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  • Entre Pedras

    Entre Pedras

    エントレ・ペドラシュ

    ポルトガル / アソーレス諸島 / ピコ島

    Entre Pedrasはポルトガル語で「石と石の間」を意味する。ピコ島のブドウ畑の景観を形成する石垣にちなんで名付けた。ピコ島にルーツを持つアンドレ・リベイロと本土からピコ島へとやってきたリカルド・ピント2人によるプロジェクトで、ワイン造りを大学で学んでいた時の同級生。農学課程を修了し、ブドウ栽培とワイン醸造学の修士号を取得した2人は、2019年の収穫期にピコ島で再会し600本のワインを造った。自社畑も2.5ha所有するが、ピコ島の栽培環境では収穫量は1haあたり1tを切るため、買いブドウも含めて年間2000~3000本のワインを造る。また2010年代以降に活発になっていった観光客向けではない品質志向の小規模ワイナリーでも働きながら、自分たちのワインを造っている。「ワインは畑で造られる」と信じ、ピコ島の”本物”のワインを世界中の人に味わってもらいたいと考え、日々ワイン造りをしている。

    ピコ島について

    ピコ島に行くと石壁(クライシュ)の入り組む海辺のブドウ畑の姿に圧倒される。石壁の長さは合計8万km、地球二周分の長さがあると言われ、2004年に「ピコ島のブドウ畑文化の景観」(987haの畑)がユネスコ世界遺産に登録された。しかし歴史を紐解くと、島外からのベト病やフィロキセラ禍の伝来により、20世紀初めにはピコ島のワイン産業は風前の灯だった。1949年に協同組合が設立はブドウ栽培文化の復活の第一歩と言うことができるだろうが島全体として大きくワイン生産量が増えたわけではない。しかしそれに合わせて行政が支援策を打ち出したことにより、島外からのワイン技術者の注目を集めるようになり、次第に生産量は増えていく。2011年時点で20万Lのワインが生産され、それ以降も着実に生産量は増加。2014年にはアントニオ・マンサニータを含む有志達によりアソーレス・ワイン・カンパニーが設立。その後も島内外からのピコ・ワインへの機運は高まりつづけ、2022年時点で70万Lの生産量となっている。  現在ピコ島には1000ha弱のブドウ畑が生産体制にあるそうで、さらに2000haの耕作放棄された畑が残っている。品種の多くはアリント・ドシュ・アソーレスが植えられており、よりマイナー品種であるヴェルデーリョやテランテシュなどの地品種の再興の動きも見られる。2010年代前半にはポルトガルワインの文脈にはついぞ見かけられなかったピコ島のワインだが、2020年代に入りその特異な歴史とワインに光が再び当たり始めた。

    アソーレス諸島について

    9つの島からなる北大西洋の火山島。1720年のピコ島、1957年のファイアル島での噴火が記録されている。14~15世紀頃に発見されたとされ、ブドウも同時期に栽培が開始された。アンドレ・ジュリアン(フランス人の最初のワインライター)の1812年の報告によると、9つの島から合わせて1340万Lのワインが生産され多くが輸出されていたという。多くのワイン産地同様、ベト病やフィロキセラ禍が島へと伝わり、諸島全体からブドウ畑が消えた。アメリカ台木を利用してのブドウ栽培はその後も続けられ、現在最もブドウ栽培が盛んなピコ島(2番目に大きな島)には1000ha弱のブドウ畑がある。ブドウ品種の多くはアリント・ドス・アソーレスが植えられており、よりマイナーなヴェルデーリョやテランテスなどの地品種の再興の動きも見られる。  最大の島はサン・ミゲル島で、人口の約半分の13万人が住んでいる。各島にそれぞれの特色はあるが、最大の産業は酪農であり諸島の総面積の半分が牧草地たちとなっている。その他トウモロコシやパイナップルの栽培も盛んだが、近年は観光業が島民の生活を大きく変えている。ワイン産業はピコ島が主要ではあるものの、テルセイラ島、グラシオーザ島、ファイアル島、サン・ミゲル島、などでもブドウ栽培はされており、諸島全体で2023年時点36のワイナリーがある。

    ポルトガルについて

    ポルトガルは大西洋、山脈や河川により地理的に隣国スペインから隔てられ、1986年にEUに加盟するまでは政治的にも孤立していた。そのため長い間イギリス向きに出荷されてきた、ポートワインやマデイラ酒を除くと、ポルトガルワインへの関心は市場でも高いとは言えなかった。しかしそれゆえ隠れたブドウ栽培地域や地品種の古樹が数多く残り、それらの要素への関心が世界的に高まる中で、2010年代頃からダイナミックな変化が起こっている。  ポルトガルが広くない国土にもかかわらず、多様な地形と土壌、ワイン文化を持つことは、ポートワインとヴィーニョ・ヴェルデという性質が相反するまったく別種のワインが、しかも隣接する地域から生産されることからも、良くわかる。それらの下地と、海外などで経験を積んだ若い造り手たちの熱意が、現在のポルトガルワインの原動力となっていると言えるだろう。  とかく情報過多に陥りがちな現在、ポルトガルには魚介類を使った素朴な料理が多く、その料理と合わせて飲まれてきたポルトガルワインは、一般に気取った味わいを感じさせないので、難しく考えずに飲んでいただきたい。

    Pico – Arinto dos Açoresピコ
    アリント・ドシュ・アソーレス

    品種:アリント・ドシュ・アソーレス主体、ボアル、ヴェルデ―リョ、テランテス・ド・ピコ
    植樹:1940年代~1980年代
    位置:標高10~60m、東向き
    土壌:火山性土壌、玄武岩、ビスコイト(火山岩の細かな石)、ラジド(溶岩の固まった割れ目)80%
    醸造:ケースごとに足踏みして破砕後プレス、マセレーションはしない80%をステンレスタンク、20%を古樽で自然酵母とともに醗酵10ヵ月間熟成

    高温多湿の気候が厳しい今日この頃、すこしでもその疲れを癒し忘れさせてくれる酸、それもポルトガル・ピコ島の土地柄がつくり出す個性と、造り手の神経が行き届いた味わいに支えられた酸を備える白ワイン。

    主にクリアサォン・ヴェーリャ地区の7つの畑と、バルカ地区の4つの畑、そしてサォン・マテウス地区近くの栽培家たちから購入したブドウを原料とした、高樹齢の畑のワイン。特にクリアサォン・ヴェーリャ地域はピコ島内でも重要な区画であり、彼らにとってもこの区画のブドウでワインを造ることは重要な意味を持つ。塩気と高い凝縮感。ノンフィルターで瓶詰めしており、味わいののりもよい。
    ¥7920

    IG Azores – Efusivo Branco 2023
    アソーレス エフスィーヴォ・ブランコ

    品種:アリント・ドシュ・アソーレス主体、ヴェルデーリョ、テランテス・ド・ピコ
    植樹:2000年代~2010年代
    位置:標高100~150m、北向き
    土壌:火山性土壌、ビスコイト(火山岩の細かな石)、ラジド(溶岩の固まった割れ目)
    醸造:ケースごとに足踏みして破砕後プレス80%をステンレスタンク、20%を木樽で自然酵母とともに醗酵すべてステンレスタンクに移し替え、9ヵ月間熟成。

    エフスィーヴォはエントレ・ペドラシュのエントリー・キュヴェ。ブドウはピコ島の北部にある5つの畑(マデレーナ地区からサンタ・ルズィア地区までのエリア)から購入し、醸造している。

    花の蜜っぽさやナッツなど、密度がありながら全体の印象としては華やかでエレガント。緻密なテクスチュアがあり、ピコ島の自然環境を彷彿とさせる塩気が混然一体となった味わいには、はっとする美しさあり。

    主張しないが、高いレベルでそれぞれの要素が調和した、静かでかつ上品な香りの印象。果実味とミネラリティーが広がるが、肌理細かく繊細な印象。
    ¥6600

  • Monte da Casteleja

    Monte da Casteleja

    モンテ・ダ・カシュテレジャ

    ポルトガル / アルガルヴェ

    ポルトガル南部アルガルヴェ地方ラゴス近郊にあるモンテ・ダ・カステレジャは、丘の上の一軒家と畑からなる家族経営のワイナリーだ。名は敷地内で発見された古代ローマ時代の城跡(Castelo)に由来する。当主ギヨーム・ルルーはフランス人の父とラゴス出身の母を持ち、モンペリエとポルトで栽培醸造を学び、祖父の畑を継いで1999年に創業した。畑では土着品種のバシュタルドやマルヴァジア・フィナなどを栽培。アルガルヴェはポルトガル本土最南のワイン産地で、気温はかなり高いとされるが、海風と晩夏には北風「ノルターダ」が山から吹きおろすことで、ブドウに酸を保たせることができるのだそうだ。2008年にオーガニック認証取得。

    アルガルヴェについて

    ポルトガル本土最南端のワイン産地アルガルヴェでは、燦々と降り注ぐ日差し、温暖な気候、海からの涼風、美しい砂浜のリゾートが観光客を惹きつける。海やリゾートをイメージさせる軽やかな白ワインも生産されるが、地域の赤ワインはフルボディで、ときに酸が乏しいとも評されてきた。北からの冷たい風はアレンテージョとアルガルヴェを隔てるモンシケ山地によって遮られ、地域全体はより温暖で海洋性気候の影響が強い。DOPは西からラゴス、ポルティマン、ラゴア、タヴィラの4つが沿岸に並び、土壌は石灰質粘土、砂岩、シストなど多様で、モンシケ山地の冷涼な環境で生産されるワインもある。主要品種は、白がアリントやマルヴァジア・フィーノ、赤がカステラォンやトゥリガ・ナショナルなどである。

    ポルトガルについて

    ポルトガルは大西洋、山脈や河川により地理的に隣国スペインから隔てられ、1986年にEUに加盟するまでは政治的にも孤立していた。そのため長い間イギリス向きに出荷されてきた、ポートワインやマデイラ酒を除くと、ポルトガルワインへの関心は市場でも高いとは言えなかった。しかしそれゆえ隠れたブドウ栽培地域や地品種の古樹が数多く残り、それらの要素への関心が世界的に高まる中で、2010年代頃からダイナミックな変化が起こっている。  ポルトガルが広くない国土にもかかわらず、多様な地形と土壌、ワイン文化を持つことは、ポートワインとヴィーニョ・ヴェルデという性質が相反するまったく別種のワインが、しかも隣接する地域から生産されることからも、良くわかる。それらの下地と、海外などで経験を積んだ若い造り手たちの熱意が、現在のポルトガルワインの原動力となっていると言えるだろう。
    とかく情報過多に陥りがちな現在、ポルトガルには魚介類を使った素朴な料理が多く、その料理と合わせて飲まれてきたポルトガルワインは、一般に気取った味わいを感じさせないので、難しく考えずに飲んでいただきたい。

    Meia Praia tinto 2023
    メイア・プライア・ティント

    品種:アルフロシェイロ主体、ソウサォン
    植樹:2000年
    位置:標高12m
    土壌:粘土石灰質
    醸造:除梗し足で破砕。スキンコンタクトなしで20日間発酵。225Lの古樽で6ヵ月間熟成。

    梅やシソの印象とハイトーンの酸は18と変わらない。肩の力を抜いて気軽に飲めるやわらかい赤ワイン。

    限られた低収量の区画から造られる。メイア・プライア(「半分の浜」の意)はワイナリーからもほど近く、多くの旅行客でにぎわうビーチの名。ラゴシュという美しい街への賛辞を込めて造られるキュヴェ。程よい果実の熟度と、しっかりと感じるが穏やかな酸味のアタックが心地よい気軽な赤ワイン。アルコール度数は12.5%(2023)。

    トーンの高い酸と果実味、やわらかい口当たりで、暑い日にうってつけのポルトガル新着赤ワイン。シンプルで飲む人を疲れさせない良さがある。
    ¥3520 

  • Vale da Capucha

    Vale da Capucha

    ヴァレ・ダ・カプーシャ

    ポルトガル / リシュボア

    アントニオのワインとならんで、ポルトガルワインを取り扱う決め手となったのが、ペドロ・マルケシュの白ワイン。ペドロのワイン造りは、キンメリジャン土壌を活かした、気候にも土壌にも海を強く感じさせるもので、地品種を数多く栽培して特徴的な白ワインを造っている。
    リスボンの北に位置する、トレシュ・ヴェドラシュの地域に13haのブドウ畑を所有。2009年にワイナリーを再興するべく、兄弟でワイン造りを始め、2015年にビオ認証を取得。田舎で生まれた彼にとってブドウ畑は常に身近にあり、リスボンの農業専門学校に行くことに初めから迷いはなかった、と話す。
    2005年に卒業後ヨーロッパや新世界のワイナリーで働きながら、少しずつ家族の畑を植えなおし、2009年に初めて自身のワインを醸造。それ以降も近所のワイナリーで働きながら、2015年にようやく兼業を脱してフルタイムで働けるようになった。
    「ブルゴーニュ、ジュラ、アルザス、ロワール、そしてシュタイヤーマルクで造られるような、洗練されたワインが好きだが、白品種のスキンコンタクトといった、昔使われていた技術にも興味はある。けれど、食中酒を造ることをなによりも念頭に置いている」と、ペドロは話す。

    リシュボアについて

    このユーラシア大陸最西端のワイン生産地域は、「エストレマドゥーラ」とながらく呼ばれていたが、2010年にワイン生産地域が再編成されて「リシュボア」と改称され、9つのDOCに分かれている。協同組合が大規模にワインを生産する、テーブルワインの生産量も多い地域で、収穫量の多い品種が植えられやすい傾向にある。しかし内陸方面へ20km入れば標高300mに達し、寒暖差が大きく、絶えず風が吹き、キンメリジャンなどの粘土石灰土壌もありと、良いワインが生産される条件が整っていると言える。白品種のアリントとフェルナォン・ピレシュ、赤品種のマルセラン、カシュテラォン、トゥリガ・ナシオナルなど、多くの地品種が栽培されている地域で、伝統的には混植混醸されてきたが、シングルバラエティやシングル・ヴィンヤード産のワインも数多く生まれている。ポルトガルの中でも比較的雨が多い地域のため、白ワインも赤ワインも酸味と鉱物感を基調としたすっきりとした味わいのワインが造られやすく、これからも興味深い造り手の出現が期待できる地域。

    ポルトガルについて

     ポルトガルは大西洋、山脈や河川により地理的に隣国スペインから隔てられ、1986年にEUに加盟するまでは政治的にも孤立していた。そのため長い間イギリス向きに出荷されてきた、ポートワインやマデイラ酒を除くと、ポルトガルワインへの関心は市場でも高いとは言えなかった。しかしそれゆえ隠れたブドウ栽培地域や地品種の古樹が数多く残り、それらの要素への関心が世界的に高まる中で、2010年代頃からダイナミックな変化が起こっている。ポルトガルが広くない国土にもかかわらず、多様な地形と土壌、ワイン文化を持つことは、ポートワインとヴィーニョ・ヴェルデという性質が相反するまったく別種のワインが、しかも隣接する地域から生産されることからも、良くわかる。それらの下地と、海外などで経験を積んだ若い造り手たちの熱意が、現在のポルトガルワインの原動力となっていると言えるだろう。とかく情報過多に陥りがちな現在、ポルトガルには魚介類を使った素朴な料理が多く、その料理と合わせて飲まれてきたポルトガルワインは、一般に気取った味わいを感じさせないので、難しく考えずに飲んでいただきたい。

    Fossil Branco 2019
    フォッシル・ブランコ

    品種:フェルナォン・ピレシュ主体、アリント、その他地場品種
    植樹:2000年代
    位置:120~200m、複数の区画
    土壌:キンメリジャン、薄い表土
    醸造:ステンレスタンクで醗酵。ステンレスタンクで10ヵ月熟成。一部、木製樽で発酵・熟成

    キンメリジャン土壌で化石が良く見つかる土壌である、彼らのテロワールのを表したエチケットとワイン名。しっかりとした収穫量の取りやすいフェルナォン・ピレシュを主体に複雑性を与えるためにそのほかの品種をブレンド。リシュボアエリアのアリント、その他地域で栽培される、ヴィオズィーニョ(ドウロ)、アンタン・ヴァス(アレンテージョ)、アルバリーニョ(ヴィーニョ・ヴェルデ)など。高い酸と厚みのある味わいで、香りにも味わいにも海の影響を強く感じる。
    ¥4180

    Palhete
    パリェーテ

    品種:アリント(白)、カステリーニョ(赤)
    植樹:2000年代
    位置:120~200m
    土壌:キンメリジャン、薄い表土
    醸造:ステンレスタンクで醗酵。ステンレスタンクで12ヵ月熟成

    ポルトガルで伝統的に造られてきた、赤白品種の混醸を特にパリェーテと呼び、白品種の酸と赤品種の果実味が両立している。色は薄目で少しくぐもりがある。心地よい気軽さで親しみやすく、冷やして飲むのがおすすめ。瓶の色も無色透明で涼し気。
    ¥3960

    “Cedro” Alvarao 2018
    セードロ アルヴァラォン

    品種:アルヴァリーニョ

    果実の凝縮感に加えて、樽熟成を思わせる芳香-クリーミーでナッツのような印象-あり。テクスチュアが柔らかく艶もあり、味わいの広がり方も美しい。ゆっくりと時間をかけて飲みたい味わい。

  • Defio wine

    Defio wine

    デフィオ・ワイン

    ポルトガル / リシュボア / バイラーダ

    デフィオ・ワインはポルトガルでワインのマーケティング会社を経営するアナ・ソフィア・デ・ソウザ・オリヴェイラと、著名生産者の輸出マネージャーだったサラ・ロドリゲシュ・エ・マトシュが立ち上げたワイン・プロジェクト。デフィオはエスペラント語で「挑戦」を意味する。醸造所もブドウ畑も持っていなくても、自分たちのワインを造ることは不可能ではないはずとチャレンジを決め、プロジェクトをデフィオと名付けた。
    二人はバイラーダのルイシュ・パトと9年仕事をしていたこともあり、缶ワインだからと言って中身に妥協はせず、自分たち自身が本当に飲みたい高品質でナチュラルなワインを製品にしたかった。プロジェクトを立ち上げる際、ポルトガルの多くの若手醸造家達から尊敬を集めている醸造家ディルク・ニーポートに相談。彼は最初は懐疑的だったが、最後には熱意が伝わり「やりたいようにやりなさい」と言ってくれたそうだ。
    アナとサラの最初のワインは、アルコール濃度は11%のクラレット・スタイルの明るい色をしたバガの赤ワイン。それはディルクが提唱するコンセプト「ナット・クール」、つまり低アルコール、低抽出、オーセンティックで気張らず、気軽に飲めるスタイルのワイン。次に造ったのはフェルナォン・ピレシュとアリントを果皮と一緒に発酵して、樽熟成したアルヴァリーニョを少しブレンドしたワイン。ジューシーな辛口で生き生きとしたタンニンの、余韻の長いオレンジワインで、醸造を手掛けたのはどちらもトップクラスの醸造家(赤はニーポートのセルジオ・シルヴァ、白はエシュペラ・ワインズのロドリゴ・マルティンシュ)。

    リシュボアについて

    このユーラシア大陸最西端のワイン生産地域は、「エストレマドゥーラ」とながらく呼ばれていたが、2010年にワイン生産地域が再編成されて「リシュボア」と改称され、9つのDOCに分かれている。協同組合が大規模にワインを生産する、テーブルワインの生産量も多い地域で、収穫量の多い品種が植えられやすい傾向にある。しかし内陸方面へ20km入れば標高300mに達し、寒暖差が大きく、絶えず風が吹き、キンメリジャンなどの粘土石灰土壌もありと、良いワインが生産される条件が整っていると言える。白品種のアリントとフェルナォン・ピレシュ、赤品種のマルセラン、カシュテラォン、トゥリガ・ナシオナルなど、多くの地品種が栽培されている地域で、伝統的には混植混醸されてきたが、シングルバラエティやシングル・ヴィンヤード産のワインも数多く生まれている。ポルトガルの中でも比較的雨が多い地域のため、白ワインも赤ワインも酸味と鉱物感を基調としたすっきりとした味わいのワインが造られやすく、これからも興味深い造り手の出現が期待できる地域。

    ポルトガルについて

    ポルトガルは大西洋、山脈や河川により地理的に隣国スペインから隔てられ、1986年にEUに加盟するまでは政治的にも孤立していた。そのため長い間イギリス向きに出荷されてきた、ポートワインやマデイラ酒を除くと、ポルトガルワインへの関心は市場でも高いとは言えなかった。しかしそれゆえ隠れたブドウ栽培地域や地品種の古樹が数多く残り、それらの要素への関心が世界的に高まる中で、2010年代頃からダイナミックな変化が起こっている。  ポルトガルが広くない国土にもかかわらず、多様な地形と土壌、ワイン文化を持つことは、ポートワインとヴィーニョ・ヴェルデという性質が相反するまったく別種のワインが、しかも隣接する地域から生産されることからも、良くわかる。それらの下地と、海外などで経験を積んだ若い造り手たちの熱意が、現在のポルトガルワインの原動力となっていると言えるだろう。
    とかく情報過多に陥りがちな現在、ポルトガルには魚介類を使った素朴な料理が多く、その料理と合わせて飲まれてきたポルトガルワインは、一般に気取った味わいを感じさせないので、難しく考えずに飲んでいただきたい。

    Defio Pelicula Branco 2021
    デフィオ・ペリクラ・ブランコ

    品種:フェルナォン・ピレシュ、アリント、アルヴァリーニョ
    植樹:2017年頃
    土壌:白亜質土壌
    醸造:フェルナォン・ピレシュとアリントを合わせて約17日間マセレーション発
    酵、その後圧搾フレンチオーク樽で7ヵ月間熟成したアルヴァリーニョを最後に数パーセントブレンドする

    エシュペラ・ワインズのロドリゴ・マルティンシュが醸造を担当。畑はリシュボアのサブリージョン、オビドシュに位置している。ペリクラは果皮を意味し、スキンコンタクトを行っていることを示している。10-12℃ほどで飲むのがおすすめ。
    250ml
    ¥1540

    Defio Baga Clarete 2021
    デフィオ・バガ・クラレテ

    品種:バガ100%
    植樹:1970年代
    位置:標高50m
    土壌:石灰岩土壌に粘土が混じる
    醸造:除梗後、ステンレスタンクでマセレーション醗酵。ステンレスタンクで熟成。

    キンタ・ダ・バイショ(ニーポート傘下のワイナリー)のセルジオ・シルヴァが醸造を担当。畑はバイラーダのコルヂーニャというエリアに位置する。果皮の漬け込みは約1日程で抽出を抑え、色が明るく淡い赤ワイン(Clarete)に仕上げた。
    250ml
    ¥1540

  • Luis Lopes

    Luis Lopes

    ルイシュ・ロペシュ

    ポルトガル / バイラーダ

    醸造家ルイシュ・ロペシュはポルトガルで醸造学を修めたのち、ブルゴーニュ、ニュージーランド、ドイツで醸造家として働き、2006年にポルトガルへ帰国しました。帰国後はダォン地方のキンタ・ダ・ペラーダで醸造責任者として働き(2006~2017年)、アントニオ・マデイラ氏の元でも醸造コンサルタントとして勤務している。
    ルイシュは伝統と先進技術の共存するブルゴーニュや、世界のワイン市場でクオリティーワインとして認知の広がるニューワールドでも醸造経験を積んだ。クラシック/モダン/ナチュラルなどワインのスタイルによらず、こよなくワインを愛するルイシュだが、フランスにいた頃の忘れられない経験の一つはピエール・オヴェルノワとのディスカッションだった。醸造中の亜硫酸の是非について、とことんまで質問を投げかけたという。
    2022年現在、ダン地方のアントニオ・マデイラ氏の元で醸造コンサルタントとして働きつつ、買いブドウで、自身のワイン造りをしている。友人のワイナリーを間借りして、コンサルタント業の合間を縫ってのワイン造りなので、初VTから2021年VTまでの毎年の生産量は1000本以下。そんな彼の2013年のワインを、2019年にパリのポルトガルワインバーでラシーヌの開発ティームが飲み、彼にメッセージを送ったことから、ルイシュとのやり取りが始まったのだが、彼にとってはあまりにも思いがけず、嬉しいことだったそうで、彼自身の生産が本格的に始まるまでは、ほとんどの生産ワインを日本に向けて出す、とまで言ってくれた。
    人柄もさることながら、醸造センスとワインへの見識の深さから、他の生産者からも「彼はナショナルスターだ」と高く評価されていて、これからのポルトガルワインシーンにおいて重要人物になることは、間違いない。

    Moreish Tinto 2021
    モーリッシュ・ティント

    品種:カシュテラォン・ナシオナル80%、トリンカデイラ・プレタ20%

    よく抽出され内容豊富な果汁の味わい、テクスチュアも自然に口に溶け込むようなやわらかさ。赤系果実と乳系の印象も少し感じられた。

    Moreish Branco
    モーリッシュ・ブランコ

    品種:ビカル、マリア・ゴメシュ
    植樹:1980年代
    位置:東・西向き斜面
    土壌:粘土質、石灰質
    醸造:ステンレスタンクで約3週間醗酵、マセレーションはしない。ステンレスタンクで約8ヵ月間熟成。

    モーリッシュとは英語でMore+ish、「つぎつぎと杯が進む、もっとほしくなる」といった意味。本人は自分のワインをglou glou(仏語で“ごくごく”と喉の鳴る音)なワインだというが、上品な果実味と、白い花、アーモンドの余韻が長く続く、品位を感じるワイン。
    ペリクラール(マリア・ゴメシュ)を単一醸造する年は、ビカルのみで醸造、そのほかの年はビカルとマリア・ゴメシュをブレンドしてリリースされる。

    芯のある果実味と、自然な果汁の甘さに伴う旨味・酸・ミネラリティ―が一体となって弾けるような快さあり(2021)。

    Moreish Común 2019
    モーリッシュ・コムン

    品種:ガルナッチャ・コムン
    植樹:2016年~2017年
    土壌:粘土質、石灰質
    醸造:コンクリートタンクで醗酵。600Lのフレンチオーク樽で熟成。

    ルイシュがスペイン・エストレマドゥーラ州で手掛けるプロジェクト。ボデガス・パラシオ・ケマードの所有する畑に新しく植えたガルナッチャ・コムンでの醸造。以前このプロジェクトを担っていたエンビナーテから、ルイシュが引き継いで醸造した。エチケットのデザインはVTにより異なる。

    シンプルだが雑味なく澄み渡り、喜びの感覚をもたらしてくれる、素直で良い果実味が香りからも味わいからも感じられる。

    ¥5720