Hervé Villemade
エルヴェ・ヴィルマード
フランス / ロワール

手頃な価格帯のワインの域を大きく超える、清澄な果実味と生命感あるワインで、フランスで熱心なファンを持つエルヴェ・ヴィルマード(旧ドメーヌ・ドゥ・ムーラン。2015年に社名変更)。シュヴェルニーにあるドメーヌの歴史は、エルヴェの祖父が創業した1939年に遡る。エルヴェはティエリ-・ピュズラとの親交からヴァン・ナチュールに傾倒し、1999年ビオロジック開始、2002年にエコセールの認証を取得した。現在自社畑22ha,契約畑13ha。セラーでも、伝統的器材に潤沢に投資し、発酵は台形木製タンク(高価)も多数使用。熟成にも15hlの木樽や、台形木製タンクを多く用いる。2014年以降は、ジョージア産アンフォラでの発酵・熟成も試みなど、意欲的。亜硫酸塩の添加は醸造時ゼロ、瓶詰め時のみ10mg/Lにとどめる。ジューシーで格調高い酸が心地よいシュヴェルニー・ルージュは、ピノ・ノワール主体。ロワールの稀少土着品種ムニュ・ピノにも注力し、その持ち味であるくっきりとした鉱物感も見事に表現する。
ロワール河上流地区について
「フランスで多分、最も見分けやすい爽やかな白ワイン。ソーヴィニヨン・ブランは世界で最も素晴らしく、最も洗練されたワインを生み出すことができる」とジャンシス・ロビンソンが語るサンセールとプイイ・フュメが、この地域の代表格。ともに石灰粘土の丘陵と、ほぼ大陸性気候の中で育ち、一部のクリュには火打ち石が豊富に含まれ、シャブリと同じ中生代ジュラ紀キンメリジアン階の粘土石灰岩が現れる地域もある。プイイ・フュメは全て白、サンセールは生産の8割以上が白。ロワール河上流地区では最も河下で、トゥーレーヌに隣接するシュヴェルニーは,1993年にAOC認定された比較的新しいアペラシオン。ロワール河の砂土、粘土、小石が主な土壌で、赤白ともブレンドが必須。白はソーヴィニヨン・ブラン60~85%。赤はガメ40~60%、カベルネ・フラン、コは15%以内。ピノ・ノワールもブレンドに多用される。AOCクール・シュヴェルニーは白のみで、ロモランタン100%が義務づけられる。
ロワールについて
大西洋岸に注ぐフランス最長の河(1,000km)の両岸に続く産地。「フランスの庭園」と呼ばれ、河沿いにかつての王侯貴族の壮麗な古城が多数点在する景観は、世界遺産にも登録されている。この地方はブドウ栽培の北限に近く、ワインは比較的酸が高い。ワインの名称と、それに含まれるワインの関係はかなり込み入っており、例えばソーミュール、アンジュなどの呼称は赤、白、ロゼのどれにも適応され、同じ呼称の中でブドウの品種も甘さの度合いも様々であることが、消費者を戸惑わせることが多い。ともあれ「このエリアはフランスで最も多様で、かつ軽んじられてきた産地。軽く、爽快で、はっきりとした酸味を持ち、昔から魅力的と言われているエリアなのに、現代のワイン消費者は、重さと強さに取り憑かれているため、ロワールは、正当な評価を受けていない」とジャンシス・ロビンソンは喝破する。ロワール河河口から上流に向かって、ペイ・ナンテ地区、アンジュー・ソーミュール地区、トゥーレーヌ地区、ロワール上流地区の、大きく4つのエリアに区分される。
VdF – Bulle 2020
ビュル
品種:シュナン・ブラン、シャルドネ、ムニュピノ
植樹:1980年代
位置:標高75~115m
土壌:粘土質、シレックス
醸造:ブドウを直接プレスして、醗酵が完全に終わる前に瓶詰め。6~12ヵ月間おいた後にデゴルジュマ
ン。
2016年にビオロジック認証取得。ドザージュはしないが、ほんのり甘味を残した味わいに仕上げるのが、エルヴェの腕の見せ所。メトード・アンセストラル。
¥4400
VdF – Bulle Rosé 2023
ビュル・ロゼ
品種:ピノ・ドニス
土壌:シレックス混じりの粘土質
醸造:醗酵が完全に終わる前に瓶詰め。6ヵ月間おいた後にデゴルジュマン
ロワール (ヴァンドモワ Vendômois)からの買いブドウ。ビオロジック栽培の畑。
¥4620
VdF – Sauvignon 2023
ソーヴィニョン
品種:ソーヴィニョン・ブラン100%
植樹:1986年平均
位置:標高75~115m
土壌:粘土質、シレックス
醸造:グラスファイバータンクもしくはステンレスタンクで醗酵。樹脂製タンク及び琺瑯タンクで4~5ヵ
月間熟成。
りんごやカリンを思わせる香り。果実味たっぷりだが、ソーヴィニョン・ブランの品種由来のほんのりとした苦みが、後味をしめる。
¥3630
VdF – Gamay 2022
ガメ
品種:ガメ100%
醸造:円錐台の木製樽で4ヵ月間熟成
ロワール(ヴァレ・デュ・シェール Vallée du Cher)からの買いブドウ。自社畑のワインと同じように、フィルターなし、自然酵母、醸造中の亜硫酸無添加、無濾過で造られる。エルヴェ・ヴィルマードらしい、軽快な飲みごこち。
¥3630
VdF – Côt 2020
コ
品種:コ100%
醸造:円錐台の木製樽で9ヵ月間熟成。ロワール(ヴァレ・デュ・シェール Vallée du Cher)からの買いブドウ。自社畑のワインと同じように、フィルター、自然酵母、醸造中の亜硫酸無添加、無濾過で造られる。
ロワール(ヴァレ・デュ・シェール Vallée du Cher)からの買いブドウ。自社畑のワインと同じように、フィルター、自然酵母、醸造中の亜硫酸無添加、無濾過で造られる。エルヴェ・ヴィルマードらしい、軽快な飲みごこち。ガメより少し長く、樽熟成が長い。エルヴェ・ヴィルマードらしい、軽快な飲みごこち。ガメより少し長く、樽熟成が長い。
¥3520
VdF – Pinot Noir 2022
ピノ・ノワール
品種:ピノ・ノワール100%
醸造:円錐台の木製樽で6ヵ月間熟成
ロワール(ヴァレ・デュ・シェール Vallée du Cher)からの買いブドウ。自社畑のワインと同じように、フィルターなし、自然酵母、醸造中の亜硫酸無添加、無濾過で造られる。
¥4290
Cheverny Rouge – Domaine 2022
シュヴェルニ・ルージュ ドメーヌ
品種:ピノ・ノワール60%、ガメ40%
植樹:1980年年代以降
位置:標高75~115m、平地
土壌:粘土質、シレックス
醸造:全房醗酵で2週間マセレーション。木製タンク、コンクリートタンク、
228L樽で6ヵ月間熟成。
軽やかさと、しっかりと熟した果実味の共存するワイン。ピノ・ノワールがシルキーなタンニンとリコリスのような香りを、ガメがフレッシュな後味を与える。気軽なワインバーだけでなく、レストランなど、様々な場面で楽しめるワイン。
¥3630
Cheverny Blanc – Domaine 2022
シュヴェルニ・ブラン ドメーヌ
品種:ソーヴィニョン・ブラン主体、シャルドネ
植樹:1990年代以降
位置:標高75~115m
土壌:粘土質、シレックス
醸造:グラスファイバータンクもしくはステンレスタンクで醗酵。樽熟成。
シレックスを多く含む土壌で、ソーヴィニョン・ブランの果実味と香り、シャルドネの垂直的な鉱物感が特徴。
¥3630
VdF Rouge – Cuvée BOVIN Rouge 2022
キュヴェ・ボヴァン・ルージュ
品種:ガメ
植樹:1975年~1994年
位置:標高75~115m、平地
土壌:粘土質、シレックス
醸造:コンクリートタンクで約2週間全房マセレーション。木製タンクで熟成。
可愛い牛(=Bovin:フランス語)のデザイン。1L瓶で、早詰め、早飲みがコンセプト、プリムールのような気軽なワイン。昔のリットル売りしていた頃の文化に因んでボトルも1L瓶かつリサイクル。そのため瓶それぞれの色が違う。
¥3520
Cheverny Blanc – Montcrochet 2021
シュヴェルニ・ブラン モンクロシェ
品種:ソーヴィニョン・ブラン35%、ソーヴィニョン・ロゼ35%、シャルドネ20%、ムニュ・ピノ10%
位置:標高75~115m
土壌:粘土質、シレックス
醸造:グラスファイバータンクもしくはステンレスタンクで醗酵。アンフォラと木樽で熟成。
Montcrochetはセラーから5km程離れた、複数の品種の植わる区画。ソーヴィニョン系の香りや、果実味よりも酸味とミネラルを基調とした味すじ。瓶詰め前の熟成期間も長いので落ち着いている。
ソーヴィニョン・ブランらしい華やかでアロマティックなニュアンスの中に、白胡椒のようなスパイシーな風味、ミネラリティ―ある酸が調和している。
多様な面があるが、味わいは明るく軽やか。
¥4620
Temps Present 2023
タン・プレザン
品種:ムニュ・ピノ100%
植樹:1975年、2010年
位置:標高100~150m
土壌:砂を含む粘土石灰質
醸造:琺瑯タンクで醗酵。琺瑯タンクでシュールリー熟成。翌年春に瓶詰め(ティラージュ)。1年後にデゴルジュマン。
2023年に跡継ぎのいなくなった友人からムニュ・ピノの畑を買った。長い間バイロジック栽培で行われてきたため、畑の状態も特別良かったので購入に踏み切った。表土の石が少なく涼しい土壌で、23VTには際立って美しい酸の果汁が取れたので、一時醗酵後の試飲の結果、メトード・トラディショネルを造ることに決めた。キュヴェ名(”Temps Présent”=”今この瞬間”)とラベルは写真家に依頼。長時間露光で撮影した水平線がモチーフ。
「澄明」という言葉が頭に浮かぶような澄み渡った味わい。辛口ですっきりとしているので暑い季節にも飲みやすい。
¥4840
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