Odinstal
オーディンスタール
ドイツ / ファルツ

19世紀初めに建てられた館と森、牧草地とブドウ畑合計約20haの地所を、1998年に現オーナーのトーマス・ヘンゼルが購入。2004年に醸造責任者兼経営責任者として、当時弱冠26歳でガイゼンハイム大学を卒業したばかりのアンドレアス・シューマンを抜擢。1990年代から前オーナーがビオロジックで栽培していたブドウ畑を、2006年にバイオダイナミクス農法に転換し、2008年にデメターの認証を取得した。堆肥もプレパラートも自分で作っている。ファルツで最も標高の高い海抜350mの山の上の斜面にある約5haのブドウ畑は、雑色砂岩、貝殻石灰質、コイパーと玄武岩の区画に分かれている。栽培品種はリースリング、ヴァイスブルグンダー、オーセロワ、ジルヴァーナー、ゲヴュルツトラミーナーで、2008年からリースリング、2011年からジルヴァーナーの一部の区画で無剪定栽培を行っている。収量は約30hℓ/ha。標高が高く冷涼な気候なので収穫はファルツの他の畑よりも約2週間遅い。醸造はステンレスタンクとバリック樽を使い、野生酵母で発酵。白ワイン用品種のマセレーション発酵や亜硫酸無添加醸造、少量だがアンフォラ(容量180ℓのスペイン製ティナハ2基、2012年産から)を使った醸造も行うなど、新しい醸造法を積極的に採り入れて、他にはない高品質で個性的なワインを醸造している。
ミッテルハールト
ファルツの銘醸といえば、1990年代まではミッテルハールト南部の山裾のワイン街道沿いに並ぶ9つの町(南からハールト、ムスバッハ、ギンメルディゲン、ケーニヒスバッハ、ルッパーツベルク、ダイデスハイム、フォルスト、ヴァッヘンハイム)にある醸造所とブドウ畑を指した。この地区のブドウ畑の標高は高いところでも海抜220mで、なだらかな斜面に広がるブドウ畑がライン川にむかって続く景色はブルゴーニュにやや似ている。集落の中のひときわ立派な邸宅が、ファルツの3B(バッサーマン・ヨーダン、ビュルクリン・ヴォルフ、フォン・ブール)をはじめとする著名醸造所だが、彼らは優れたブドウ畑を所有し、リースリングを辛口に仕立てることを得意とし、VDPプレディカーツヴァイン生産者連盟のブドウ畑の格付けを1990年代半ばから推進してきた。かつてヨーダン家の所有だった3つの著名生産者を、広告業で財をなしたアキム・ニーダーベルガーが2002年から2005年にかけて買収し、設備と人材に投資したことで一層品質の向上を果たした。優れた生産者はビオディナミやオレンジワインに取り組むなど、伝統にあぐらをかくこと無く高品質なワイン造りを続けている。
ファルツ
ドイツで二番目に大きなワイン生産地域。ラインヘッセンの南に位置し、ファルツの森があるハールト山地が西からの雨雲や冷たい風を遮り、その麓からライン川にむけてなだらかに下る平野にブドウ畑が広がっている。南端はフランス国境で、その向こうはアルザス。ほぼ中央にあるノイシュタットの町で南北の二つの地区に分かれ、北をミッテルハールト(もしくはミッテルハールト・ドイッチェ・ヴァインシュトラーセ)、南をズュートファルツ(もしくはズュートリッヒェ・ヴァインシュトラーセ)と称する。前者はフランス革命で競売にかけられた銘醸畑を、資産家や政治家が購入して高品質なワインを醸造してきたことで知られ、後者は畜産や農業を営む一般的な農家が、もっぱら地元民や観光客が飲む日常ワインを造ってきた。しかしズュートファルツでも1990年代から野心的な若手醸造家達が、優れたワインを醸造して産地の可能性を示してきた。土壌はファルツ全域で雑色砂岩、貝殻石灰質が見られるが、ズュートファルツはとりわけレス土やローム質の柔らかい土壌が厚く堆積しており、ワインも穏やかな印象がある。ミッテルハールトでは所により火山性の玄武岩が分布し、温暖な気候と相俟ってパワフルで複雑なワインが多い。リースリングの他にも近年は赤ワイン(シュペートブルグンダーなど)やフランス系品種(ソーヴィニヨン・ブランなど)でも成功している。
ドイツ
ヨーロッパの伝統的ワイン生産国の中でも最も北に位置し、冷涼な気候による酸味と甘味のイメージが支配的だった。近年は温暖化の恩恵を受けてフランス系品種も毎年完熟し、若手醸造家を担い手とした辛口ワインの高品質化がめざましい。ブドウ畑は旧東独の2生産地域を除いてフランス寄りの南西部に位置し、大半がライン川とその支流に広がっている。東部に位置する産地は大陸性気候の影響で夏は暑さと乾燥が、冬は寒さが厳しいが、南西部では海洋性気候の影響を受けて春から秋に雨が降るため、水はけの良い土壌や斜面が高品質なブドウ栽培の条件のひとつとなっている。主要な土壌は約4億年前に生成した粘板岩と、それから約2億年後に生成した雑色砂岩、貝殻石灰質、コイパーから成る三畳紀のトリアスである。前者は北西寄りのラインガウからアールにかけて分布し、リースリングとピノ・ノワール(=シュペートブルグンダー)に独特の個性を与えている。後者は南部のバーデンから東部のフランケンにかけて分布し、ピノ(=ブルグンダー)系の品種とジルヴァーナーやリースリングに優れたものが多い。
Cidre pét-nat シードル・ペット・ナット 2021
原材料:リンゴ(ワイナリーの周辺に自生するリンゴ樹の収穫)
位置:標高350m前後
土壌:黄色砂岩、石灰質
醸造:一次発酵が終わる前に瓶詰め。デゴルジュマンあり。
ワイナリーの周りに自生する、野生のリンゴを使い醸造。デゴルジュマンをしているが、あくまで大きな澱を取り除くのが目的で、若干の濁りはある。総生産量約800本。
果汁にすると10%以下だが、洋ナシの果汁も含まれている。リンゴの古木は自生しているもので、専門家にも品種わからないものが多い。ベブリンガー、シュトラーセンアプフェル、ヤコブ・フィッシャー、ライニッシャー・ボーネンアプフェルは判明している。
¥3,960

Pi:not Pinot Noir
パイノット・ピノ・ノワール
品種:ピノ・ノワール
植樹:2005年
位置:標高200m、南向き
土壌:石灰質レス・ローム
醸造:ステンレスタンクで1週間マセレーションしプレス。2200Lの木樽で熟成。
Odinstalのアンドレアスと、長年の友人シュテッフェン・ムグラーの共同プロジェクト。円を表す記号Pi(π)は、彼らの友情の輪や、ビオディナミのサイクル、ワイン好きの集まりをイメージしている。果実味を出すため、10%ほど全房のブドウも醗酵に加えている。次年度より、全房比率を上げて醸造しようかと考え中。
¥5500
Riesling 120 NN 2021
リースリング 120 N.N.
品種:リースリング植樹:1988年位置:標高120m、フラット、0.6ha土壌:レス、雑色砂岩醸造約5%は房ごとステンレスタンクに入れて8~10ヵ月間マセレーションその後房を取り出して圧搾し、プレスワインをタンクにもどして熟成。
生産者の所有する畑のうち、唯一、プファルツの大半のブドウ畑がある、海抜120m付近のなだらかな傾斜の平野にある畑の収穫を使っている。プファルツらしい朴訥とした感じの果実味と、オーディンスタールらしい緻密で上品なテクスチャーで、コストパフォーマンスに優れる。
¥6380
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