投稿者: amala

  • Luis Lopes

    Luis Lopes

    ルイシュ・ロペシュ

    ポルトガル / バイラーダ

    醸造家ルイシュ・ロペシュはポルトガルで醸造学を修めたのち、ブルゴーニュ、ニュージーランド、ドイツで醸造家として働き、2006年にポルトガルへ帰国しました。帰国後はダォン地方のキンタ・ダ・ペラーダで醸造責任者として働き(2006~2017年)、アントニオ・マデイラ氏の元でも醸造コンサルタントとして勤務している。
    ルイシュは伝統と先進技術の共存するブルゴーニュや、世界のワイン市場でクオリティーワインとして認知の広がるニューワールドでも醸造経験を積んだ。クラシック/モダン/ナチュラルなどワインのスタイルによらず、こよなくワインを愛するルイシュだが、フランスにいた頃の忘れられない経験の一つはピエール・オヴェルノワとのディスカッションだった。醸造中の亜硫酸の是非について、とことんまで質問を投げかけたという。
    2022年現在、ダン地方のアントニオ・マデイラ氏の元で醸造コンサルタントとして働きつつ、買いブドウで、自身のワイン造りをしている。友人のワイナリーを間借りして、コンサルタント業の合間を縫ってのワイン造りなので、初VTから2021年VTまでの毎年の生産量は1000本以下。そんな彼の2013年のワインを、2019年にパリのポルトガルワインバーでラシーヌの開発ティームが飲み、彼にメッセージを送ったことから、ルイシュとのやり取りが始まったのだが、彼にとってはあまりにも思いがけず、嬉しいことだったそうで、彼自身の生産が本格的に始まるまでは、ほとんどの生産ワインを日本に向けて出す、とまで言ってくれた。
    人柄もさることながら、醸造センスとワインへの見識の深さから、他の生産者からも「彼はナショナルスターだ」と高く評価されていて、これからのポルトガルワインシーンにおいて重要人物になることは、間違いない。

    Moreish Tinto 2021
    モーリッシュ・ティント

    品種:カシュテラォン・ナシオナル80%、トリンカデイラ・プレタ20%

    よく抽出され内容豊富な果汁の味わい、テクスチュアも自然に口に溶け込むようなやわらかさ。赤系果実と乳系の印象も少し感じられた。

    Moreish Branco
    モーリッシュ・ブランコ

    品種:ビカル、マリア・ゴメシュ
    植樹:1980年代
    位置:東・西向き斜面
    土壌:粘土質、石灰質
    醸造:ステンレスタンクで約3週間醗酵、マセレーションはしない。ステンレスタンクで約8ヵ月間熟成。

    モーリッシュとは英語でMore+ish、「つぎつぎと杯が進む、もっとほしくなる」といった意味。本人は自分のワインをglou glou(仏語で“ごくごく”と喉の鳴る音)なワインだというが、上品な果実味と、白い花、アーモンドの余韻が長く続く、品位を感じるワイン。
    ペリクラール(マリア・ゴメシュ)を単一醸造する年は、ビカルのみで醸造、そのほかの年はビカルとマリア・ゴメシュをブレンドしてリリースされる。

    芯のある果実味と、自然な果汁の甘さに伴う旨味・酸・ミネラリティ―が一体となって弾けるような快さあり(2021)。

    Moreish Común 2019
    モーリッシュ・コムン

    品種:ガルナッチャ・コムン
    植樹:2016年~2017年
    土壌:粘土質、石灰質
    醸造:コンクリートタンクで醗酵。600Lのフレンチオーク樽で熟成。

    ルイシュがスペイン・エストレマドゥーラ州で手掛けるプロジェクト。ボデガス・パラシオ・ケマードの所有する畑に新しく植えたガルナッチャ・コムンでの醸造。以前このプロジェクトを担っていたエンビナーテから、ルイシュが引き継いで醸造した。エチケットのデザインはVTにより異なる。

    シンプルだが雑味なく澄み渡り、喜びの感覚をもたらしてくれる、素直で良い果実味が香りからも味わいからも感じられる。

    ¥5720

  • João Costa

    João Costa

    ジョアォン・コシュタ

    ポルトガル / ダォン

    ダォン生まれのジョアォン・コシュタは、家族と共に農業に従事しながら成長し、2011年にコインブラ農業学校(ESA)で有機農業を学ぶ。イタリアのアルバでのインターンシップを経てワインへの情熱を深め、リスボンの農業高等研究所でブドウ栽培と醸造学の修士課程に進んだ。スイスのヨハニターケラー、ポルトガルのフムス・ワインズ、キンタ・ダ・セッラディーニャなどでの経験を経て、人為的介入を最小限に抑え、テロワールを純粋に表現したワインに対する感性を磨いた。現在はドミニオ・ド・アソールでもワイン造りに情熱を注いでいる。プロジェクトの名前『ベイオルテ(BEIORTE)』は、かつてこの村で話され、今も特に老人によって使われている方言(アルギナ=arguina)で「ワイン」を意味する言葉。高齢化が進みブドウ栽培と醸造を続けることが困難になるケースが増えている中で、放棄されつつあった古いブドウ畑を引き受けて、古代から受け継がれてきたブドウ樹の遺伝的遺産を保存し、次世代に渡すことを目指している。

    ポルトガルについて

    ポルトガルは大西洋、山脈や河川により地理的に隣国スペインから隔てられ、1986年にEUに加盟するまでは政治的にも孤立していた。そのため長い間イギリス向きに出荷されてきた、ポートワインやマデイラ酒を除くと、ポルトガルワインへの関心は市場でも高いとは言えなかった。しかしそれゆえ隠れたブドウ栽培地域や地品種の古樹が数多く残り、それらの要素への関心が世界的に高まる中で、2010年代頃からダイナミックな変化が起こっている。  

    ポルトガルが広くない国土にもかかわらず、多様な地形と土壌、ワイン文化を持つことは、ポートワインとヴィーニョ・ヴェルデという性質が相反するまったく別種のワインが、しかも隣接する地域から生産されることからも、良くわかる。それらの下地と、海外などで経験を積んだ若い造り手たちの熱意が、現在のポルトガルワインの原動力となっていると言えるだろう。  とかく情報過多に陥りがちな現在、ポルトガルには魚介類を使った素朴な料理が多く、その料理と合わせて飲まれてきたポルトガルワインは、一般に気取った味わいを感じさせないので、難しく考えずに飲んでいただきたい。

    Beiorte – Alfrocheiro 2020
    ベイオルテ アルフロシェイロ

    品種:アルフロシェイロ100%
    植樹:1990年
    位置:標高530m、東向き
    土壌:砂と石英混じりの花崗岩
    醸造:除梗し10日間マセレーションをした後プレス。ラガール(開放発酵槽)で野生酵母とともに醗酵、温度コントロールはしないステンレスタンクで20ヵ月間熟成。
    隣村の栽培家からの買いブドウで醸造。エチケットはダォンの村で見られる花崗岩が積みあがった壁の写真。前に立つ年配の女性が、困難に直面しながらも勇気と決意を強くもって歩き続ける様子は、この村の遺産を引き継いでいくジョアォンの意志と野心の表れでもある。
    サンタ・オヴァイア以外で栽培されたブドウで造るワインにはこのエチケットが使われる。

    抽出感がしっかりとあり、栄養感を感じる自然な果汁の味わいが広がる。果実だけでなく大地の滋味ある香りと、若干後味にスパイシーな感じがある。

    ¥4400

    Beiorte – Cidade Tinto 2020
    ベイオルテ シダーデ・ティント

    品種:ティンタ・ピニェイラ、トリンカデイラ、バガ、アルフロシェイロ、トゥリガ・ナシオナル、ジャエン他

    若干後味に豆っぽい印象がうっすらと感じられないこともないが、あくまでも自然で滋味に溢れた味わいと優しいテクスチュア、個性を感じる味わいのなかの一部であり、(抜栓当日は)よく全体の味わいとしてまとまっている印象。

  • António Madeira

    António Madeira

    アントニオ・マデイラ

    ポルトガル / ダォン

    アントニオはパリ生まれのパリ育ち。大手企業でエンジニアとして働いていた時ワインにのめり込み、休暇のたびに訪れていた、両親の故郷ダォンの伝統とポテンシャルを再認識。2010年、耕作放棄されて荒れ放題となっていた樹齢約50年のブドウ樹が育つ畑に出会い、醸造家となることを決意。2017年にパリの家を売り払い、妻子とともにダォンに移り住んだ。バイオダイナミック農法を採用し、現在は6つの村に広がる8haの畑で、50種以上の土着品種を栽培している。2018年から新しい醸造施設に移転。極力介入しない醸造方法で醸造。エストレーラ山脈の自然が脳裏に蘇るようなワインを目指している。

    ポルトガルについて

    ポルトガルは大西洋、山脈や河川により地理的に隣国スペインから隔てられ、1986年にEUに加盟するまでは政治的にも孤立していた。そのため長い間イギリス向きに出荷されてきた、ポートワインやマデイラ酒を除くと、ポルトガルワインへの関心は市場でも高いとは言えなかった。しかしそれゆえ隠れたブドウ栽培地域や地品種の古樹が数多く残り、それらの要素への関心が世界的に高まる中で、2010年代頃からダイナミックな変化が起こっている。  ポルトガルが広くない国土にもかかわらず、多様な地形と土壌、ワイン文化を持つことは、ポートワインとヴィーニョ・ヴェルデという性質が相反するまったく別種のワインが、しかも隣接する地域から生産されることからも、良くわかる。それらの下地と、海外などで経験を積んだ若い造り手たちの熱意が、現在のポルトガルワインの原動力となっていると言えるだろう。

    とかく情報過多に陥りがちな現在、ポルトガルには魚介類を使った素朴な料理が多く、その料理と合わせて飲まれてきたポルトガルワインは、一般に気取った味わいを感じさせないので、難しく考えずに飲んでいただきたい。

    Dão – Vinhas Velhas Branco
    ダォン ヴィニャシュ・ヴェーリャシュ・ブランコ

    品種:シリア、フェルナォン・ピレシュ、ビカル、エンクルザード、セルシアル、アリント、マルヴァジア・フィナ他
    植樹:1890~1970年
    位置:標高500~700m、様々な方角
    土壌:花崗岩
    醸造:マセレーション4時間。500/600Lの木樽とステンレスタンクで野生酵母とともに醗酵。一部を古樽、一部をステンレスタンクで1年間熟成。その後、全量ステンレスタンクに移し、さらに1年間熟成。
    使用される土着品種は約20種類で、すべて赤品種と混植されている。

    石灰を思わせる、より硬質で持続する酸や旨味あり、よりポテンシャルの高さを伺わせる。
    ¥6820 (2021)

    Dão – A Liberdade Tinto 2022
    ダォン ア・リベルダーデ・ティント

    品種:トゥリガ・ナシオナル70%、その他土着品種30%
    植樹:1990年、1960年
    位置:500m、西向き
    土壌:花崗岩
    醸造:マセレーション15日間。ラガール(開放発酵槽)で醗酵。ステンレスタンクで9ヵ月間熟成。
    亜硫酸を添加していないキュヴェ。
    ¥5500

    Dão – Tinto
    ダォン ティント

    品種:アルフロシェイロ、バガ、ジャエン主体、20種以上の土着品種
    植樹:1940~2000年
    位置:標高500m、様々な方角
    土壌:花崗岩
    醸造:マセレーション15日間ラガール(開放発酵槽)とステンレスタンクで醗酵古樽(フレンチオーク)で15ヵ月間熟成。

    地元の小規模栽培家が育てたブドウを購入し醸造したベーシックキュヴェ。

    ¥3960

    Dão – Branco 2022
    ダォン ブランコ

    品種:エンクルザード、ビカル主体、その他18種類ほどの土着品種
    植樹:1995年/80%が若木(品種別に栽培)、20%が古木(混植)
    位置:標高500m、方角は様々土壌:花崗岩
    醸造:ブドウは早朝に収穫し、除梗してから圧搾、果皮と果汁は3~4時間炭酸ガスで酸化を防ぎながら圧搾タンクの中でマセレーション圧搾された果汁をステンレスタンクに移し24時間静置その後ステンレスタンク(70%)と古樽(30%)に移して発酵後、14ヵ月間熟成。

    除草剤を使わない小規模農家から購入したブドウで醸造。2022年は非常に乾燥した年で、発酵が難しく、発酵を終わらせるために果皮浸漬を行い、酵母の養分となる窒素を果皮から抽出した。 淡い黄色の色調、透明感があり、ハーブやスパイス、穀物を思わせる表情豊かな香り。塩味を損なわないために、ろ過や清澄は一切行っていない。

    果実味の率直さと甘やかさ、全体としての味わいの統一・充実感もある。価格以上の味わいの質。

    ¥4290

  • Arribas Wine Company

    Arribas Wine Company

    アリバシュ・ワイン・カンパニー

    ポルトガル / トラズ・ウズ・モンティシュ

    ポルトガル北東部、スペイン国境に近いベンポシュタ村に、フレデリコとリカルドの二人組が設立。両人とも旧世界、新世界を問わず多くの地域でワイン醸造を経験するのと同時進行で、情熱を注ぎこむ地を探していた。リカルドはトラズ・ウズ・モンティシュの出身で、そしてフレデリコの祖父母も同地域のベンポシュタ村の出身で、2人にとってゆかりの地ではあるのだが、村周辺に広がる畑の写真を見た瞬間に、そのファインワイン生産をする上でのポテンシャルを2人は見抜いていた。
    2017年初醸造のワインは「サロト」と名付けた。それは「しっぽを切り落とされた動物を意味する現地での呼び名」であるが、トカゲは再生能力の象徴でもあり、そのポテンシャルを認識されぬまま、消え去りそうなベンポシュタのワイン文化を復興させるのだという意志が込められている。現在所有している2haの畑は全て赤品種と白品種が混植されており、赤ワインにも30%ほど白品種が混醸される。

    トラズ・ウズ・モンティシュについて

    「山の後ろ側」を意味するトラズ・ウズ・モンティシュ地域は、ポルトガル最北東の地域だ。西隣の、海岸線を有するヴィーニョ・ヴェルデとは異なり、全域が山岳地帯であり北部と東部でスペインと接している。ブドウ畑の多くは標高500m~700mに分布し土壌は主に花崗岩土壌に片岩の土壌が点々と存在し、大陸性気候のスペインと同様、「九ヶ月の冬、三ヶ月の地獄」と呼ばれるほど寒さの厳しい地域。夏でも夜間の温度が顕著に下がるため、出来上がるワインのアルコールは総じて低い。 地球温暖化以前はもっと寒さの厳しい地域だったことだろう。土地も痩せているので収量が低く、高地の山がちな土地でアクセスも悪いため、決して優良産地としてみなされてきたわけではないが、ブドウは歴史的にも確かに栽培されており、耕作放棄された高樹齢のブドウ樹が、単一品種の畑ではなく、混植されていた頃のまま残っている。品種は主に、ティンタ・ゴルダ、バシュタルド、セラーナ、ヴェルデーリョ・ヴェルメーリョなどの赤品種。ヴェルデーリョ、マルヴァジア、ポシュト・ブランコ、バシュタルド・ブランコなどの白品種が栽培されている。

    ポルトガルについて

    ポルトガルは大西洋、山脈や河川により地理的に隣国スペインから隔てられ、1986年にEUに加盟するまでは政治的にも孤立していた。そのため長い間イギリス向きに出荷されてきた、ポートワインやマデイラ酒を除くと、ポルトガルワインへの関心は市場でも高いとは言えなかった。しかしそれゆえ隠れたブドウ栽培地域や地品種の古樹が数多く残り、それらの要素への関心が世界的に高まる中で、2010年代頃からダイナミックな変化が起こっている。  ポルトガルが広くない国土にもかかわらず、多様な地形と土壌、ワイン文化を持つことは、ポートワインとヴィーニョ・ヴェルデという性質が相反するまったく別種のワインが、しかも隣接する地域から生産されることからも、良くわかる。それらの下地と、海外などで経験を積んだ若い造り手たちの熱意が、現在のポルトガルワインの原動力となっていると言えるだろう。とかく情報過多に陥りがちな現在、ポルトガルには魚介類を使った素朴な料理が多く、その料理と合わせて飲まれてきたポルトガルワインは、一般に気取った味わいを感じさせないので、難しく考えずに飲んでいただきたい。

    Saroto White 2022
    サロト・ホワイト

    品種:複数の混植された白品種
    植樹:1950年代以前
    位置:標高600~650m(ベンポシュタBemposta)と600~700m(ウッロシュUrrós)
    土壌:珪岩、石英、片岩を含む、風化した花崗岩
    醸造:全房を足で潰して4日間マセレーション後、プラスチックの開放桶で発酵。フレンチオーク樽(新樽9%)で7ヵ月間熟成

    品種:ドンゼリーニョ・ブランコ、マルヴァジア、ヴェルデーリョ、コデガ、バシュタルド・ブランコ、フォルモーサ、ポシュト・ブランコなど。

    「サロト」とは現地で「しっぽを切り落とされた動物」という意味の言葉であるが、トカゲは再生能力の象徴でもあり、そのポテンシャルを認識されぬまま消え去りそうなベンポシュタのワイン文化を復興させたいという意志が込められている。

    ハーブや薬草のようなアロマティックな個性のある、ライトボディ、軽いタッチの白ワイン(2023)。

    ¥3630

    Saroto Red 2021
    サロト・レッド

    品種:古いブドウ畑の混植(地場品種、赤70%、白30%)
    植樹:1950年代以前
    位置:標高600~680m、南~南東向き
    土壌:珪岩、石英と少量の粘土を含む、風化した花崗岩
    醸造:伝統的な石の酒槽と開放桶の中で、全房を足で潰し、5日間マセレーション。その間足で踏んだり、手作業で果帽を沈める。フレンチオークとオーストリアオークの古樽で9ヵ月間熟成。

    赤品種はティンタ・ゴルダ、バシュタルド、ティンタ・セッラーナ、アルヴァレリャォン、ルフェテ、アルフロシェイロ、ヴェルデーリョ・ヴェルメーリョなど。
    白品種はマルヴァジア、ヴェルデーリョ、ポシュト・ブランコ、バシュタルド・ブランコ、フォルモーサなど。

    「サロト」とは現地で「しっぽを切り落とされた動物」という意味の言葉であるが、トカゲは再生能力の象徴でもあり、そのポテンシャルを認識されぬまま消え去りそうなベンポシュタのワイン文化を復興させたいという意志が込められている。

    イチゴや飴玉のような、若く即座に上昇しやすい香りの印象。味わいの表現として若くトーンの高い酸があるため、カジュアルに飲むには適している(2022)。

    ¥3630

  • Envinate

    Envinate

    エンビナーテ

    スペイン / カナリア諸島

    “エンビナーテ”はラウラ、ホセ、ロベルト、アルフォンソの4人組からなるワインメーカーグループである。大学の同窓で、2005年にワイン造りのコンサルタント業を始めたことが、エンビナーテの始まりである。“4つの頭、8つの目でいつも考えているのさ”と言う彼らは、お互いへの強い信頼で結ばれており、各地方の担当はあれど、可能な限り4人で畑に立ち、栽培、醸造方針を決めている。

    DOリベイラ・サクラ

    その聖なる(Sacra)河(Ribeira)と、河を見下ろす急斜面の景色には圧倒される。1996年にDO認定され、メンシアとそれと混植されるその他の地品種が多く栽培される。アルフォンソは、森林消防隊員であった頃に見た、ヘリコプターの上から見た景色に、心を奪われた。“このテラスはエジプトのピラミッドのようなものだ。今造ろうと思ってもとても、できるものではない。信仰と気の遠くなる時間をかけて人がつくったもの”だとアルフォンソはその景色を評する。近年この地域のワインは、伸びやかな味わいのワイン造りで国際的評価も得ているが、その中でもエンビナーテはひときわ異彩を放っている。

    DOアルマンサ

    カスティーヤ・ラ・マンチャの南東の端のDOアルマンサは、緩やかな丘や平野が続くが、中央台地(メセタ)に位置するため、標高は800mと高く、大陸性気候の厳しい環境である。ホセはこの地方のアルバセテという街の出身であり、ゴブレ仕立ての広大なワイン畑がどこまでも続く景色を見て育った。モナストレルや、ガルナッチャ・ティントレッラなどの品種が、栽培面積のほとんどを占める地域ではあるけれども、エンビナーテの活動する他の地域同様、地品種を栽培して混醸される。

    カナリア諸島

    常春のカナリア諸島は7つの島からなる。ロベルトの生まれたテネリフェ島は、スペイン領内最高峰の、標高3718mのテイデ山を有する火山島で、地域ごとにブドウ畑の風景も大きく変わる。温暖湿潤な北側のタガナン村のブドウ畑は鬱蒼としており、急斜面の不規則なテラスにブドウ樹が這うように茂る。オロターヴァ地域では、三つ編み仕立てとでもいうべき、10m以上にもなる、枝の絡み合ったコルドン・トレンサーダ(三つ編みの意)で仕立てる。さらに、標高1000mのテイデ山の麓では、極度の乾燥にも適応しやすいとされる、ゴブレ状に仕立てられる。それぞれのエリアの迫力のある畑の様子に加え、エンビナーテ4人の無理のない醸造により、風景そのものを封じ込めたようなワインへと変化する。

    スペインについて

    世界一位のブドウ栽培面積をほこる、スペインのワイン産業は、大規模に海外へと輸出することで、成り立ってきた。19世紀初頭までは、南アメリカの植民地へ、19世紀後半からは、鉄道の発達とともに、地続きのフランスへ大量のワインが輸出された。1960年代から近代醸造技術の導入が活発になり、シェリーブームがおとずれ、リオハワイン人気も再燃した。21世紀になりスター生産者の登場により、高品質なワインの存在も認知されているはずだが、日本ではスペインワインというと、まだまだ安ワインのイメージが拭えない。イベリア半島は、中央台地(メセタ)が国土の大半を占めており、沿岸部から数十kmも内陸部へ入ると、標高が600〜1000mの高さまでになる。中部から南部にかけては乾燥した気候も幸いして、病害も出にくく、ブドウ栽培のまさに好適地である。 近年では、カタルーニャ地方の動きが目立つが、北部の降雨量の多い地域や島々を含めたスペイン各地で、新世代の造り手たちの手により、地品種と伝統的な製法でのファインワインが、同時多発的に生まれている。

    Benje Blanco 2022
    ベンヘ・ブランコ

    品種:リスタン・ブランコ
    植樹:1910~1930年
    位置:標高1000m以上、複数の畑
    土壌:様々な火山性土壌
    醸造:セメントタンクで発酵。セメントタンクとバリックで8ヵ月間熟成。
    テネリフェ島南西部、イコデン・ダウテ・イソラ地域内の、サンティアゴ・デル・テイデ村付近の畑。標高1000mを超え、夏の間もほとんど雨の降らない地域で、リスタン・ブランコの古樹がゴブレ仕立てで残っている。山の中の畑とは言え、海からの距離は5㎞程度で、味わいにもヨード香など海の要素を強く感じる。

    個性的なヨード香、ナッティーなニュアンス、海の塩気を想起させる。味わいは引き締まり、アルコール度数も12%と低めでまとまり良く、この価格帯の白ワインの中でも特に優れている印象。
    ¥4070

    Benje Tinto
    ベンヘ・ティント

    品種:リスタン・プリエト主体、ティンティーリャ
    植樹:1910~1930年
    位置:標高1000m以上、複数の畑
    土壌:様々な火山性土壌
    醸造:2~4週間セメントタンクでスキンコンタクト。バリックで8ヵ月間熟成。
    テネリフェ島南西部、イコデン・ダウテ・イソラ地域内の、サンティアゴ・デル・テイデ村付近の畑。標高1000mを超え、夏の間もほとんど雨の降らない地域で、リスタン・プリエトの古樹がゴブレ仕立てで残っている。火山島のテネリフェ島であることからどのエリアのワインからもスモーキーな香りや、火薬を思わせる香りがするが、ベンヘ・ティントの場合は特に顕著に感じる。少し還元的なニュアンスと合わせて、少し閉じた印象を与える。待つ価値あり。

    Lousas Vinas de Aldea
    ロウサス・ビニャス・デ・アルデア

    品種:メンシア90%、土着品種10%(メレンサオ、ブランセリャオ、カイーニョ、アリカンテ)
    位置:標高400-600m
    土壌:片岩、粉砕粘板岩、花崗岩
    醸造:セメントタンクで20~40日間マセレーション。セメントタンクとバリックで12ヵ月間熟成。

    キュヴェ名のビニャス・デ・アルデアは村の畑を意味し、複数の畑のブドウから造られる。位置づけ的にはいわゆるブルゴーニュの村名ワイン。ブドウは区画ごとに醸造され、通常木製樽とセメントタンクで半分ずつ熟成される。充実した果実味があるが、抽出は非常にデリケートで重たさを感じない。

    味わい全体はよく引き締まり清涼感も充分あるのに角がなく、涼しさを感じる赤ワインとして是非おすすめ。
    ¥4290 (2022)
    ¥4620 (2023)