Les Cailloux du Paradis
レ・カイユ・デュ・パラディ
フランス / ロワール

「奇跡のワイン」とも呼ばれ、フランスに熱狂的な信奉者を持つ、クロード・クルトワ夫妻のワイン。1995年のファースト・ヴィンテッジ以来、極端なまでの低収穫と、極々一部の例外を除いて醸造・瓶詰めとも亜硫酸塩無添加が生み出すワインは、ショーヴェ、オヴェルノワらに続く純正ヴァン・ナチュールの偉大な始祖作として、世界のワイン生産者に影響を与えた。クロードの信念は「畑の環境の調和が完全ならば、収穫期が雨でも腐敗果の心配なく、素晴らしいワインができる。私は醸造家であるよりも、農夫であり続ける」。その一環として、畑では樹の添え木も、効率的な鉄やコンクリートではなく、周辺の森から自分で切り出したアカシアの木を使う。醸造は年により30ヶ月ものマセレーションも行う。熟成には30~50年ものの木樽も併用。代表作のラシーヌ・ルージュは一口飲めば、そのあまりの口当たりの優しさと神妙なテクスチャーで、鬼気迫る魔性のワイン。現在、自社畑面積6.1ha,平均年産24,000本で、クロード夫妻の三男、エティエンヌがラシーヌ・ルージュ以外を担当。
ロワール
大西洋岸に注ぐフランス最長の河(1,000km)の両岸に続く産地。「フランスの庭園」と呼ばれ、河沿いにかつての王侯貴族の壮麗な古城が多数点在する景観は、世界遺産にも登録されている。この地方はブドウ栽培の北限に近く、ワインは比較的酸が高い。ワインの名称と、それに含まれるワインの関係はかなり込み入っており、例えばソーミュール、アンジュなどの呼称は赤、白、ロゼのどれにも適応され、同じ呼称の中でブドウの品種も甘さの度合いも様々であることが、消費者を戸惑わせることが多い。ともあれ「このエリアはフランスで最も多様で、かつ軽んじられてきた産地。軽く、爽快で、はっきりとした酸味を持ち、昔から魅力的と言われているエリアなのに、現代のワイン消費者は、重さと強さに取り憑かれているため、ロワールは、正当な評価を受けていない」とジャンシス・ロビンソンは喝破する。ロワール河河口から上流に向かって、ペイ・ナンテ地区、アンジュー・ソーミュール地区、トゥーレーヌ地区、ロワール上流地区の、大きく4つのエリアに区分される。
VdF – Quartz クォーツ
品種:ソーヴィニョン・ブラン100%
植樹:1999年
位置:標高110m、南西向き
土壌:シレックス
醸造:木樽で醗酵。木樽とタンクで18ヵ月間熟成
クォーツの名の通り、鉱物感を強く感じるキュヴェ。以前はソーヴィニョン・ブランで、本キュヴェと、プリューム・ダンジュを造っていたが、2018年以降はブレンドしている。いわゆるソーヴィニョン・ブランの香りは控えめで、透き通った酸が特徴。
VdF – Racines Blanc ラシーヌ・ブラン
品種:ソーヴィニョン・ブラン、シャルドネ、ロモランタン、ムニュ・ピノなど
植樹:2000年代
位置:標高110m、南東向き
土壌:粘土質、シレックス
醸造:木樽で醗酵。木樽で30ヵ月間熟成。
クロードの代表作、ラシーヌ・ルージュの白品種バージョン。年々、ブレンドする品種の数は増えており、15種類を超える品種が入っている。
VdF – Romorantin ロモランタン
品種:ロモランタン100%
植樹:1999年
位置:標高110m、西向き
土壌:粘土質、シレックス
醸造:木樽で醗酵。木樽で30ヵ月間熟成。
マセレーションはせずに、しっかりと熟したロモランタンを、樽で2年半熟成させる。味わいやテクスチャーは濃密で、時には蜂蜜のような香りもすることも。
VdF – Evidence エヴィダンス
品種:ムニュ・ピノ100%
位置:標高110m
土壌:粘土質、シレックス
醸造:2009年までは樽熟成10年間、2010年以降は樽熟成9年間、瓶熟成1年間。
遅摘みのムニュ・ピノで、ボトリティスも多く含まれる。しかし甘口ワインではなく、(残糖は少しあるものの)ドライに仕上げ、更に酸化熟成(補酒をほとんどしない)により複雑な香りをまとう。
VdF – Racines Rouge ラシーヌ・ルージュ
品種:ガメ、カベルネ・フラン、コ、ピノ・ノワールなど
植樹:ガメ1969年、カベルネ・フラン1969年、 コ1999年、ピノ・ノワール1998年ほか
位置:標高110m、南東向き
土壌:粘土質、シレックス
醸造:バリックで30ヵ月間熟成。
フランスでは強烈な信奉者から支持される。一口飲めば、そのあたりの優しさに2杯、3杯とすすんでしまう。1995年から造り出し、2015VTは20周年となる、クロード・クルトワの代表作。文献を調べ、ロワールでは現在は植えられることのなくなった品種を、20種以上アッサンブラージュしている。
VdF – Cuvée des Etourneaux キュヴェ・デ・ゼトゥルノー
品種:ガメ100%
植樹:1974年
位置:標高110m、南西向き
土壌:粘土質、シレックス
醸造:熟成期間は5日間~30ヵ月間と時と場合により激しく異なる。木樽で40ヵ月間の熟成。
エトゥルノーは、和名でムクドリという小さな鳥。収穫の時、ムクドリが目の前でブドウを食べに来ていた。樹齢40年の古木のガメから造られる赤ワイン。チャーミングななかにも力強さを秘めた、広がりのある味わい。時間とともにどんどん香りが開いていく。早く飲むのではなく、熟成させた方が良いタイプのガメ。
VdF – L’Icaunais リコネ
品種:ガスコン100%
植樹:1998年
位置:標高130m、西向き
土壌:粘土質、シレックス
醸造:バリックで30ヵ月間熟成
多くの品種を栽培しているクルトワ家。その中でも特に可能性を見出した品種ガスコン。早いうちから、三男のエティエンヌは特にガスコンを気に入り、リコネの2012年の出来を味わって、クロードは、エティエンヌは大丈夫だと思ったそうだ。
VdF – Cuvée Raymond キュヴェ・レイモン
品種:複数品種のアッサンブラージュ
位置:標高110m
土壌:粘土質、シレックス
醸造:木樽で熟成。
2021年は収量減のためクロードは3樽分しか収穫ができなかった。そのためすべての品種をアッサンブラージュしてキュヴェ・レイモンを瓶詰めした。キュヴェ名はクロードの父親(レイモン)の名前にちなんでつけられた。このエチケットは少なくとも70年以上前には存在しており、レイモンがブルゴーニュでワインを造っていた時代に用いていたもの。
VdF – Camille カミーユ
品種:ロモランタン100%
位置:標高110m
土壌:粘土質、シレックス
醸造:2週間のマセレーションの後木樽で醗酵。木樽で40ヵ月間熟成。
2015年に誕生したエティエンヌの息子カミーユの名にちなみ名付けられたキュヴェ。果皮の成分の抽出は多く、色は濃い黄色~オレンジ色。酸とタンニンの骨格がある。
Responses