Il Palazzino
イル・パラッツィーノ
イタリア / トスカーナ

「キアンティ・クラッシコ、ガイオーレ地区にあり、どこよりも古典的で長命なワインを造るモンティ村は、トスカーナ(いや、事実上イタリア)の中でも最高のワイナリーがいくつか存在する」とM.W.ニコラス・ベルフレージが記する。その標高400m付近に、昔から地元で“ザ・クリュ”と畏敬される畑を所有する生産者。オーナー、ズデルチ家は入念なグリーン・ハーヴェストによる収量制限と、収穫時の徹底した選果を行い、最上の樽のワインのみを自社瓶詰めする。それによりワインはフィネス、温和な優しさ、芳醇、豊かなスミレとラズベリーのブケを湛える。
2013年以降、モンテヴェルティーネなどの栽培を手掛ける、ルジェーロ・マッツィーリのコンサルティングのもと、さらに一段とワインの優雅さと味わいのエネルギー感が向上。歴史あるワイナリーは父アレッサンドロに息子エドアルドが加わった新体制下で、近年劇的な向上を見せつつある。
キアンティについて
15世紀以来「キアンティ」という地名は北はフィレンツェから南はシエナまでの広大な地域を指す。標高800mまでの丘陵があるが、ワイン造りは250~500m前後の高度が中心。最初にキアンティの境界を定めたのは、1716年トスカーナ大公・コジモ3世。1932年に、広がり続けるキアンティの呼称に対抗し、9村・計7万haが“伝統的”区域としてクラッシコの呼称を得、その際の境界は現在も不動。キアンティ・クラッシコは長らく白ブドウのブレンドが必須だったが、サンジョヴェーゼ100%の認可は1996年以降。2000年には国際品種のブレンド率を20%まで引き上げた(DOCG初年の1984年は10%)。現在、生産者は約350社。この「キアンティ・クラッシコ」の周辺に広がる形でDOCGキアンティとして、ルフィナ、コッリ・セネージなど7つの地域が認定されている。この地域でも生産者の力量しだいで、高名なクラッシコに勝るとも劣らないワインも生まれている。
トスカーナについて
サンジョヴェーゼ品種の最重要生産地であり、その王国。20世紀末の短期間、主に伝統産地外の沿岸部などで、ボルドー品種とバリック新樽を用いた濃厚なワインが“スーパー・タスカン”と称され、世界を席巻したが、近年はよりピュアにサンジョヴェーゼの美点を追求する生産者に再び注目が集まっている。ただし区分したいのは“スーパー・タスカン”の中でもかつては主にキアンティ・クラッシコDOCG法外だった100%サンジョヴェーゼを敢行したゆえのワインたち。それらの生産者の中には、サンジョヴェーゼ100%がDOCG法認可された後も、IGTにとどまり偉大な深みを持つワインを生み続ける生産者が少なくなく、同じ“スーパー・タスカン”の中でもボルドー品種主体のものとは区別して把握・評価するべきだろう。また、この州の人々は歴史的に進取の気性に富み、常に探求と挑戦と共にワイン造りも変化する。その様子を、ヒュー・ジョンソンは「旧世界の中の新世界」とさえ評している。
IGT Toscana – Rosso del Palazzino
トスカーナ ロッソ・デル・パラッツィーノ
品種:サンジョヴェーゼ主体
植樹:1972年
位置:南西向き斜面
土壌:ガレストロ、砂利が豊富
醸造:ステンレスタンクで10日間のマセレーション。ステンレスタンクとセメント槽の併用で14ヵ月間熟成。
ワイナリーのエントリーレベルのワインで、シンプルなサンジョヴェーゼ主体の赤ワイン。
¥3300 (2021)
¥3190 (2020)
Chianti Classico Gran Selezione – Argenina
キアンティ・クラッシコ・グラン・セレツィオーネ アルジェニーナ
品種:サンジョヴェーゼ主体
植樹:1999年、2003年(サンジョヴェーゼ)、1999年、2003年(カナイオーロ)
位置:南、南東、南西向き斜面
土壌:石灰質土壌
醸造:ステンレスタンクで10~15日間のマセレーション。ステンレスタンクとオーク樽
(15HL)の併用で30ヵ月間熟成。
アタックのやわらかいミディアム・ボディ、丸みがあり果実味を伴ったフィニッシュへ続く。やわらかい飲み口が特徴の優美なワイン。2018VTより、樽熟成期間を30ヵ月間に伸ばし、『グラン・セレツィオーネ』(自社畑ブドウ、30ヵ月間熟成などが規定されている)の格付けとしてリリースしている。
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