投稿者: amala

  • Immich-Batterieberg

    Immich-Batterieberg

    イミッヒ=バッテリーベルク

    ドイツ / モーゼル

    イミッヒ=バッテリーベルクの「イミッヒ」は、1425年から醸造所を切り盛りしてきたイミッヒ家に由来する。そして「バッテリーベルク」は、19世紀半ば、モーゼル川沿いの急斜面を爆破して、ブドウ畑を造成した際の轟音を、砲兵隊Batterieの砲撃に例えたことに因んでいる。そして2009年から、ザールのファン・フォルクセン醸造所で2003年まで醸造責任者だったゲルノート・コルマンが、経営と醸造を担っている。
    19ヘクタールのブドウ畑の大半が、1868年のプロイセン王国政府の格付け地図で、グラン・クリュに格付けされている。急峻なブドウ畑で、樹齢80年以上の自根の古木が多い。その収穫物であるブドウは、9世紀まで遡る醸造所の地下にある、玄武岩の柱が支える石造りのセラーで醸造される。亜硫酸以外の添加物を一切使わずに、野生酵母だけで発酵した、目の覚めるような味わいのリースリングである。

    ミッテルモーゼルについて

    ベルンカステラー・ドクトールやヴェーレナー・ゾンネンウーアなど、よく知られたブドウ畑が集中するミッテルモーゼルには青色と灰色の粘板岩土壌の急斜面が多い。あまりにも傾斜が急なため、伝統的な棒仕立てでしか栽培出来ない畑も少なくない。栽培は全て手作業で行わなければならないが、世界中探しても他にはない高貴な味わいのリースリングが出来る。所有面積3ha以下の小規模生産者が多い一方で、1990年代までは著名醸造所の有名な畑のワイン以外は手間に見合うだけの値段で売れず、耕作放棄された畑も多かった。しかし2000年頃から若者や異業種からの転職者がそうしたブドウ畑を入手し、素晴らしいワインを醸造して注目された。また、急斜面ではヘリコプターで農薬を散布するため、有機農法は他の生産者との衝突を招くことが多かったが、それでも一部に1970年代から信念を貫いて有機農法を行ってきた生産者もいる。近年はオレンジワインや亜硫酸無添加醸造に挑戦する生産者も登場して、閉鎖的で悲観的と揶揄されることのあった地域のメンタリティが変わりつつある。

    モーゼルについて

    モーゼル川はフランスのヴォージュ山脈に水源がある。ルクセンブルクを通過してドイツに入ると、それまで比較的まっすぐ流れていたのが蛇行をくりかえすようになり、やがてライン川に合流して旅路を終える。ドイツのブドウ畑はルクセンブルクとの国境から始まるが、ザール川との合流地点までの地区を「オーバーモーゼルObermosel」、そこからシュヴァルツカッツ(黒猫)で知られるツェルの手前までを「ミッテルモーゼルMittelmosel」、ツェルから河口までを「ウンターモーゼルUntermosel」と称するが、この下流域は極めて急な斜面に段々畑のようにブドウ畑があることから「テラッセンモーゼルTerassenmosel」(テラス状の畑があるモーゼル)とも称する。そしてザール川やルーヴァー川など、モーゼル川支流の渓谷にも優れたブドウ畑があることを忘れてはならない。この生産地域全体を特徴づけているのは、約4億年前のデヴォン紀に生成した粘板岩(英語:Slate、ドイツ語:Schiefer)土壌の急斜面のブドウ畑で栽培されるリースリングである。冷涼な気候による気品のある酸味と甘味のバランス、ブドウ畑や生産者により異なる様々な風味が魅力となっている。

    ドイツについて

    ヨーロッパの伝統的ワイン生産国の中でも最も北に位置し、冷涼な気候による酸味と甘味のイメージが支配的だった。近年は温暖化の恩恵を受けてフランス系品種も毎年完熟し、若手醸造家を担い手とした辛口ワインの高品質化がめざましい。ブドウ畑は旧東独の2生産地域を除いてフランス寄りの南西部に位置し、大半がライン川とその支流に広がっている。東部に位置する産地は大陸性気候の影響で夏は暑さと乾燥が、冬は寒さが厳しいが、南西部では海洋性気候の影響を受けて春から秋に雨が降るため、水はけの良い土壌や斜面が高品質なブドウ栽培の条件のひとつとなっている。主要な土壌は約4億年前に生成した粘板岩と、それから約2億年後に生成した雑色砂岩、貝殻石灰質、コイパーから成る三畳紀のトリアスである。前者は北西寄りのラインガウからアールにかけて分布し、リースリングとピノ・ノワール(=シュペートブルグンダー)に独特の個性を与えている。後者は南部のバーデンから東部のフランケンにかけて分布し、ピノ(=ブルグンダー)系の品種とジルヴァーナーやリースリングに優れたものが多い。

    Detonation bubbles – Riesling Sekt Extra Brut
    デトナチオン・バブルス リースリング・ゼクト・エクストラ・ブリュット

    品種:リースリング100% 
    位置:標高280m、南西向き、斜度約 40度
    土壌:灰色・赤色の粘板岩 
    醸造 ベースワインはステンレスタンクで 7ヵ月間発酵 約2年3ヵ月間瓶内熟成 瓶内二次発酵、ドサージュなし

    シュテッフェンスベルクの新たに入手した区画(標高の高い場所にあり、樹齢はやや若く25歳前後)のリースリングを使用。

    Jour Fixe – Spätburgunder Rosé Brut Nature
    ジュール・フィクス シュペートブルグンダー・ロゼ・ブリュット・ナチュール

    品種:シュペートブルグンダー100%
    植樹:1990~2005年
    位置:南~南西向き
    土壌:灰色・赤色の粘板岩 
    醸造 全房圧搾後、ステンレスタンクで野生 酵母により発酵 ステンレスタンクで11ヵ月間シュールリー熟成後、瓶内で2年間熟成 瓶内二次発酵

    ドザージュなしの、ロゼ・スパークリ ングワイン。 ブドウは、90%ブリーデラー・ヘル ツヒェン、10%モンテノイベルの畑 から収穫される。

    CAI – Riesling Kabinett trocken 2022
    シー・エー・アイ リースリング・カビネット・トロッケン

    品種:リースリング100%
    植樹:1960~1995年
    位置:標高130~300m 南西・南・南東向きの斜面
    土壌:灰色・赤色・青色のデヴォン紀 粘板岩
    醸造 マセレーションは数時間程度 ステンレスタンクで野生酵母により発酵、澱引きせずに9ヵ月間シュールリー熟成 瓶詰直前まで亜硫酸塩は添加しない 発酵温度の調整もしない。

    CAIは、バッテリーベルクの畑を造成 した当時の醸造所オーナー、カール・ アウグスト・イミッヒに因む。エント リーレベルのワインとはいえ、ゲル ノートの持ち味である、肌理の細かいテクスチャーや味わい深さは十分に感 じ取ることが出来る。 原料となるブドウは大半が契約栽培農家のブドウ。8軒の栽培農家から毎年同じ畑のブドウを納入してもらっているが、2030年までにすべて自社畑の ブドウにすることを目指している。
    ¥3520

    Detonation Riesling 2022
    デトナチオン・リースリング

    品種:リースリング100% 
    植樹:1960~1995年 
    位置:標高130~300m 南西・南・南東向きの斜面 
    土壌:灰色・赤色・青色のデヴォン紀 粘 
    醸造 マセレーションは数時間程度ステンレスタンクで野生酵母で発酵し、澱引きせずに9ヵ月間シュール リー熟成。瓶詰直前まで亜硫酸塩は添加しない。発酵温度の調整もしない。

    当初エントリーレヴェルはCAIしか 造っていなかったが、タンクの中には ブレンドしてしまうのがもったいない 品質を感じるものがあり、2016VTから別にリリースすることにした。シーフードが好きなので、それにあうよ う、CAIよりもストレートでキレのあ る、より精緻で塩気を感じるワインが できるブドウ畑を選んだという。 ブドウの60%は自社畑で、ブリーデ ル村の畑の収穫が多い。30%はイ ミッヒの栽培家が所有するブドウ畑のもので、10%はドーロナー・ホーフ ベルクの自根の古木のもの。すべて 40年以上のブドウ樹のみ。

    リースリングらしい爽やかでフレッシュな果実味もあるが、塩味を伴うまっすぐな酸が全体を引き締めていてくっきりとした印象のリースリング。ブドウの60%は自社畑で、ブリーデル村の畑からの収穫が多い。30%はイミッヒの栽培家が所有するブドウ畑のもので、10%はドーロナー・ホーフベルクの自根の古木のもの。すべて40年以上のブドウ樹のみ。瓶詰直前まで亜硫酸塩は添加しない。シーフードと合うようにCAIと分けて作られているキュヴェだが、鶏肉や豚肉などの白身肉などとも良いのでは。
    ¥4180

    Briedeler Herzchen Riesling
    ブリーデラー・ヘルツヒェン・リースリング

    品種:リースリング100%
    植樹:1978~1984年
    位置:標高280m(ブリーデルの村は130m)南西向き、斜度約40度
    土壌:灰色・赤色の粘板岩
    醸造:約12~18時間マセレーションしてから圧搾し、約3時間静置して夾雑物を沈殿させ、濁りのある状態で木樽に移す。容量225~300Lの古い木樽で発酵後、約11ヵ月間澱引きせずに亜硫酸塩無添加で熟成

    2019VTが初リリース。Herzchenは「小さなハート」の意味。ブリーデルはモーゼル川沿いに14km下流の村で、シュヴァルツカッツで有名なツェルに近い。

    デトナチオンが辛口、塩味もありパリッとした直線的なワインだとすれば、こちらはよりやわらかさがあり、しなやかな線を感じるようなワイン。華やかで清涼感を感じる果実味がきれいに感じられる。モーゼル、ブリーデル村の「小さなハート」という意味の区画、「ヘルツヒェン」のぶどうから造られるキュヴェ。きのこを使ったホワイトソース、栗やサツマイモ、シュニッツェルなどととも相性が良さそう。
    ¥5390

    ROB – Spätburgunder Rosé
    アール・オー・ビー シュペートブルグンダー・ロゼ

    品種:シュペートブルグンダー100% 
    植樹:1990~2005年 
    位置:南~南西向き 
    土壌:灰色・赤色の粘板岩 
    醸造 収穫後すぐに圧搾、ステンレスタンクで野生酵母により発酵 11ヵ月間シュールリー。

    モーゼルの急斜面に植わるシュペート ブルグンダーの、ほんのりと薄いロゼワイン。柑橘系の明るい果実味に、タイムなどのハーブの香り。洗練されたスタイルだが、気軽に楽しめるトーンの味わい。ROBの意味は「Rose from Batterieberg」で、CAI と並ぶ位置づけ。ブドウは、10%モンテノイベ ル、40%ドーロナー・ホーフベル ク、50%ブリーデラー・ヘルツヒェンの畑から収穫される。

    Enkircher Monteneubel Spätburgunder 2017
    エンキルヒャー・モンテノイベル・シュペートブルグンダー

    品種:シュペートブルグンダー100%
    植樹:1998年
    土壌:赤色粘板岩
    醸造:果梗100%で、合成樹脂のコンテナでピジャージュしながら1ヵ月間マセレーション。容量225~300Lの木樽で2年間熟成。

    「モンテノイベル」という畑名で栽培されているシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)。2年間の樽熟成により、余計な果実味やタンニンを落ち着かせた、端正なピノ・ノワール。2011VTはラベルデザインが異なり、白いエチケットでのリリース。
    ¥6820

  • Parlange & Illouz

    Parlange & Illouz

    パルランジュ・エ・イルーズ

    フランス / シュッド・ウエスト

    ポール・パルランジュとジェレミ・イルーズにより2008年に立ち上げられたワイナリーで、ネゴシアンワイナリーとしてのスタートだったが、2011年から6haの自社畑からワイン生産をしている。マルベックを中心に、土着品種のジュランソン・ノワールやヴァルディギエ古樹も栽培しており、自然が豊かな環境のカオールの地で羊を使った畑管理など、土地との調和を重視。近年は気候変動に合わせた品種選択を行い、実験的にサンソーやウニ・ブラン、シャルドネなども植樹。2016年に新設されたセラーは、半地下でエアコンに頼らない温度管理が可能赤ワインは全房醗酵し、出荷されるワインの8割以上が無添加で瓶詰めされている。ジェレミーのワインは著名な生産地でもなく、クラシックワイン的観点からもナチュラルワイン的観点からも派手さがあるわけではないのだが、実直な栽培と醸造が感じられる、芯の通ったワインだ。

    カオールについて

    古くから通称「黒ワイン」と呼ばれる、濃厚なワインの産地として知られるエリア。ボルドーからほぼ真東に150kmほど離れた内陸部にあり、夏はより乾燥し暖かい。それゆえ産するワインは、ボルドーの典型的な赤よりはテクスチュアが幾らか粗いが、豊かで活気がある。カオールの名声は12世紀には既に高く、当時からイギリスに大量に輸出され、ボルドーと競合するほどの人気を博していた。また、歴代フランス国王にも愛され、ルネサンス文化を推奨したフランソワⅠ世は、パリ近郊のフォンテーヌブロー宮殿でカオールのブドウ品種を栽培させた。AOCカオールはマルベック70%以上。補助品種はメルロとタナのみ。ジュランソン・ノワールは1996年以降、AOCワインには使用不可となる。マルベックはこの地方名で、コットと呼ばれることが多い。

    シュッド・ウエストについて

    フランス南西部。ボルドーのジロンド河の上流となるガロンヌ河沿岸から、大西洋岸のフレンチ・バスク地方、ピレネー山脈、ガスコーニュ地方、トゥールーズ近辺まで。広大な範囲にブドウ畑が点在する地域。温暖多雨なバスク地方から、少雨で乾燥した内陸部まで、テロワールは多岐に渡る。主なAOCは、ボルドーのすぐ東のベルジュラック、ガロンヌ河の支流となるロット河支流に広がるカオール。ユニークな固有品種モーザックやデュラスなどが活躍する、AOCガイヤック。固有品種フェール・セルヴァドゥーで注目される、AOCマルシヤック。強壮さで知られる、AOCマディラン。クリスピーなクールビュ品種が活躍するAOCイルレギーなど。ジャンシス・ロビンソンは、ピレネー山脈の急斜面で生まれる風味の強い白、ジュランソンを「フランスで最も際立った白のひとつ」とし、マルシヤックのフェール・セルヴァドゥーを、「胡椒のような風味を持ち、背筋がゾクゾクするほどこたえられない品種」と高く評価している。

    VdF – Blanc 2021
    ブラン

    品種:ユニ・ブラン100%
    植樹:2018年
    位置:南向き
    土壌:粘土石灰質
    醸造:ステンレスタンクで5日間マセレーション。ステンレスタンクで6ヵ月間熟成。ノンフィルタ―。

    2010年代、遅霜が頻発したことから、実験的に植えたユニ・ブラン。萌芽が他の品種に比べて遅いので、遅霜を回避できると期待して植えた。初年度の2021年VTは極度に冷涼な年であったこともあり、アルコール度数10%のワインが出来た。
    ¥4510

    VdF – La Pièce 
    ラ・ピエス

    品種:マルベック100%
    植樹:1980年~1990年ごろ
    位置:海抜300m
    土壌:粘土石灰質
    醸造:7~15日間全房マセレーション。ステンレスタンクでマロラクティック発酵。ステンレスタンクと一部木製樽で10ヵ月間熟成。

    全房でマセレーション期間も長くない、フレッシュなスタイルのマルベック。気候が暖かくなってからは青さを感じること少なく、精細なテクスチャーが魅力のデイリー赤ワイン。

  • Clos Présent

    Clos Présent

    クロ・プレザン

    フランス / ラングドック=ルシヨン

    パリにて幼少期を過ごしたソフィーは、ブルターニュ地方、レンヌにて生物学学士を取得。ワインの道ではなく、生物により興味があり乗馬の指導員として、そして馬へのエチオパシー(フランス式整体術)の免許の取得を目指していたが、1998年にひどい落馬事故に遭い、馬に関わる仕事を諦めざるを得なかった。その後、営業職として働いていたが、自然と触れ合い屋外で労働をしたいという思いは常にあった。長年持ち続けていたワインへの情熱も重なり、ヴィニュロンヌを目指すことを決心する。
    2019年からロワール地方のアンボワーズ1年間通い、コンプレモンテールなどでも研修を行った。同年にコルビエールでの収穫に参加した際、この土地に惚れ込んでしまい、年末には移住を決意。「50歳からのワインへの挑戦さ!」と意気込む彼女の言葉は力強く、一年を通じて3.45haの畑をほぼ一人で作業している。
    ビオロジック栽培でトラクターをいれず手作業で畑を管理しているため、畑の耕作はしていない。「私は長期のマセレーションが好きなので、ヴィエイユ・ヴィーニュにおいては葡萄が持つすべての複雑さを引き出す為に、最低でも4週間行います。長期熟成も可能なワインが出来ると考えており、シスト土壌と多くのミネラル豊富なこのテロワールを見つけられて幸せです。私の仕事はこの豊さを尊重する事にあります。」と話す。彼女のワインは丁寧な醸造を感じさせる滑らかなタンニン、シスト土壌由来の清涼感を持ち合わせている。

    ラングドックについて

    ローヌ的な色合いを持つ東部から、西部のより高地の畑にいくにつれ、ワインの構造がボルドーに近づく。西部ラングドックの主要AOCは、都会的で洗練されたミネルヴォア、山と谷が入り乱れる丘陵が野性味強く濃厚でタフなワインを生むコルビエール、良質な発泡酒を生むリムーなど。また東部では、標高600mを越える山岳地帯にラングドックの際立った名声の一角を築いたサン・シニアン、それ以上の標高の地もありほぼ全域に片岩を含む痩せた土地のフォージェールなど。膨大な生産量のうち80%が赤で、中心はカリニャン。近年はグルナッシュ、サンソー、シラーが増えつつある。白ワインも洗練の度を高めつつあり、グルナッシュ・ブラン、クレレット、ルーサンヌ、ピクプールなどの興味深いブレンドがある。これらのAOCとブドウ品種を使いこなす生産者は、当地が新世界との品質競争の場でもかなりの勝負ができる、また南フランスのエッセンスとも言うべきテロワールを反映した本格ワインを産出しうることも証明した。

    ラングドック=ルシヨンについて

    ローヌ河の河口近くから、スペイン国境・ピレネー山麓にまで。地中海沿いに広がる、フランス最大の面積を持つワイン産地。モンペリエ周辺からナルボンヌ、リムーにまで、東西150km以上に渡って続くラングドック地方と、最南西端でピレネー山脈に接し、カタルーニャ地方の一部とも考えられているルシヨン地方から成る。ワイン生産の歴史は6世紀にまで遡る。20世紀後半までは「歯磨き用」とさえ揶揄された低価格ワインを大量に生んだが、1980年代から品質重視への変革が進行し、脚光を浴びている。ルシオンは伝統的には甘口ワインのヴァン・ドゥー・ナチュレル(VDN)も有名で、全仏のVDNの約90%がこの地産。中でもリヴザルト、および「フランス最良のVDN」とジャンシス・ロビンソンが言うヴァニュルスがその代表格。近年は、ルシオン辛口ワインの開拓者とも言えるジェラール・ゴビーの成功に続けとばかりに、世界中からワイン造りに夢を抱く若者の移住や入植が増加している。

    VdF – Paradisia 2022
    パラディジア

    品種:カリニャン、サンソー
    植樹:1960年
    位置:標高150m、南~南東向き
    土壌:シスト
    醸造:マセレーションなし。ステンレスタンクで醗酵。ステンレスタンクで半年熟成。

    造り手のソフィーにとっての、楽園(=Paradise)である、コルビエール地域ヘのオマージュ。サンソーは高い酸を残すために、アルコール度数12度前後のタイミングで収穫し、カリニャンも赤ワイン醸造よりも早めに収穫する。
    ¥4620

  • Alain Renardat-Fache

    Alain Renardat-Fache

    アラン・ルナルダ=ファッシュ

    フランス / サヴォワ

    ビュジェ・セルドン、すなわちガメとプルサールによる、サヴォワ地方の伝統的ロゼ・スパークリングの名手。通常、40g/L前後糖分を残した、ほのかな甘口となる。現当主、エリー・ルナルダ=ファッシュは、この地方で8世代続くドメーヌを継承。それ以前に1996年、ボーヌの醸造学校を修了し、ブルゴーニュとアルザスで研修。2008年からは所有する約12.8haの畑全てをビオロジックに転換し、エコセールの認証も得た。粘土石灰質豊富な畑には、樹齢50年前後の古木も多数現存。「可能な限り介入しない醸造」を標榜し、補糖や酵母添加は無縁。発泡は、発酵途中で残糖ある果汁を王冠で瓶に密閉するメトード・アンセストラル方式。澱引きも、瓶から瓶へワインを静かに移す方法をとる。亜硫酸総添加量もわずか30~50mg/L。そうして生まれる細やかでクリーミーな泡立ちと、フランボワーズの香り、優しい甘みを引き締める整った酸は6~8℃の温度帯で最も心地よく花開く。

    サヴォワについて

    スイス、イタリアと国境を接し、ヨーロッパ最高峰のモン・ブラン(標高4,810m)を擁する、オート・サヴォワ県の周辺に広がる産地。ワインは約7割近くが白である。特徴的なのは石灰岩土壌と豊富な固有品種。収量を制限すればスパイシーな赤ワインとなるモンドゥーズ、エトゥレール(Étraire)、白ブドウのアルテス(=ルーセット)、ジャケール、グランジェ(Gringet)などがその個性を開花させる。特にアルテス(「殿下」という意味に、地元のこのブドウへの敬意がにじむ)は、ジャンシス・ロビンソン曰く「エキゾチックな香りと、十分な酸を持ち長熟に耐える、(中略)この地方で最もエキサイティングな白ワインを生む」品種。また、このブドウは、キプロス原産でローヌのルーサンヌと同一であるという学説もあり、未だ論争が続いている。シャルドネ、ガメイ、ピノ・ノワールもトップ生産者の手にかかると目覚ましい表現力を発揮、見逃せない。

    Bugey Cerdon methode ancestrale NV (Alain)
    ビュジェ・セルドン メトード・アンセストラル

    品種:ガメ主体、プールサール
    植樹:1995年
    位置:南向き
    土壌:粘土石灰質
    醸造:ステンレスタンクで発酵。木樽(228L)で9ヵ月間熟成。

    ビュジェ・セルドンは収穫をしてその年のうちには瓶詰めをし、寒い冬を越すとともに、出来上がるワイン。爽やかな甘みと酸味、鮮やかなピンクの色合いが優しく春を告げる。
    ¥4290

  • Domaine de la Montagnette

    Domaine de la Montagnette

    ドメーヌ・ド・ラ・モンタニェット

    フランス / ローヌ

    ドメーヌ・ド・ラ・モンタニェットはエステザルグ協同組合を構成する生産者の一つ。協同組合でありながら、ブドウ農家ごとに、つまりそれぞれの農家の持つ畑のテロワールごとにワインを生産しブランディングしていくということが、この協同組合の画期的なところだ。エステザルグ協同組合のワインは全くの日常的な価格にもかかわらず、彼らのワインの目覚ましい味わいは、1980年代と90年代のヴァン・ナチュールの黎明期に飲み手の嗜好を問わず多くの人の心をつかみ、現在でもパリやフランス全土で広く親しまれている。1965年に創業された協同組合は約10軒のブドウ栽培農家たちから構成されており、そのほとんどがバイオロジック栽培認証を取得、一部栽培家はリュット・レゾネでの畑の管理をしている。除草剤や殺虫剤は使用していない。協同組合としては小さいと言っても、総栽培面積550ha、年産平均160万本という規模で、1990年代から自然酵母醗酵、醸造中の添加物なし、清澄剤不使用、無濾過、亜硫酸の添加は瓶詰前のみというワイン造りを敢行。現在の醸造長ドゥニ・ドゥシャンは、2000年頃にエステザルグ協同組合の醸造長となり、先代に確立された醸造手法を継続している。それどころか、気候の変動により降雨量減少や猛暑日の記録が塗り替えられていく中リリースされるワインは、毎年のように磨きがかかっている。

    Côtes du Rhône Villages Signargues 2023
    コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュ・シニャルグ

    品種:シラー53%、グルナッシュ47%
    植樹:1965年~1995年
    位置:標高150m、南寄りの台地
    土壌:ビラフランカ階、玉砂利、砂質粘土
    醸造:30日間のマセレーション。セメントタンク、ステンレスタンクで8~10ヶ月の熟成。

    小さな山(=モンタニェット)というドメーヌ名どおり、15haの畑は標高に恵まれ、砂利の多い砂質粘土。樹齢50年前後の古木も多数残っており、グルナッシュ、シラーの他ムールヴェードルにも注力する。ワインは凝縮感がありながらも柔らかく、エキス感が強くも優しい口当たり。手頃な価格を上まわる品質は、フランス国内でも高く評価される。
    ¥2640