150km以上に渡って続くラングドック地方と、最南西端でピレネー山脈に接し、カタルーニャ地方の一部とも考えられているルシヨン地方から成る。ワイン生産の歴史は6世紀にまで遡る。20世紀後半までは「歯磨き用」とさえ揶揄された低価格ワインを大量に生んだが、1980年代から品質重視への変革が進行し、脚光を浴びている。ルシオンは伝統的には甘口ワインのヴァン・ドゥー・ナチュレル(VDN)も有名で、全仏のVDNの約90%がこの地産。中でもリヴザルト、および「フランス最良のVDN」とジャンシス・ロビンソンが言うヴァニュルスがその代表格。近年は、ルシオン辛口ワインの開拓者とも言えるジェラール・ゴビーの成功に続けとばかりに、世界中からワイン造りに夢を抱く若者の移住や入植が増加している。

VdF – Nous deux
ヌ・ドゥー

品種:マカブー、グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ
植樹:1950~1980年代
位置:標高200m
土壌:シスト、粘土石灰質
醸造:樽醗酵。半年間樽熟成。

品種構成としては主体のマカブーに、グルナッシュを少量加えた(=Engrenaches)、エントリーレベルのキュヴェ。シンプルな造りながらFaceBの、清涼感とかすかな南の果実味を感じさせるスタイルがよくわかる。2022VTより、名称を「Engrenaches」から「Nous deux」へ変更してリリース。
¥4400

VdF – Three Little Birds
スリー・リトル・バーズ

品種:マカブー100%
位置:標高200m
土壌:シスト
醸造:セメントタンクに約半分の収穫を入れ、残りの半分をダイレクトプレスして1週間マセレーション。半年間樽熟成。

Face Bの生産するワイン全体に通じる軽やかさに果皮由来のナッツの香りと、グリップのあるタンニンを軽く感じる。
¥4950

Related Articles

Philippe Pacalet

フィリップ・パカレ フランス/ブルゴーニュ 自然と生命に最大限の敬意を抱くリアリスト 「マルセル ラピエールの甥であり、プリューレ ロックの醸造長を務めた人物」フィリップ パカレを紹介する際の常套句です。しかし、様々な噂…

Clos Présent

クロ・プレザン フランス / ラングドック=ルシヨン パリにて幼少期を過ごしたソフィーは、ブルターニュ地方、レンヌにて生物学学士を取得。ワインの道ではなく、生物により興味があり乗馬の指導員として、そして馬へのエチオパシー…

Alice et Olivier de Moor

アリス・エ・オリヴィエ フランス / ブルゴーニュ ディジョン大学・醸造学部の同級生だったアリスとオリヴィエの二人が1994年、計4haの畑からスタートしたドメーヌ。アリスは祖父が農家で、シャブリのほかオーストリア、ポル…

Richard Cheurlin

リシャール・シュルラン フランス / シャンパーニュ リシャールは、ブドウ栽培農家の5代目。自家所有する畑で栽培したブドウだけを用い、オーナーみずからが醸造する「レコルタン=マニピュラン」として創業したのは1979年のこ…

Domaine Sylvain Pataille

ドメーヌ・シルヴァン・パタイユ フランス / ブルゴーニュ コート・ド・ニュイの北部「マルサネ」と、長らく脇役に甘んじてきた印象のある品種アリゴテの既成概念と評価を打ち破り、一新する力量を持つ生産者。当主シルヴァン・パタ…

Responses

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です