月: 2025年9月

  • Weingut Veyder-Malberg

    Weingut Veyder-Malberg

    ヴァイダー・マルベルク

    オーストリア / ヴァッハウ

    オーナー醸造家のペーター・マルベルクは異色の経歴を持つ。青年時代はリトグラフ印刷技術を学んだあとビジネススクール卒業し、ウィーンの広告代理店で営業部長を務めていたが、その頃の交流関係でワインへの情熱に目覚めた。1991年に会社を辞めて2年間ナパヴァレーとスイスで醸造学校に通い、1993年にはヴァインフィアテルのグラーフ・ハーデック醸造所に就職しているが、その間にもナパヴァレー、トスカーナ、スイス、ドイツ、ニュージーランドと世界各地のワイナリーで研修した。やがて2008年にフリーランスのブドウ栽培・マーケティングコンサルタントとして独立してヴァイダー=マルベルク醸造所を設立することになるが、それまでの14年間グラーフ・ハーデック醸造所の経営責任者として辣腕をふるい、オーストリアでは前例のないヴィオニエやシラーで見事なワインを醸造して注目を集めた。一方、ヴァッハウでは伝統にとことんこだわっている。機械の入れない急斜面の石垣に囲まれたブドウ畑に育つグリューナー・ヴェルトリーナーとリースリングの古木を、ビオディナミ農法を採り入れて栽培。ボトリティスの繁殖していない状態で完熟した房を手作業で収穫し、伝統的な大樽で野生酵母で発酵しテロワールの個性を最大限に引き出している。設立当時は元肉屋の地下室を改装して醸造していたが、2014年に急斜面を利用して重力で果汁を移動出来るセラーを新築。5.5haのブドウ畑から妥協というものを全く感じさせない高品質なワインを醸造している。

    ヴァッハウについて

    蛇行するドナウ川沿いの急斜面にブドウ畑の広がる、オーストリア最古の伝統的ワイン生産地域。その景観はUNESCOの世界文化遺産に指定されている。ブドウ畑の所有者が維持管理しなければならない擁壁に支えられたテラス状の急斜面が広がり、ブドウの畝は川の流れと平行に曲線を描いて幾重にも連なっている。東に行くほどパンノニア平原からの熱気の影響を受けるため収穫時期は早まり、糖度は上がりやすい。一方斜面上部は背後の森からの冷気の影響で、ブドウはゆっくりと成熟する。ヴァッハウの土壌は原成岩-生成年代の古い花崗岩や片麻岩などの総称-で知られるが、これは主に斜面中腹から上部に見られ、斜面下部には柔らかいレス土が堆積している。栽培品種も斜面にはリースリング(栽培面積の17.4%、2015年)、麓の平坦な土地にはグリューナー・ヴェルトリーナー(56.9%)と、使い分けられている。生産者団体ヴィネア・ヴァッハウが1980年代からワインのスタイルによって三段階に分かれた格付け(繊細→複雑:シュタインフェーダー→フェーダーシュピール→スマラークト)を行っていて、その他の生産地域とは一線を画した独自路線を歩んでいたが、2020年5月にDAC(オーストリア原産地呼称制度)に加わった。とはいえ、シュタインフェーダー、フェーダーシュピール、スマラークトの呼称はDACの中で存続することとなった。

    オーストリアについて

    オーストリアのワイン生産地域は国土の東側周縁部に分布し、緯度はブルゴーニュのコート・ドールからアルザスのオー・ランに相当する。ワイン生産地域は大きく三つに分けることが出来る。①北部のアルプスの森林に囲まれドナウ川が横断するニーダーエスタライヒ。②パンノニア平原に接して大陸性気候の影響を強く受けるブルゲンラント。③スロヴェニアの山地と同様に起伏に富んだ地形で、地中海からの暖気とアルプスの冷気がぶつかるシュタイヤーマルク。いずれも暖気と寒気がぶつかりやすい立地条件のため、近年は遅霜や雹で深刻な被害を受けることが増えている。この国は歴史的にはハプスブルク家が君臨したオーストリア・ハンガリー帝国の中心地であったことがワインとそれをとりまく文化を育んできた。1985年にノイジードラーゼーの生産者による不凍液混入事件で甘口ワイン市場が壊滅するという逆境が、かえってオーストリアを、伝統に縛られずに高品質を目指す好奇心旺盛で個性的なワイン生産国へと変えた。ビオロジックで栽培されるブドウ畑も約12%とヨーロッパで最も普及し、生産量は世界の1%にも満たないが、ビオディナミや亜硫酸無添加醸造、オレンジワインなどに積極的に取り組む生産者も少なくない。

    Wachauer LIEBEDICH Grüner Veltliner 2022
    ヴァッハウアー・リーベディッヒ・グリューナー・ヴェルトリーナー

    品種:グリューナー・ヴェルトリーナー
    植樹:1980年頃、古木もあり
    位置:標高250~350m、南向き
    土壌:小片のシスト、片麻岩
    醸造:ステンレスタンクで醗酵。ステンレスタンクで約5ヵ月間熟成。

    ヴァッハウの複数の畑のブドウのブレンド。それぞれの畑が、最高の品質のワインになるポテンシャルはあるが、畑が小さいためブレンドにしている。畑の大部分は原生岩土壌。その中のレス土壌のブドウ畑にはトラクターで耕作しており、ボトルの首に「手仕事Handarbeit」と書いてある帯をつけていない。ちなみに「リーベディッヒ」は英語で”love You”。
    ¥5830

  • Rinklin

    Rinklin

    リンクリン

    ドイツ / バーデン

    カイザーシュトゥール東部のアイヒシュテッテンにある、ブドウ畑面積7haの家族経営の醸造所。創業者のヴィルヘルム・リンクリンはバーデン地方のビオロジックの草分け的存在で、1955年、ワインだけでなく様々な農産物を造っていた複合農家だった時にビオロジックに転換し、1971年にビオロジックの農産物生産者団体ビオラントを12人の仲間達とともに創設。そして1975年にはビオロジック農産物の専門商社「リンクリン・ナトゥアコスト」社を設立。現在約250人の従業員が働いている。醸造所はヴィルヘルムの孫の一人フリードヘルムが運営し、奥さんのアンネさんは醸造所が経営する民宿を切り盛りしている。栽培品種はミュラー・トゥルガウ、シュペートブルグンダー、グラウブルグンダー、ヴァイスブルグンダー、ムスカテラー、リースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、レゲントなど。収量は40~70hℓ/haで、白は全房圧搾で澄んだ果汁を得て、ステンレスタンクで大半はシャプタリゼーションをせず野生酵母により発酵する。赤はライン地方に伝統的な楕円形をしたシュトゥック樽かバリック樽で熟成する。年間生産量は約5万本、うち10~15%が日本に輸出される。

    カイザーシュトゥールについて

    ドイツのフライブルクとアルザスのコルマールの間に広がる、ライン川沿いの平野に孤立して聳えている、約1600~1900万年前の火山の噴火により出来た標高556mの山岳地帯。ドイツで最も温暖な場所で、ここにしか生息しないトカゲの一種や様々な蘭が生息している。最上のブドウ畑は南西部の火山性土壌が露出した一帯に集中しているが、その他の部分は氷河期に飛来した石灰質を含むレス土が10~40mの厚さに堆積している。1970年代から80年代にかけて、レス土壌の斜面を切り崩して、トラクターで作業可能な段々畑にする大規模な造成が行われたが、後に湿気や冷気が停滞しやすくなることがわかり、現在ではもとの斜面の地形に戻された畑もある。シュペートブルグンダーとミュラー・トゥルガウ、グラウブルグンダーが主に栽培されているが、対岸のアルザスの影響を受けて1970年代頃から食事にあうワインを目指す生産者が登場したり、1980年代半ばにはドイツで最初にブルゴーニュを見習いバリックを使ったシュペートブルグンダーが醸造されたりと、フランスワインから学んで来た。現在もドイツを代表するブルグンダー系品種の産地のひとつである。

    バーデンについて

    ドイツで三番目に広い生産地域で、9つのベライヒ(地区)に分かれているが、主要な7つのベライヒはライン川に沿って南北約300kmにわたり細長く伸びている。生産地域ファルツとライン川を挟んで対岸に位置するバーディッシェ・ベルクシュトラーセとクライヒガウ、その南のオルテナウを北バーデンとし、アルザスのオー・ラン県の対岸に位置するブライスガウ、カイザーシュトゥール、トゥニベルク、マルクグレーフラーラントを南バーデンと、大きく二つに分けることが出来る。北バーデンではリースリングとシュペートブルグンダーが盛んに栽培され、土壌もファルツやフランケンと同じ三畳紀の地層が広く分布し、その上にレス土が堆積している。一方南バーデンではシュペートブルグンダーやグラウブルグンダーなどピノ系品種の栽培が盛んで、土壌はジュラ紀の石灰質や火山性土壌の上にレス土が厚く堆積している。ライン地溝帯に沿ってブルゴーニュからの暖気が流れ込み、背後のオーデンヴァルト、シュヴァルツヴァルトの冷気とぶつかるので年間降水量がやや多い(約760~1000mm)。EUのブドウ栽培気候区分では、バーデンはドイツの中で唯一アルザス、ジュラ、サヴォワ、ロワール、シャンパーニュなどと同じB地帯に属する。

    ドイツについて

    ヨーロッパの伝統的ワイン生産国の中でも最も北に位置し、冷涼な気候による酸味と甘味のイメージが支配的だった。近年は温暖化の恩恵を受けてフランス系品種も毎年完熟し、若手醸造家を担い手とした辛口ワインの高品質化がめざましい。ブドウ畑は旧東独の2生産地域を除いてフランス寄りの南西部に位置し、大半がライン川とその支流に広がっている。東部に位置する産地は大陸性気候の影響で夏は暑さと乾燥が、冬は寒さが厳しいが、南西部では海洋性気候の影響を受けて春から秋に雨が降るため、水はけの良い土壌や斜面が高品質なブドウ栽培の条件のひとつとなっている。主要な土壌は約4億年前に生成した粘板岩と、それから約2億年後に生成した雑色砂岩、貝殻石灰質、コイパーから成る三畳紀のトリアスである。前者は北西寄りのラインガウからアールにかけて分布し、リースリングとピノ・ノワール(=シュペートブルグンダー)に独特の個性を与えている。後者は南部のバーデンから東部のフランケンにかけて分布し、ピノ(=ブルグンダー)系の品種とジルヴァーナーやリースリングに優れたものが多い。

    Müller-Thurgau trocken 2023
    ミュラー=トゥルガウ・トロッケン

    品種:ミュラー・トゥルガウ
    植樹:2006年頃
    位置:標高210m、東向き
    土壌:粘土質
    醸造:畑全房圧搾ステンレスタンクで野生酵母により発酵ステンレスタンクで5ヵ月間熟成

    アイヒシュテッテンにあるすべての畑はヘレンバックと名付けられている。その中のヴァッベンベルク(Wabbenberg)と呼ばれる区画で収穫されたブドウを用いて醸造している。
    ¥2860

    Spätburgunder trocken 2022
    シュペートブルグンダー・トロッケン

    品種:シュペートブルグンダー
    植樹:1987年頃
    位置:東~西向き
    土壌:粘土質
    醸造:ステンレスタンクで8日間マセレーション。ステンレスタンクとオーク樽(大型の楕円形をしたシュトゥック樽とバリック樽)で10ヵ月間熟成。

    ヘレンバックの畑にあるリンクリン所有の複数の区画から収穫されたブドウを使用。2018年産からノンフィルターで瓶詰めするようになり、味わいが一層向上した。
    ¥3080

  • Odinstal

    Odinstal

    オーディンスタール

    ドイツ / ファルツ

    19世紀初めに建てられた館と森、牧草地とブドウ畑合計約20haの地所を、1998年に現オーナーのトーマス・ヘンゼルが購入。2004年に醸造責任者兼経営責任者として、当時弱冠26歳でガイゼンハイム大学を卒業したばかりのアンドレアス・シューマンを抜擢。1990年代から前オーナーがビオロジックで栽培していたブドウ畑を、2006年にバイオダイナミクス農法に転換し、2008年にデメターの認証を取得した。堆肥もプレパラートも自分で作っている。ファルツで最も標高の高い海抜350mの山の上の斜面にある約5haのブドウ畑は、雑色砂岩、貝殻石灰質、コイパーと玄武岩の区画に分かれている。栽培品種はリースリング、ヴァイスブルグンダー、オーセロワ、ジルヴァーナー、ゲヴュルツトラミーナーで、2008年からリースリング、2011年からジルヴァーナーの一部の区画で無剪定栽培を行っている。収量は約30hℓ/ha。標高が高く冷涼な気候なので収穫はファルツの他の畑よりも約2週間遅い。醸造はステンレスタンクとバリック樽を使い、野生酵母で発酵。白ワイン用品種のマセレーション発酵や亜硫酸無添加醸造、少量だがアンフォラ(容量180ℓのスペイン製ティナハ2基、2012年産から)を使った醸造も行うなど、新しい醸造法を積極的に採り入れて、他にはない高品質で個性的なワインを醸造している。

    ミッテルハールト

    ファルツの銘醸といえば、1990年代まではミッテルハールト南部の山裾のワイン街道沿いに並ぶ9つの町(南からハールト、ムスバッハ、ギンメルディゲン、ケーニヒスバッハ、ルッパーツベルク、ダイデスハイム、フォルスト、ヴァッヘンハイム)にある醸造所とブドウ畑を指した。この地区のブドウ畑の標高は高いところでも海抜220mで、なだらかな斜面に広がるブドウ畑がライン川にむかって続く景色はブルゴーニュにやや似ている。集落の中のひときわ立派な邸宅が、ファルツの3B(バッサーマン・ヨーダン、ビュルクリン・ヴォルフ、フォン・ブール)をはじめとする著名醸造所だが、彼らは優れたブドウ畑を所有し、リースリングを辛口に仕立てることを得意とし、VDPプレディカーツヴァイン生産者連盟のブドウ畑の格付けを1990年代半ばから推進してきた。かつてヨーダン家の所有だった3つの著名生産者を、広告業で財をなしたアキム・ニーダーベルガーが2002年から2005年にかけて買収し、設備と人材に投資したことで一層品質の向上を果たした。優れた生産者はビオディナミやオレンジワインに取り組むなど、伝統にあぐらをかくこと無く高品質なワイン造りを続けている。
    ファルツ
    ドイツで二番目に大きなワイン生産地域。ラインヘッセンの南に位置し、ファルツの森があるハールト山地が西からの雨雲や冷たい風を遮り、その麓からライン川にむけてなだらかに下る平野にブドウ畑が広がっている。南端はフランス国境で、その向こうはアルザス。ほぼ中央にあるノイシュタットの町で南北の二つの地区に分かれ、北をミッテルハールト(もしくはミッテルハールト・ドイッチェ・ヴァインシュトラーセ)、南をズュートファルツ(もしくはズュートリッヒェ・ヴァインシュトラーセ)と称する。前者はフランス革命で競売にかけられた銘醸畑を、資産家や政治家が購入して高品質なワインを醸造してきたことで知られ、後者は畜産や農業を営む一般的な農家が、もっぱら地元民や観光客が飲む日常ワインを造ってきた。しかしズュートファルツでも1990年代から野心的な若手醸造家達が、優れたワインを醸造して産地の可能性を示してきた。土壌はファルツ全域で雑色砂岩、貝殻石灰質が見られるが、ズュートファルツはとりわけレス土やローム質の柔らかい土壌が厚く堆積しており、ワインも穏やかな印象がある。ミッテルハールトでは所により火山性の玄武岩が分布し、温暖な気候と相俟ってパワフルで複雑なワインが多い。リースリングの他にも近年は赤ワイン(シュペートブルグンダーなど)やフランス系品種(ソーヴィニヨン・ブランなど)でも成功している。

    ドイツ

    ヨーロッパの伝統的ワイン生産国の中でも最も北に位置し、冷涼な気候による酸味と甘味のイメージが支配的だった。近年は温暖化の恩恵を受けてフランス系品種も毎年完熟し、若手醸造家を担い手とした辛口ワインの高品質化がめざましい。ブドウ畑は旧東独の2生産地域を除いてフランス寄りの南西部に位置し、大半がライン川とその支流に広がっている。東部に位置する産地は大陸性気候の影響で夏は暑さと乾燥が、冬は寒さが厳しいが、南西部では海洋性気候の影響を受けて春から秋に雨が降るため、水はけの良い土壌や斜面が高品質なブドウ栽培の条件のひとつとなっている。主要な土壌は約4億年前に生成した粘板岩と、それから約2億年後に生成した雑色砂岩、貝殻石灰質、コイパーから成る三畳紀のトリアスである。前者は北西寄りのラインガウからアールにかけて分布し、リースリングとピノ・ノワール(=シュペートブルグンダー)に独特の個性を与えている。後者は南部のバーデンから東部のフランケンにかけて分布し、ピノ(=ブルグンダー)系の品種とジルヴァーナーやリースリングに優れたものが多い。


    Cidre pét-nat シードル・ペット・ナット 2021

    原材料:リンゴ(ワイナリーの周辺に自生するリンゴ樹の収穫)
    位置:標高350m前後
    土壌:黄色砂岩、石灰質
    醸造:一次発酵が終わる前に瓶詰め。デゴルジュマンあり。
    ワイナリーの周りに自生する、野生のリンゴを使い醸造。デゴルジュマンをしているが、あくまで大きな澱を取り除くのが目的で、若干の濁りはある。総生産量約800本。
    果汁にすると10%以下だが、洋ナシの果汁も含まれている。リンゴの古木は自生しているもので、専門家にも品種わからないものが多い。ベブリンガー、シュトラーセンアプフェル、ヤコブ・フィッシャー、ライニッシャー・ボーネンアプフェルは判明している。
    ¥3,960



    Pi:not Pinot Noir
    パイノット・ピノ・ノワール

    品種:ピノ・ノワール
    植樹:2005年
    位置:標高200m、南向き
    土壌:石灰質レス・ローム
    醸造:ステンレスタンクで1週間マセレーションしプレス。2200Lの木樽で熟成。
    Odinstalのアンドレアスと、長年の友人シュテッフェン・ムグラーの共同プロジェクト。円を表す記号Pi(π)は、彼らの友情の輪や、ビオディナミのサイクル、ワイン好きの集まりをイメージしている。果実味を出すため、10%ほど全房のブドウも醗酵に加えている。次年度より、全房比率を上げて醸造しようかと考え中。
    ¥5500

    Riesling 120 NN 2021
    リースリング 120 N.N.

    品種:リースリング植樹:1988年位置:標高120m、フラット、0.6ha土壌:レス、雑色砂岩醸造約5%は房ごとステンレスタンクに入れて8~10ヵ月間マセレーションその後房を取り出して圧搾し、プレスワインをタンクにもどして熟成。
    生産者の所有する畑のうち、唯一、プファルツの大半のブドウ畑がある、海抜120m付近のなだらかな傾斜の平野にある畑の収穫を使っている。プファルツらしい朴訥とした感じの果実味と、オーディンスタールらしい緻密で上品なテクスチャーで、コストパフォーマンスに優れる。
    ¥6380

  • Immich-Batterieberg

    Immich-Batterieberg

    イミッヒ=バッテリーベルク

    ドイツ / モーゼル

    イミッヒ=バッテリーベルクの「イミッヒ」は、1425年から醸造所を切り盛りしてきたイミッヒ家に由来する。そして「バッテリーベルク」は、19世紀半ば、モーゼル川沿いの急斜面を爆破して、ブドウ畑を造成した際の轟音を、砲兵隊Batterieの砲撃に例えたことに因んでいる。そして2009年から、ザールのファン・フォルクセン醸造所で2003年まで醸造責任者だったゲルノート・コルマンが、経営と醸造を担っている。
    19ヘクタールのブドウ畑の大半が、1868年のプロイセン王国政府の格付け地図で、グラン・クリュに格付けされている。急峻なブドウ畑で、樹齢80年以上の自根の古木が多い。その収穫物であるブドウは、9世紀まで遡る醸造所の地下にある、玄武岩の柱が支える石造りのセラーで醸造される。亜硫酸以外の添加物を一切使わずに、野生酵母だけで発酵した、目の覚めるような味わいのリースリングである。

    ミッテルモーゼルについて

    ベルンカステラー・ドクトールやヴェーレナー・ゾンネンウーアなど、よく知られたブドウ畑が集中するミッテルモーゼルには青色と灰色の粘板岩土壌の急斜面が多い。あまりにも傾斜が急なため、伝統的な棒仕立てでしか栽培出来ない畑も少なくない。栽培は全て手作業で行わなければならないが、世界中探しても他にはない高貴な味わいのリースリングが出来る。所有面積3ha以下の小規模生産者が多い一方で、1990年代までは著名醸造所の有名な畑のワイン以外は手間に見合うだけの値段で売れず、耕作放棄された畑も多かった。しかし2000年頃から若者や異業種からの転職者がそうしたブドウ畑を入手し、素晴らしいワインを醸造して注目された。また、急斜面ではヘリコプターで農薬を散布するため、有機農法は他の生産者との衝突を招くことが多かったが、それでも一部に1970年代から信念を貫いて有機農法を行ってきた生産者もいる。近年はオレンジワインや亜硫酸無添加醸造に挑戦する生産者も登場して、閉鎖的で悲観的と揶揄されることのあった地域のメンタリティが変わりつつある。

    モーゼルについて

    モーゼル川はフランスのヴォージュ山脈に水源がある。ルクセンブルクを通過してドイツに入ると、それまで比較的まっすぐ流れていたのが蛇行をくりかえすようになり、やがてライン川に合流して旅路を終える。ドイツのブドウ畑はルクセンブルクとの国境から始まるが、ザール川との合流地点までの地区を「オーバーモーゼルObermosel」、そこからシュヴァルツカッツ(黒猫)で知られるツェルの手前までを「ミッテルモーゼルMittelmosel」、ツェルから河口までを「ウンターモーゼルUntermosel」と称するが、この下流域は極めて急な斜面に段々畑のようにブドウ畑があることから「テラッセンモーゼルTerassenmosel」(テラス状の畑があるモーゼル)とも称する。そしてザール川やルーヴァー川など、モーゼル川支流の渓谷にも優れたブドウ畑があることを忘れてはならない。この生産地域全体を特徴づけているのは、約4億年前のデヴォン紀に生成した粘板岩(英語:Slate、ドイツ語:Schiefer)土壌の急斜面のブドウ畑で栽培されるリースリングである。冷涼な気候による気品のある酸味と甘味のバランス、ブドウ畑や生産者により異なる様々な風味が魅力となっている。

    ドイツについて

    ヨーロッパの伝統的ワイン生産国の中でも最も北に位置し、冷涼な気候による酸味と甘味のイメージが支配的だった。近年は温暖化の恩恵を受けてフランス系品種も毎年完熟し、若手醸造家を担い手とした辛口ワインの高品質化がめざましい。ブドウ畑は旧東独の2生産地域を除いてフランス寄りの南西部に位置し、大半がライン川とその支流に広がっている。東部に位置する産地は大陸性気候の影響で夏は暑さと乾燥が、冬は寒さが厳しいが、南西部では海洋性気候の影響を受けて春から秋に雨が降るため、水はけの良い土壌や斜面が高品質なブドウ栽培の条件のひとつとなっている。主要な土壌は約4億年前に生成した粘板岩と、それから約2億年後に生成した雑色砂岩、貝殻石灰質、コイパーから成る三畳紀のトリアスである。前者は北西寄りのラインガウからアールにかけて分布し、リースリングとピノ・ノワール(=シュペートブルグンダー)に独特の個性を与えている。後者は南部のバーデンから東部のフランケンにかけて分布し、ピノ(=ブルグンダー)系の品種とジルヴァーナーやリースリングに優れたものが多い。

    Detonation bubbles – Riesling Sekt Extra Brut
    デトナチオン・バブルス リースリング・ゼクト・エクストラ・ブリュット

    品種:リースリング100% 
    位置:標高280m、南西向き、斜度約 40度
    土壌:灰色・赤色の粘板岩 
    醸造 ベースワインはステンレスタンクで 7ヵ月間発酵 約2年3ヵ月間瓶内熟成 瓶内二次発酵、ドサージュなし

    シュテッフェンスベルクの新たに入手した区画(標高の高い場所にあり、樹齢はやや若く25歳前後)のリースリングを使用。

    Jour Fixe – Spätburgunder Rosé Brut Nature
    ジュール・フィクス シュペートブルグンダー・ロゼ・ブリュット・ナチュール

    品種:シュペートブルグンダー100%
    植樹:1990~2005年
    位置:南~南西向き
    土壌:灰色・赤色の粘板岩 
    醸造 全房圧搾後、ステンレスタンクで野生 酵母により発酵 ステンレスタンクで11ヵ月間シュールリー熟成後、瓶内で2年間熟成 瓶内二次発酵

    ドザージュなしの、ロゼ・スパークリ ングワイン。 ブドウは、90%ブリーデラー・ヘル ツヒェン、10%モンテノイベルの畑 から収穫される。

    CAI – Riesling Kabinett trocken 2022
    シー・エー・アイ リースリング・カビネット・トロッケン

    品種:リースリング100%
    植樹:1960~1995年
    位置:標高130~300m 南西・南・南東向きの斜面
    土壌:灰色・赤色・青色のデヴォン紀 粘板岩
    醸造 マセレーションは数時間程度 ステンレスタンクで野生酵母により発酵、澱引きせずに9ヵ月間シュールリー熟成 瓶詰直前まで亜硫酸塩は添加しない 発酵温度の調整もしない。

    CAIは、バッテリーベルクの畑を造成 した当時の醸造所オーナー、カール・ アウグスト・イミッヒに因む。エント リーレベルのワインとはいえ、ゲル ノートの持ち味である、肌理の細かいテクスチャーや味わい深さは十分に感 じ取ることが出来る。 原料となるブドウは大半が契約栽培農家のブドウ。8軒の栽培農家から毎年同じ畑のブドウを納入してもらっているが、2030年までにすべて自社畑の ブドウにすることを目指している。
    ¥3520

    Detonation Riesling 2022
    デトナチオン・リースリング

    品種:リースリング100% 
    植樹:1960~1995年 
    位置:標高130~300m 南西・南・南東向きの斜面 
    土壌:灰色・赤色・青色のデヴォン紀 粘 
    醸造 マセレーションは数時間程度ステンレスタンクで野生酵母で発酵し、澱引きせずに9ヵ月間シュール リー熟成。瓶詰直前まで亜硫酸塩は添加しない。発酵温度の調整もしない。

    当初エントリーレヴェルはCAIしか 造っていなかったが、タンクの中には ブレンドしてしまうのがもったいない 品質を感じるものがあり、2016VTから別にリリースすることにした。シーフードが好きなので、それにあうよ う、CAIよりもストレートでキレのあ る、より精緻で塩気を感じるワインが できるブドウ畑を選んだという。 ブドウの60%は自社畑で、ブリーデ ル村の畑の収穫が多い。30%はイ ミッヒの栽培家が所有するブドウ畑のもので、10%はドーロナー・ホーフ ベルクの自根の古木のもの。すべて 40年以上のブドウ樹のみ。

    リースリングらしい爽やかでフレッシュな果実味もあるが、塩味を伴うまっすぐな酸が全体を引き締めていてくっきりとした印象のリースリング。ブドウの60%は自社畑で、ブリーデル村の畑からの収穫が多い。30%はイミッヒの栽培家が所有するブドウ畑のもので、10%はドーロナー・ホーフベルクの自根の古木のもの。すべて40年以上のブドウ樹のみ。瓶詰直前まで亜硫酸塩は添加しない。シーフードと合うようにCAIと分けて作られているキュヴェだが、鶏肉や豚肉などの白身肉などとも良いのでは。
    ¥4180

    Briedeler Herzchen Riesling
    ブリーデラー・ヘルツヒェン・リースリング

    品種:リースリング100%
    植樹:1978~1984年
    位置:標高280m(ブリーデルの村は130m)南西向き、斜度約40度
    土壌:灰色・赤色の粘板岩
    醸造:約12~18時間マセレーションしてから圧搾し、約3時間静置して夾雑物を沈殿させ、濁りのある状態で木樽に移す。容量225~300Lの古い木樽で発酵後、約11ヵ月間澱引きせずに亜硫酸塩無添加で熟成

    2019VTが初リリース。Herzchenは「小さなハート」の意味。ブリーデルはモーゼル川沿いに14km下流の村で、シュヴァルツカッツで有名なツェルに近い。

    デトナチオンが辛口、塩味もありパリッとした直線的なワインだとすれば、こちらはよりやわらかさがあり、しなやかな線を感じるようなワイン。華やかで清涼感を感じる果実味がきれいに感じられる。モーゼル、ブリーデル村の「小さなハート」という意味の区画、「ヘルツヒェン」のぶどうから造られるキュヴェ。きのこを使ったホワイトソース、栗やサツマイモ、シュニッツェルなどととも相性が良さそう。
    ¥5390

    ROB – Spätburgunder Rosé
    アール・オー・ビー シュペートブルグンダー・ロゼ

    品種:シュペートブルグンダー100% 
    植樹:1990~2005年 
    位置:南~南西向き 
    土壌:灰色・赤色の粘板岩 
    醸造 収穫後すぐに圧搾、ステンレスタンクで野生酵母により発酵 11ヵ月間シュールリー。

    モーゼルの急斜面に植わるシュペート ブルグンダーの、ほんのりと薄いロゼワイン。柑橘系の明るい果実味に、タイムなどのハーブの香り。洗練されたスタイルだが、気軽に楽しめるトーンの味わい。ROBの意味は「Rose from Batterieberg」で、CAI と並ぶ位置づけ。ブドウは、10%モンテノイベ ル、40%ドーロナー・ホーフベル ク、50%ブリーデラー・ヘルツヒェンの畑から収穫される。

    Enkircher Monteneubel Spätburgunder 2017
    エンキルヒャー・モンテノイベル・シュペートブルグンダー

    品種:シュペートブルグンダー100%
    植樹:1998年
    土壌:赤色粘板岩
    醸造:果梗100%で、合成樹脂のコンテナでピジャージュしながら1ヵ月間マセレーション。容量225~300Lの木樽で2年間熟成。

    「モンテノイベル」という畑名で栽培されているシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)。2年間の樽熟成により、余計な果実味やタンニンを落ち着かせた、端正なピノ・ノワール。2011VTはラベルデザインが異なり、白いエチケットでのリリース。
    ¥6820

  • Parlange & Illouz

    Parlange & Illouz

    パルランジュ・エ・イルーズ

    フランス / シュッド・ウエスト

    ポール・パルランジュとジェレミ・イルーズにより2008年に立ち上げられたワイナリーで、ネゴシアンワイナリーとしてのスタートだったが、2011年から6haの自社畑からワイン生産をしている。マルベックを中心に、土着品種のジュランソン・ノワールやヴァルディギエ古樹も栽培しており、自然が豊かな環境のカオールの地で羊を使った畑管理など、土地との調和を重視。近年は気候変動に合わせた品種選択を行い、実験的にサンソーやウニ・ブラン、シャルドネなども植樹。2016年に新設されたセラーは、半地下でエアコンに頼らない温度管理が可能赤ワインは全房醗酵し、出荷されるワインの8割以上が無添加で瓶詰めされている。ジェレミーのワインは著名な生産地でもなく、クラシックワイン的観点からもナチュラルワイン的観点からも派手さがあるわけではないのだが、実直な栽培と醸造が感じられる、芯の通ったワインだ。

    カオールについて

    古くから通称「黒ワイン」と呼ばれる、濃厚なワインの産地として知られるエリア。ボルドーからほぼ真東に150kmほど離れた内陸部にあり、夏はより乾燥し暖かい。それゆえ産するワインは、ボルドーの典型的な赤よりはテクスチュアが幾らか粗いが、豊かで活気がある。カオールの名声は12世紀には既に高く、当時からイギリスに大量に輸出され、ボルドーと競合するほどの人気を博していた。また、歴代フランス国王にも愛され、ルネサンス文化を推奨したフランソワⅠ世は、パリ近郊のフォンテーヌブロー宮殿でカオールのブドウ品種を栽培させた。AOCカオールはマルベック70%以上。補助品種はメルロとタナのみ。ジュランソン・ノワールは1996年以降、AOCワインには使用不可となる。マルベックはこの地方名で、コットと呼ばれることが多い。

    シュッド・ウエストについて

    フランス南西部。ボルドーのジロンド河の上流となるガロンヌ河沿岸から、大西洋岸のフレンチ・バスク地方、ピレネー山脈、ガスコーニュ地方、トゥールーズ近辺まで。広大な範囲にブドウ畑が点在する地域。温暖多雨なバスク地方から、少雨で乾燥した内陸部まで、テロワールは多岐に渡る。主なAOCは、ボルドーのすぐ東のベルジュラック、ガロンヌ河の支流となるロット河支流に広がるカオール。ユニークな固有品種モーザックやデュラスなどが活躍する、AOCガイヤック。固有品種フェール・セルヴァドゥーで注目される、AOCマルシヤック。強壮さで知られる、AOCマディラン。クリスピーなクールビュ品種が活躍するAOCイルレギーなど。ジャンシス・ロビンソンは、ピレネー山脈の急斜面で生まれる風味の強い白、ジュランソンを「フランスで最も際立った白のひとつ」とし、マルシヤックのフェール・セルヴァドゥーを、「胡椒のような風味を持ち、背筋がゾクゾクするほどこたえられない品種」と高く評価している。

    VdF – Blanc 2021
    ブラン

    品種:ユニ・ブラン100%
    植樹:2018年
    位置:南向き
    土壌:粘土石灰質
    醸造:ステンレスタンクで5日間マセレーション。ステンレスタンクで6ヵ月間熟成。ノンフィルタ―。

    2010年代、遅霜が頻発したことから、実験的に植えたユニ・ブラン。萌芽が他の品種に比べて遅いので、遅霜を回避できると期待して植えた。初年度の2021年VTは極度に冷涼な年であったこともあり、アルコール度数10%のワインが出来た。
    ¥4510

    VdF – La Pièce 
    ラ・ピエス

    品種:マルベック100%
    植樹:1980年~1990年ごろ
    位置:海抜300m
    土壌:粘土石灰質
    醸造:7~15日間全房マセレーション。ステンレスタンクでマロラクティック発酵。ステンレスタンクと一部木製樽で10ヵ月間熟成。

    全房でマセレーション期間も長くない、フレッシュなスタイルのマルベック。気候が暖かくなってからは青さを感じること少なく、精細なテクスチャーが魅力のデイリー赤ワイン。