カテゴリー: WINE

  • Alice et Olivier de Moor

    Alice et Olivier de Moor

    アリス・エ・オリヴィエ

    フランス / ブルゴーニュ

    ディジョン大学・醸造学部の同級生だったアリスとオリヴィエの二人が1994年、計4haの畑からスタートしたドメーヌ。アリスは祖父が農家で、シャブリのほかオーストリア、ポルトガルでも経験を積む。生産の主力はシャブリとアリゴテで創業以来、自社畑は主にシャブリとサン・ブリのエリアにある。創業以来クロード・クルトワなどの生産者達との親交の中、除草剤の使用を減らし少しづつビオロジックに転換。2002年には酸化防止剤無添加キュヴェも実験的に生産したこともあった。2005年にはビオロジック栽培に完全転向し、2008年に認証を得た。しかし認証取得以前の数年前から既に、枝の誘引や除葉などまでを格別の丁寧さで手作業で行う真摯な栽培が生むワインは、パリのレストラン向けヴァン・ナチュール試飲会などでは常に大絶賛される人気を確立していた。2009年からはネゴシアンもスタート。2017年ヴィンテッジからはシャブリ・プルミエ・クリュのリリースも開始し、ますます意気が揚がる生産者である。息子のロマン・ド・ムールはアリス・エ・オリヴィエのドメーヌで働きながら、自身でもドメーヌを始めた。

    Le Vendangeur Masquéとは、アリス&オリヴィエが活動しているネゴシアン名。
    ラベルにはドメーヌ名ではなく、このネゴシアン名のみを記載。
    ドメーヌは有機認証を取得済みだが、ネゴシアンブドウは有機栽培転換中の畑のものも含まれる。

    Bourgogne Aligoté 2022
    ブルゴーニュ・アリゴテ

    品種:アリゴテ
    植樹:1995年
    位置:標高200m、北東向き
    土壌:キンメリジャン時代の石灰質・粘土土壌
    醸造:ステンレスタンクでアルコール発酵。樽で約1年間熟成後、タンクで熟成してから瓶詰め。

    Chitry(シトリー)村に位置する畑。畑の下部に植わるアリゴテから造られるワイン。(上部はシャルドネが植わっている。)
    ¥4730

    Chablis – l’Humeur du Temps 2021
    シャブリ リュムール・デュ・タン

    品種:シャルドネ
    植樹:1987年
    位置:標高200m、南東向き
    土壌:キンメリジャン時代の石灰質・粘土土壌
    醸造:タンクで1ヵ月間アルコール発酵。木樽で1年間熟成後、タンクで2ヵ月間熟成。

    天候により味わいが大きく異なる変化に富んだ単一区画のキュヴェ。Camille Flammarion(カミーユ・フラマリオン)という天文学者が19世紀に出版したL’Atmosphère: météorologie populaireに挿絵として載っていた版画(地球平面説を表す15~16世紀頃に作成されたとみられる木版画、作者不明)に着想を得て、オリヴィエがラベルを描いた。
    ¥6160

    Bourgogne – Chitry 2023
    ブルゴーニュ シトリー 2023

    品種:シャルドネ
    植樹:2000年、2009年
    醸造:2ヵ月間アルコール発酵樽で16ヵ月間熟成後、タンクで3ヵ月間熟成

    シトリー村に所有する複数の畑のブレンド。
    ¥7040

    Bourgogne Blanc (Le Vendangeur Masqué)
    ブルゴーニュ・ブラン (ル・ヴァンダンジュール・マスケ)

    品種:シャルドネ100%
    植樹:1973年(ヴォー・オセール)、1983年(ヴェズレー)
    位置:標高200m、東向き(ヴォー・オセール)、標高260m、南向き(ヴェズレー)
    土壌:粘土石灰質
    醸造:2ヵ月間アルコール発酵。木樽で1年間熟成後、タンクで2ヵ月間熟成

    Le Vendangeur Masquéとは、アリス&オリヴィエが活動しているネゴシアン名。(1/3はヴォ―・オセール、2/3はヴェズレー)

    ¥6490 (2023)

    Chablis (Le Vendangeur Masqué)
    シャブリ(ル・ヴァンダンジュール・マスケ)

    品種:シャルドネ
    植樹:1998年
    位置:標高240m、北西向き
    土壌:キンメリジャン時代の石灰土壌に多くの小石が混じる
    醸造:24時間デブルバージュを行った後、木樽で約2ヵ月間アルコール発酵。木樽で1年間熟成後、タンクで2ヵ月間熟成。

    ¥6600 (2023)

  • Alberto Oggero

    Alberto Oggero

    アルベルト・オッジェーロ

    イタリア / ピエモンテ

    アルベルトの祖父はワインを造り動物も飼育する農家だった。彼の両親はトリノへと移り住んだが、幼少時代のアルベルトは休みの度に祖父の家へと戻り、一緒に過ごしていたことが彼の原風景となっている。2009年にワインを生業としていくことを決め、祖父の家の一階部分の牛舎を片付けて醸造所とし、受け継いだ6haの畑を再整備しながらワインを造り始める。当初は設備もそろっていなかったため、2009年と2010年の生産量は5000本ほどで始まり、2019年以降は良い年で27000本ほど生産している。
    ロエロの特徴である砂質土壌はタンニンが強くなる傾向にあるため、ネッビオーロにおいては非常にデリケートな抽出を心がけ、砂質土壌のもう一つの個性である冷涼感を損なわないよう注意を払っている。その個性がより顕著に表れているのが、エントリーレベルの赤ワインであるサンドロ(祖父:アレッサンドロの名に由来)で、目の覚めるような冷涼感のワインである。

    ロエロについて

    ロエロはタナロ川を挟んでランゲのすぐ北側に位置し、アルネイズとネッビオーロを主に生産している。バローロ村からは北に30㎞程度の距離だが、現在の姿になる前のタナロ川が、ロエロの丘陵地帯を形作った際に、石灰土壌の上にたくさんの砂を運んできたため、ロエロの土壌には多くの砂が含まれ、それがロエロのネッビオーロ酒の涼しさとタンニンの主張の強さを特徴づけているとされる。ランゲの造り手へとブドウを供給してきたという歴史もあるが、ランゲのネッビオーロとは大きく性質を異にする。ロエロで生産されたワインをネッビオーロ・ダルバと名乗ることも可能。 一方のアルネイズは、ガーヴィと並びピエモンテの2大白ワインと位置付けられてはいるが、市場の評価は高いとは言えない。収量も多くは取れず、病害に敏感とされ、穏やかな酸で桃や杏子、白い花の香りのデイリーな白ワインが生まれる。  

    ピエモンテについて

    イタリア北西部、アルプス山脈の南麓で、フランスと国境を接する州。面積はシチリアに続いてイタリア第2位。ワイン生産量は7位だが、その品質、多様性、独創性についてイタリアの首座にあると自負する州。DOCGは16、DOCは42にも達する。その心臓部は、州南部のバローロとバルバレスコ以外にも多くの地域で多彩なワインを生む。その筆頭は北部で繊細なネッビオーロを生むガッティナーラとゲンメの両DOCG。南東部アスティ地方では広く知られるバルベーラ、モスカート・ビアンコのスパークリング以外にも、ドルチェットやグリニョリーノも重要品種。南部のガーヴィ/コルテーゼ・ディ・ガーヴィDOCGの優美な白も、近年は本来の輝きを取り戻している。白では、バローロの北隣、ロエーロ地区のロエーロ・アルネイスも安定した人気を確立した。さらに近年では、アスティ県周辺の高標高地区、アルタ・ランガDOCGでの瓶内二次発酵ワインの生産も活況を呈し始めている。

    Sandro
    サンドロ

    品種:ネッビオーロ100%
    植樹:2000年代
    位置:標高280m、南向き
    土壌:砂質
    醸造:ステンレスタンクで約1週間マセレーション。セメントタンクで約1年間熟成。清澄、フィルターなし。

    淡い色あい、澄んだ酸、砂地の涼しい土壌の表現に注力。アルベルト曰くこのキュヴェが一番ロエロらしいネッビオーロといえるかもしれない、とのこと。キュヴェ名は祖父アレッサンドロに由来。
    ¥4620

    Roero Bianco
    ロエロ・ビアンコ

    品種:アルネイズ100%
    植樹:2000年代
    位置:標高280m、東・南東向き
    土壌:砂質
    醸造:50%を全房のままプレスし発酵、残り50%は数日間マセレーション。ステンレスタンクとトーストしていない大樽で約10~12ヵ月間熟成。清澄、フィルターなし。

    マセレーションはワインに骨格と若干の複雑味を与える程度に抑えた、フレッシュなアルネイズ酒。穏やかな酸と、桃や杏子の白い花が香りデイリーなワインとしても活躍。
    ¥4400

  • I Custodi

    I Custodi

    イ・クストーディ

    イタリア / シチリア / エトナ

    カターニャ出身のオーナー、マリオ・パオルーツィが、2007年に立ち上げたワイナリー、イ・クストーディ。若くしてエトナ山の赤ワインに心惹かれるものがあったが、醸造家サルヴォ・フォーティと出会い、エトナワインへとのめりこんでいった。エトナ山の北部に赤ブドウ、東部に白ブドウ、合わせて11.8haのブドウ畑を所有しており、栽培はサルヴォ率いる、イ・ヴィニエーリの栽培家グループに委ね、醸造もサルヴォがコンサルタントとしてかかわっている。マリオはエトナで生まれ育ったわけではないが、サルヴォの考えに深く共感し、伝統的なそしてクオリティーワインを造るためには、ブドウはアルベレッロ仕立てであるべきだと、強く信じている。彼はモガナッツィのワイナリーの建設(2016年)の際に、そこにすでにグイヨー仕立てで畑が植えられていたブドウ樹をすべて引き抜き、アルベレッロへと仕立てるべく、植え替えてしまった。それだけ彼の、エトナの伝統への思いは強い。

    シチリアについて

    東西約300km(トリノ~フィレンツェ間とほぼ同距離)、南北約180kmに渡って広がる地中海最大の島。最南端はチュニジアの首都チュニスより緯度が南となり多くの地域は非常に乾燥する。東部に標高3,329mの活火山エトナ山、中南部に真っ白な石灰岩が海岸に露出するカルタニセッタ、赤い酸化鉄を含んだ土壌が散在するラグーザなど極めて多彩なテロワールを持つ。かつてはヨーロッパ最大のバルクワイン供給地の一つだったが、1990年代後半以降は品質志向のワイナリーが出現、2000年以降はいわゆる国際的スタイルからの脱却も少しづづ進んでいる。またこの島は固有品種の宝庫とも言われ、黒ブドウでは重厚なネロ・ダーヴォラ、繊細でフローラル、かつ高い酸のネレッロ・マスカレーゼ、フラッパートほか。白ブドウではグリッロ、カッリカンテ、カタラットなどに世界から特に注目が集まっている。現在はイタリア内外の有名生産者が、シチリアはエトナの山麗に畑を求めるブームが活火山のように燃えさかっている最中である。

    Etna Rosso – Pistus
    エトナ・ロッソ ピストゥス

    品種:ネレッロ・マスカレーゼ主体、ネレッロ・カップッチョ
    植樹:2000年代
    位置:700m、エトナの北斜面
    土壌:火山性砂質土壌
    醸造:ステンレスタンクで1週間マセレーション。セメントタンクで15ヵ月間熟成。

    ピストゥスとは足でのピジャージュを意味するエトナの方言だが、実際にイ・クストーディのワインをそのように醸造しているわけではない。モガナッツィ区画に建てられた、ワイナリーの周りの若木からのワインで、抽出も濃くなく、セメントタンクでの熟成も短いエントリーレベルのワイン。モガナッツィの区画自体は、当主のマリオが、ここでワインを造りたいと思わせるほどの、良い区画で、エントリーレベルのワインであっても、すべてアルベレッロで仕立てられている。
    ¥4180 (2022)

    Etna Bianco – Ante
    エトナ・ビアンコ アンテ


    品種:カッリカンテ主体、グレカニコ/ミネッラ10%
    植樹:2000年代
    位置:750m、エトナの東斜面
    土壌:火山性砂質土壌
    醸造:ステンレスタンクで醗酵。ステンレスタンクで1年間熟成。

    伝統的に、エトナの北側斜面は赤品種。海より、カターニャよりの、東斜面に白品種カッリカンテは植えられている。ネレッロ・マスカレーゼだけでなく、カッリカンテももちろんアルベレッロ仕立てである。カッリカンテのミネラルの印象と酸を基調に仕上げている。

    ややボディーのある落ち着いた白ワイン。重心も中から重ためですが、しっかりとそれに伴う果実味や旨味や酸などの層があり、バランスよくまとまっています。寒い時期に飲みたくなるような、懐の深さがあるワイン。

    ¥5390 (2021)

  • Face B

    Face B

    ファス・ベー

    フランス / ラングドック=ルシヨン

    「B面(=Face B)曲はヒット曲ではなく、発見の喜びをもたらす隠れた名曲であると同時に成熟と忍耐の末に訪れる第二の人生の具現化でもある。」

    リヨン出身のセヴランがカルス村でワイン造りを始めたのは、2016年のこと。それ以前はCAVB(ブルゴーニュ原産地・生産者組合)に8年間勤めていたが、彼の最初のワイン造りを体験したのもカルス村で2004年のことで、ブルゴーニュにいる間も定期的にカルス村での収穫に参加してきた。最終的に自身のワイン生産地としてカルス村を選んだ決め手となったのは、地域一帯の人間関係、友情に強く惹かれてこの地に落ち着いたのだという。
    8haの畑はバイオロジック栽培で管理されておりセラーは熱い石壁の地上セラー。全ての醸造は自然酵母で、マセレーションは全体的に短く淡く。そして翌年の春には瓶詰をすることが多い。年によってはやや青い酸を感じることもあるが、清涼感を伴った南仏ワインとして、他には見当たらないバランスに仕上がっている。ラシーヌ初輸入の2021VTは雨の多かった年で、際立った酸の傾向が特に強かった。

    ルシヨンについて

    フランスとスペインの国境、ピレネー山脈の東麓、地中海近辺に広がる産地。中心都市ペルピニャンは、フランスで最も雨が少なく暑い町(年平均降水量570mm、7月平均気温23.7℃)。9月の平均降水量もわずか50mmと、収穫期にほとんど雨が降らないのもこの地域の利点である(数値はペルピニャン観測所発表)。辛口ワインは、コート・デュ・ルシヨンが基本AOCでカリニャン、グルナッシュ、サンソーが主体。近年はシラーとムールヴェドルの生産が伸びている。村名が許されたコート・デュ・ルシヨン・ヴィラージュは、より際立った陽性のワイン(赤のみ)で、レスケルド、カラマニなどの上級AOCは、しっかりと強固で熟成に適した価値あるワインであり、そのアロマは土壌に由来する。エリアは東西70km、南北50kmほどで、ラングドックよりも狭い。歴史的にこの地をスペイン・カタルーニャ地方の一部と考える住民が多く、方言はフランス語よりスペイン語に似る。

    ラングドック=ルシヨンについて

    ローヌ河の河口近くから、スペイン国境・ピレネー山麓にまで。地中海沿いに広がる、フランス最大の面積を持つワイン産地。モンペリエ周辺からナルボンヌ、リムーにまで、東西150km以上に渡って続くラングドック地方と、最南西端でピレネー山脈に接し、カタルーニャ地方の一部とも考えられているルシヨン地方から成る。ワイン生産の歴史は6世紀にまで遡る。20世紀後半までは「歯磨き用」とさえ揶揄された低価格ワインを大量に生んだが、1980年代から品質重視への変革が進行し、脚光を浴びている。ルシオンは伝統的には甘口ワインのヴァン・ドゥー・ナチュレル(VDN)も有名で、全仏のVDNの約90%がこの地産。中でもリヴザルト、および「フランス最良のVDN」とジャンシス・ロビンソンが言うヴァニュルスがその代表格。近年は、ルシオン辛口ワインの開拓者とも言えるジェラール・ゴビーの成功に続けとばかりに、世界中からワイン造りに夢を抱く若者の移住や入植が増加している。

    VdF – Nous deux
    ヌ・ドゥー

    品種:マカブー、グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ
    植樹:1950~1980年代
    位置:標高200m
    土壌:シスト、粘土石灰質
    醸造:樽醗酵。半年間樽熟成。

    品種構成としては主体のマカブーに、グルナッシュを少量加えた(=Engrenaches)、エントリーレベルのキュヴェ。シンプルな造りながらFaceBの、清涼感とかすかな南の果実味を感じさせるスタイルがよくわかる。2022VTより、名称を「Engrenaches」から「Nous deux」へ変更してリリース。
    ¥4400

    VdF – Three Little Birds
    スリー・リトル・バーズ

    品種:マカブー100%
    位置:標高200m
    土壌:シスト
    醸造:セメントタンクに約半分の収穫を入れ、残りの半分をダイレクトプレスして1週間マセレーション。半年間樽熟成。

    Face Bの生産するワイン全体に通じる軽やかさに果皮由来のナッツの香りと、グリップのあるタンニンを軽く感じる。
    ¥4950

  • Le Calcinaie

    Le Calcinaie

    レ・カルチナイエ

    イタリア / トスカーナ

    サン・ジミニャーノに、高品質ワインを復活させた立役者の一人。常に快活でエネルギッシュなオーナー、シモーネ・サンティーニは、1995年から畑に化学肥料、除草剤、殺虫剤などを排したビオロジック栽培を続ける、慧眼の持ち主。加えて栽培で重視するのは、低収穫と、葉を多めに残しブドウの房をしっかり陰にするキャノピー・マネージメント。それにより、ヴェルナッチャの魅力の核心である美しく多層的な酸が得られると語る。酸を重視するため、主要な畑の大半は北向きである。亜硫酸添加は通常、トータルで45mg/L以下に抑制。理想とするヴェルナッチャは「瓶詰め直後は14歳の少女のように純粋でプリティ。その後熟成により、多彩な要素に美しいハーモニーが生まれるが、けしてビッグではなくフェミニンでエレガントなワイン」とのヴィジョンは、困難な年にさえ、見事にワインに現れる。

    サン・ジミニャーノについて

    13世紀には既に世に知られたワインで、ダンテやボッカチョの書物にもこの地のワインが登場する。1966年、イタリアの白ワインとして最も早くDOCを獲得した極少数の産地の一つで、今もヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノはトスカーナ唯一の白のDOCGである。ヴェルナッチャ以外の品種ブレンドは10%まで可能。キアンティ・クラッシコ地区の中西端、ポッジボンシから西へわずか15kmほどにある町は、中世の巨大な石塔が13塔残る、トスカーナ屈指の観光地でもある。それゆえ、ワインは多数の観光客に簡単に売ることができるため、「極一部の例外を除けば、依然として味覚の驚きというよりも、観光の小道具のまま。ゆえ、厳しく(生産者を)選別しなければならない」(M・クレイマー)。優れたヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノは肉厚で濃度のある口当たりと、ほのかなアーモンドの香り、わずかな苦みのある爽快な後味を持っている。

    トスカーナについて

    サンジョヴェーゼ品種の最重要生産地であり、その王国。20世紀末の短期間、主に伝統産地外の沿岸部などで、ボルドー品種とバリック新樽を用いた濃厚なワインが“スーパー・タスカン”と称され、世界を席巻したが、近年はよりピュアにサンジョヴェーゼの美点を追求する生産者に再び注目が集まっている。ただし区分したいのは“スーパー・タスカン”の中でもかつては主にキアンティ・クラッシコDOCG法外だった100%サンジョヴェーゼを敢行したゆえのワインたち。それらの生産者の中には、サンジョヴェーゼ100%がDOCG法認可された後も、IGTにとどまり偉大な深みを持つワインを生み続ける生産者が少なくなく、同じ“スーパー・タスカン”の中でもボルドー品種主体のものとは区別して把握・評価するべきだろう。また、この州の人々は歴史的に進取の気性に富み、常に探求と挑戦と共にワイン造りも変化する。その様子を、ヒュー・ジョンソンは「旧世界の中の新世界」とさえ評している。

    Vernaccia di S.Gimignano 2024
    ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ 2024

    品種:ヴェルナッチャ100%
    植樹:1987年、1999年、2009年
    位置:標高220~250m、東南向き
    土壌:石灰・粘土質土壌
    醸造:ステンレスタンクで醗酵。ステンレスタンクで6ヵ月間熟成。

    シンプルな造りながら、複雑味を備えており、暑い年でもヴェルナッチャの魅力の核となる多層的な酸が生き生きとしている。
    ¥4180