Podere 414
ポデーレ414
イタリア / トスカーナ

トスカーナ屈指の有名エノロゴ、マウリッツィオ・カステッリ(マストロヤンニやグラッタマッコをコンサルタント)の子息、シモーネ・カステッリが、モレッリーノ・ディ・スカンサーノに1998年に創業したワイナリー。当初から“ナチュラル”、および“サンジョヴェーゼの個性、すなわちピノ・ノワールやネッビオーロと同様に、地域の特徴を鋭敏に反映させるワイン造り”をモットーに掲げていた。畑の標高は250m前後。2014年まではセメントタンク発酵、木樽で3週間前後マセレーションしたモレッリーノ・ディ・スカンサーノ1種類のみを生産していたが、この年からより選果を厳しくし、セカンドラインとしてトスカーナ・ロッソ“バディランテ”も生産。2010年代以降の気候変動へと対応し、フラッグシップのモレッリーノ・ディ・スカンサーノの品質を維持するための判断だった。また、1960年代のヒッピー・カルチャーを象徴する詩人アレン・ギンスバーグの言葉である「フラワー・パワー」と名付けたロゼも、話題。いずれのワインも温容とおおらかさをたたえ、優美さとバランスを保ち、飲み手を優しく受入れてくれる。
マレンマ、及びトスカーナ群島について
トスカーナ中南部の海岸に沿って広がる広大な地域。サッシカイアで知られるボルゲリもマレンマ北部だが、この地域は温暖で、サンジョヴェーゼよりボルドー品種に好適とされる。一方、マレンマ南部、グロッセート県内陸部の高地に広がるモレッリーノ・ディ・スカンサーノは、2006年にDOCG昇格。85%以上のサンジョヴェーゼ使用を義務づける。かつては沼地ゆえの高湿でマラリアでも知られる地域だったが、近年このエリアには旧ビオンディ・サンティのオーナー、ヤコポ・ビオンディ・サンティなど大資本も続々と進出。洗練され活力あるサンジョヴェーゼ産地としての潜在力に注目が高まっている。また、トスカーナ群島と呼ばれる沿岸部の7つの島では、赤の甘口ワインDOCG、エルバ・アレアティコ・パッシートを生むエルバ島。そのさらに南のジリオ島(人口わずか1400人)などで、ごく一握りの生産者が歴史ある産地の栄誉回復を試み、注目を集め始めている。
トスカーナについて
サンジョヴェーゼ品種の最重要生産地であり、その王国。20世紀末の短期間、主に伝統産地外の沿岸部などで、ボルドー品種とバリック新樽を用いた濃厚なワインが“スーパー・タスカン”と称され、世界を席巻したが、近年はよりピュアにサンジョヴェーゼの美点を追求する生産者に再び注目が集まっている。ただし区分したいのは“スーパー・タスカン”の中でもかつては主にキアンティ・クラッシコDOCG法外だった100%サンジョヴェーゼを敢行したゆえのワインたち。それらの生産者の中には、サンジョヴェーゼ100%がDOCG法認可された後も、IGTにとどまり偉大な深みを持つワインを生み続ける生産者が少なくなく、同じ“スーパー・タスカン”の中でもボルドー品種主体のものとは区別して把握・評価するべきだろう。また、この州の人々は歴史的に進取の気性に富み、常に探求と挑戦と共にワイン造りも変化する。その様子を、ヒュー・ジョンソンは「旧世界の中の新世界」とさえ評している。
IGT Toscana Grechetto – Costa Ovest
トスカーナ・グレケット コスタ・オヴェスト
品種:グレケット100%
植樹:2014年
位置:標高215-230m
西向き・東向きの急斜面
土壌:粘土質土壌
醸造:手作業で収穫後、セラーで10℃近くになるまで冷やしてから圧搾。セメントタンクで発酵。グロッセートから車で南東に30分ほどいったボッティリ山近くの、単一畑でグレケットを栽培。2022VTが単一品種での初醸造。グレケットは果皮が厚くタンニンを多く含む品種で、完熟すると黄色い果実を思わせる風味とエレガンスさを兼ね備える。トスカーナの群島を見渡せるトスカーナの西海岸(=コスタ・オヴェスト)という立地で栽培されたブドウは、丘陵地帯と海洋地帯との両方の気候を体現している。
IGT Toscana – Trebbiano Toscano
トスカーナ トレッビアーノ・トスカーノ
品種:トレッビアーノ100%
植樹:1990年代植樹
位置:標高250m
土壌:粘土質土壌
醸造:セメントタンクで数日間マセレーション。木樽で半年間熟成。
数年間かけてシモーネが試行錯誤を繰り返し、2017VTに初リリース。生産ワインのほとんどが赤のPodere414だが、彼の赤ワイン同様、凝縮した果実味と、果実由来の酸味、樽香のバランスが絶妙。マセレーションは、醗酵の初期のみで、1次醗酵は木樽で終了する。色合いは濃い黄色をしている。
GT Toscana Rosato – Flower Power
トスカーナ・ロザート フラワー・パワー
品種:サンジョヴェーゼ
植樹:2003年、2007年、2011年
位置:標高250m。東・南・西向きを含む
土壌:砂岩質
醸造:ステンレスタンクで短い期間マセレーション。ステンレスタンク・セメントタンクで熟成。
“FlowerPower”「フラワー・パワー」(花の力)というロザートの名は、詩人アレン・ギンスバーグの詩からとったもので、1960年代に隆盛した「カウンター・カルチャー/ヒッピー」文化が刻印されている表現です。BBQなどで気軽に楽しめる味わいで、色調は、明るく輝く、淡いピンク色。
IGT Toscana Sangiovese – Badilante
トスカーナ・サンジョヴェーゼ バディランテ
品種:サンジョヴェーゼ100%
植樹:2000年代
位置:標高250m
東・南・西向きを含む
土壌:粘土質、礫岩土壌
醸造:セメントタンクで15〜20日間マセレーション。セメントタンクとトノー(5hl)で12ヵ
月間熟成。
フラグシップであるモレッリーノ・ディ・スカンサーノの品質を高いレベルで安定させるために、2014年から造り出したセカンドラインの赤ワイン。モレッリーノよりも10日間ほど早く収穫したブドウを使い、抽出期間も短くした、カジュアルなスタイル。モレッリーノに比べ、タンニンが少なく時おり青さも感じる酸のある、ミディアムボディでフレッシュな味わいを目指す。エチケットには、沼沢地であったグロッセート周辺を、泥だらけになりながら、スコップで干拓をしていったバディランテと呼ばれる労働者の絵があしらわれている。
Morellino di Scansano 2022
モレッリーノ・ディ・スカンサーノ
品種:サンジョヴェーゼ85%、その他品種(チリエジョーロ、アリカンテ、コロリーノ、シラー)15%
植樹:2003年
位置:標高250m
東・南・西向きを含む
土壌:いろいろな成分からなる、主に粘土質
醸造:セメントタンク、小さな木製バットで15〜20日間マセレーション。木製樽(2500hl)と、トノー(500l)で12ヵ月間熟成。
トスカーナの最南のモレッリーノらしい熟した果実味と、果実由来の酸味に、5年に一度取り換えるという樽の香りが絶妙な逸品。近代醸造技術を適切に使い、技術的感覚的に、非常に完成度が高い。どの要素も大げさでなく、一体感のあるバランスを備えている。
¥4070
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